燃やせサラリーマン魂!『スーパーロボット大戦T』レビュー・感想

バンダイナムコのお祭りロボットSRPG『スーパーロボット大戦T』をプレイした感想・レビューです。

スパロボは昔から好きなシリーズで何作も遊んできましたが、シナリオの出来不出来が結構激しかったりめんどくさいシステムを取り入れたりして実のところ毎回遊ぶまで不安だったります。

しかし、今回のスパロボTは結論から言うと とても満足度の高いスパロボ でホッとしました。

マンネリ化したシステムとか参戦作品が地味とか人それぞれ色々思う所はあると思いますが、本作をプレイして感じた印象をできるだけネタバレ回避してお伝えしていきたいと思います。

基本情報機種:Switch/PS4
価格:(通)9,288円/(限)13,608円
プレイ人数:1人
オンライン:なし
暴力表現:なし
こんな人にオススメ!

・好きな参戦作品がある
・20代以上のロボ好きな人
・難しいSRPGは苦手
・ストレスなく遊べるSRPGがやりたい

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練り込まれたクロスオーバー

スパロボにおいて最も期待されるのは「〇〇と△△が共演したらどうなるのか?」といったようなクロスオーバーによって生まれるifストーリーの面白さではないでしょうか。

原作では亡くなるはずのキャラクターが他の作品のキャラクターの救援によって生き延びる!なんてのはその代表的な例ですね。

作品の垣根を超えたドラマこそスパロボの醍醐味

スパロボは作品によってこのクロスオーバーが上手く行っている作品と、上手く行っていない作品の差が割と顕著に出やすいイメージがありますが、今回はシリーズの中でもかなり上手く各作品をクロスオバーさせてきた印象ですね。

特に英断だと思ったのは、原作ストーリーを忠実に再現する事に執着せずできるだけ設定は活かしつつもオリジナル展開を積極的に盛り込んでいるところです。

ガンダムシリーズなど既に過去のスパロボで取り扱った作品などは特にそれが顕著で、例えばシリーズ常連筆頭である『Zガンダム』は原作をバサッと斬り捨てるように、すでに原作のストーリーが終わっている状態から参戦しています。

過去のスパロボでは原作終了した状態で出て来る作品のキャラクターは大してストーリー上存在意義のない空気参戦扱いなことが多く手放しでは喜べなかったんですよね。

今回のスパロボではちゃんとそういった作品のキャラクターにも役割が与えられているのが面白い所です。

『Zガンダム』で言えばカミーユが『ZZガンダム』の主人公たちの面倒を見るお兄さん的なポジションだったり、『Gガンダム』だと既にガンダムファイトで頂点に立ったドモンが他のキャラクターをフォローする立場になっていたり…

原作ストーリーを経て成長した登場人物たちも見どころ

他の作品のバランサーとしての役割を担うだけでなく、原作の後のifを見ているような新しいストーリーが楽しめるようになっています。

振り返ってみるとスパロボのクロスオーバーが上手く行っていなかった作品は原作再現に拘っていたものが多かったので、こうやって既に過去作でしっかり原作再現をやりつくした作品をバッサリ行ったのは個人的にとても良い決断だったと思います。

スパロボを何作も遊んでいると「ま~たこの展開かよ…」みたいな既視感を何度も味わってきたわけですが、本作は良い意味でそういった期待を裏切ってくれますね。

ただ、逆に原作に思入れが強い人だと「俺の知っている〇〇はこんなこと言わない…」みたいな風に受け止める可能性もあるので万人にとってオリジナル色が強くなるのが良いとは限らないというのが難しい所です。

そこら辺はまぁ同人みたいなものだからと割り切れる人が楽しむと考えてもらった方が良いかもしれませんね。

 

ブレないサラリーマン主人公

今作の主人公は20代後半のサラリーマン(役職付き)※…というロボットアニメを取り扱った作品では珍しいタイプのキャラクターを採用しています。

※本作の主人公は男女選択が可能です。

本作にも出て来る『マイトガイン』のように主人公が少年で社長をしているロボットアニメというのはいくつかありますが、スパロボの主人公でサラリーマンといわれてもピンとこないですよね(笑)

