全俺が涙した!心温まるアクションアドベンチャー『ジラフとアンニカ』レビュー

皆さんこんにちは。

にぃど(@switch_for)です。

本日はアクションアドベンチャーゲーム『ジラフとアンニカ』のレビューをして行きます。

温かく幸せな気持ちになりたい―。

そんなハートフルな体験を求めている人にピッタリなこのゲームの魅力を、ガッツリご紹介していきましょう。

基本情報機種:Switch/PS4/Steam※
価格:1980円(Steam版)
メーカー:プレイズム
ジャンル:ハートフルアドベンチャー+リズムアクション
プレイ人数:1人
オンライン:なし
暴力表現:なし
※Steam版が先行で配信済。他2機種は2020年内予定。
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ゲームの概要

まず最初に『ジラフとアンニカ』がどんなゲームなのか、その特徴やゲームシステムをご紹介していきましょう。

自然豊かな島を探索するゲーム

本作は「スピカ島」と呼ばれる小さな島を舞台に、記憶喪失の猫耳少女「アンニカ」の冒険を描いた3Dアクションアドベンチャーです。

アンリアルエンジン4で描かれる自然豊かで美しい島「スピカ島」。

アンニカは島の様々な住民達と出逢い、彼らの悩みを解決してあげたり、時にはダンジョンへの探索を請けたりと、スピカ島の人々と関わる中で様々な出来事を体験していく事になります。

アンニカと共に行動するジラフ。謎の多い人物で彼の存在が物語のカギとなる。

島の中にはちょっとした謎解きや、新しいアイテムや能力を手に入れる事によって行ける新たな場所も。

箱を押したり、ちょっとした仕掛けが島中に散らばっている。

そんな冒険のつまったスピカ島には、ちゃんと時間の概念があり、時間の経過と共に朝日が昇り、日が沈みます。

夕日の沈みゆく美しさについ足を止めてたくなる。

もちろん島の住民たちもそれぞれが一定のリズムで生活をしているので、夜行性の住民がいれば夜まで仮眠を取って会える時間に訪問したりするなど、時間を考えて探索することも攻略において重要だったりますね。

島の住民たちにはそれぞれ独自の生活リズムが存在する。

ここまでの話を聞いて既にピンときた方もいらっしゃると思いますが、本作は『ゼルダの伝説 時のオカリナ』からの影響が色濃く出ているゲームです。実に王道的な3Dアクションアドベンチャーと言えます。

ですが、ゼルダや他のアクションアドベンチャーのゲームと比べて大きく違うのは、全体的にゲームの難易度がかなりマイルドに調整されているところにありますね。

島内の探索部分に関しては特に、そこそこのアクション性は薄めで、景色を堪能しつつストーリーをメインに楽しむという側面が強めのゲームと言ってよいかもしれません。

ストーリーの進行に関しては1本道で進みますが、探索に関してはある程度自由な探索が可能です。

高い崖の上から飛び降りてみたり、浜辺からそのまま海の中に入って泳いで沖まで行ったり、色々寄り道できるようにデザインされていますね。

調子に乗っていると水の中で溺れてしまったりすることも。

少しわき道に入ってみると隠されたアイテムなどが見つかったりもしますので、探索が好きな人に刺さるタイプのゲームではないでしょうか。

因みに、クリアまでに要する時間は大体5~7時間と比較的コンパクトなボリュームですが、サクサクとテンポよく進むゲームで、島とダンジョンを合わせると結構な広さを冒険する事になりますね。

大手メーカーのゲームと比べればコンパクトなゲームですが、価格が2000円以下のインディータイトルというカテゴリーの中では、大作アドベンチャーと言っても過言ではないでしょう。

戦わないダンジョンパート

アンニカは物語の途中、島に点在するワープポイントから様々なダンジョンに訪れる事になります。

様々な特徴あるギミックや風景のダンジョンが複数登場する。

広さは大体15~20分程度で最奥部まで行けるくらいでしょうか。こちらもスピカ島と同様に、ひとつの大きな箱庭として作られていますね。

住民とのふれあいやちょっとした謎解きなどアドベンチャー色が強い島での探索に対して、ダンジョン内は『マリオオデッセイ』などのような箱庭ジャンプアクションゲームの色合いが強いくなりますね。

例えば、ダンジョン内を浮遊しているオバケ。アンニカを見つけると追いかけて体当たりをしてきたり、水鉄砲のようなもので攻撃をしてきたりします。

口から火を吐いてくるオバケも。

そんなオバケに対して、アンニカは攻撃をすることができません。攻撃を避けてひたすら逃げる。これがダンジョンに現れるオバケへの唯一の対処手段というわけです。

幸いスニーキングアクションの敵のようにしつこく追いかけてくるわけでもないですし、上手く木箱に身を隠して攻撃を避けながら進んだり、比較的対処はイージーに作られていますね。

そして、ダンジョンの試練はオバケだけではありません。足場の悪い場所を歩いたり、ジャンプアクションで乗り越えなくてはいけない場面も多く存在します。

ダンジョンではヒヤッとする足場の悪い場所を歩くことも多い。

崖を飛び越えるだけでなく、時には水中を泳いだり、トロッコや船に乗ってみたり。ダンジョンによってさまざまな特徴あるギミックも用意されていますね。

たまに謎解き要素もあったりしますが、木箱を動かして踏み台にするといった、ほとんど悩むことなく突き進めるような簡単なものに踏みとどまっています。