簡単に説明すると主人公はロボットメーカー『VFX』の社員として、会社が作ったロボットをテストしたりその性能をプレゼンするサラリーマンパイロットなんですね。

あだ名は野獣ネクタイ

今まで熱血のパイロットや真っすぐな少年、記憶を失った異星人、コンプレックスを持った少女など様々なタイプがいましたが、この主人公の何が凄いって、一貫してサラリーマンとしての勤めやポリシーに対して全くブレない所です。

サラリーマンの流儀を貫く主人公

ロボットアニメでは迷いや躓きを友や好敵手との出会いによって乗り越えていく。

そしてその成長過程を視聴者は観て楽しむというのがセオリーだったりするのですが、なんせこの主人公はとにかく業務優先です。

勤勉で朝から晩まで仕事の事を考えているようなバリバリ強靭なサラリーマンメンタルが初めから備わっています。

ZO〇O TOWNの前〇社長よりもバイタリティとポジティブさを備えているんじゃないか?っているくらい強い主人公なので見ていて痛快ですね(笑)

セリフも「コロニー落しをさせる様なブラック企業に進んで転職したお前に同情の余地はない!」みたいなクスっと来る発言も多くユニークです。

「正義で飯は食えない」と割り切った発言・態度も今までの正義100%のキャラよりも親近感が湧きます。

出張手当など妙に生々しいサラリーマンワードが飛び交うスパロボ。

課の主任としては有能オブ有能とも言え、新人の後輩に対しては面倒見の良い部分もあったりしてかなり頼りがいがあるのも良いですね。

ウジウジせず決めるときはビシッと決める!

ぶっ飛んではいるけど総合的には憎めない大人として好感の持てる人物像はシリーズ作の中でも好感度は上位じゃないでしょうか。

今回のスパロボは参戦している作品からも20代後半~40代くらいの人を主なターゲットにして作っていると思いますが、

主人公のサラリーマン的な発想・発言の数々がその世代の人が共感して楽しめるように作られているのも非常に的を得ていますね。

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洗練されたバトルシステム

本作でもスパロボシリーズ毎度お馴染みのターンシミュレーションのシステムが採用されています。

既視感しかないゲーム画面

敵と交互に将棋の駒の様にユニットを動かして戦わせるこのスパロボのシステムは悪く言えばいつもと変わり映えのしないものですが、流石に何十作もこのシステムで作ってきただけあってこれ以上弄りようがない程に洗練されていますね。

過去作では複数のユニットを組ませたりして手間になるようなシステムが採用されていたこともありましたが、本作にはそういったものありません。

戦闘シーンについてもOFFにする、早送りにする、途中でスキップルする…これらをサクサクと自分の気分次第でいつでも選択できるので私の様なせっかちな人も大丈夫です(笑)

相変わらずヌルヌル動く戦闘アニメ
カットインも今回は豊富

他にも精神コマンド(スキルのようなもの)がいつでも使えるなど細かい部分の痒い所に手が届きまくっていて、ユーザーフレンドリーさに関して洗練極まっていると言えます。

使い古されたシステム故に斬新さはゼロに近いので素晴らしいと手放しに絶賛するわけではないですが、シミュレーションゲームとしての遊びやすさにおいてはスパロボTはトップクラスですね。

 

自由度の高い育成システム

スパロボは沢山のキャラクター(ロボット)が登場するわけですが、自分の好きなキャラクターをとことん育てて活躍させたいという願望を叶えられることも重要なポイントだったりします。

本作では育成面においてはかなり自由度が高くなっていて、わき役キャラクターも優先してスキルを習得させたりロボットに強化パーツを付けたりすることができます。

一部固有スキル以外は自由に取得できる

もちろん各作品の主人公の様に固有の『ニュータイプ』のようなスキルを持っていて能力値が高いキャラを使った方が明らかに効率的ですが、敢えてそうではない地味な脇役キャラに愛を注ぐように育てて、1軍として活躍させることが十分可能です。

また、戦闘に参加していないキャラクターもサブオーダーというシステムで訓練してレベル上げすることも可能です。

シナリオ間のサブオーダーで経験値や資金稼ぎができる

スパロボはどんどん仲間が増えて出動できない面子がそのうちに溢れてくるわけですが、これによって1軍からあぶれがちなキャラをフォローできるようになっています。

このお陰で色んなキャラを並行して育ててステージごとに「今回は回復持ちを多めにを出そう」とか「敵がバリア持ちだから解除できるあいつを連れて行こう」なんて選択肢が増える事にも繋がっていますね。

 

難易度バランス

本作では難易度設定がビギナー・ノーマル・エキスパートの三段階あり、自由に切り替えが可能です。

ノーマルの難易度はとりあえず強いユニットを適当に特攻させるだけでクリアできるという無双したい人向けで、

ノーマルでは物足りない!という人のためにエキスパートモードと言う高難易度モードが初めから選択できるようにもなっています。

エキスパートになるとステージによっては少数のロボットで雑魚に囲まれて一手間違うと大ピンチみたいなシーンもありますし、ボスも撃ち落とす気満々な威圧感を感じさせるくらいの強さに調整されています。

普段『ファイアーエムブレム』とかのSRPGになれているとスパロボは簡単すぎて眠たくなるので、個人的に最初から高難易度でできるのは嬉しいね!

容赦ない敵エースパイロットたち

とはいえエキスパートモードでも特定の機体をがっつり改造するとぬるくなってしまうので、いろんな機体を分散して使ったりして自分で難度を調整したりも必要になりますが。

私はエキスパートでやっていますが、流石に『ファイアーエムブレム』まではいかないもののめんどくさくならない程度に頭をほんのちょっと使う程度の匙加減が丁度いいですね。

 

気になる部分

本作は通常版とプレミアムアニメサウンドエディションの2種類があって、それぞれの違いは戦闘シーンのBGMにあります。

前者はアレンジされた楽曲を使っていて後者は原曲の歌ありになるのですが、アレンジ曲についてはいつも通りスーパーで流れているBGM感満載です(笑)

ですので戦闘で原曲流してガッツリ入れ込みたい人はプレミアム版にした方が間違いなくイイと思いますが、値段がグンっと張るんですよね…。

これは今に始まった話じゃないですし、著作権料の問題もあるのでしょうがないと理解はしています。

しかし、通常版がいつまでもスーパーのBGMみたいなのはプレミアム版を買わせたいからっていう商魂がちらちら見えてる気がするのは私だけでしょうか?(苦笑)

 

最後に

スパロボは本作含め15作以上は遊んでいると思いますが、個人的に本作はその中でもストーリーや遊びやすさにおいてはトップクラスに良くできている印象です。

スパロボは昔からゲーム性が変わり映えしないゲームですし、最近では売りである戦闘アニメーションを過去作から使いまわしているところもあって私も本作を買うかどうかかなり迷っていました。

しかし、実際にちゃんと作品間のクロスオーバーの楽しみが詰まったストーリーや快適なシステムがあれば十分楽しいゲームなんだと再確認出来て、「あぁ、スパロボの面白さってこういうことだよね」と妙に納得させられるそんな作品に仕上がっていて良かったですね。

また、今回初めてSwitchでスパロボを遊んだわけですが、Switchのプレイスタイルの自由度がスパロボにマッチしてて非常にゲームの印象を良くしています。

クリアまでが長いゲームですし、なんやかんや戦闘シーンを見ているよりもユニットを動かすシーンを見る事が殆どなので携帯モードでのプレイができるのはとても大きいですね。

セーブもロードも爆速で全くストレスがないですし、液晶で観る戦闘もヌルヌル動いて綺麗で文句なしです!

過去作で言うとPS4版とVITA版の良い所取りという感じでお得感も半端ないですね。

スパロボは一部のロボットアニメファンだけが楽しんでいるようなイメージがありますが、1作でも原作を知っているのであれば十分楽しめますし、好きな作品が一つでもあってゲームシステムが嫌いでなければかなりオススメな作品です。


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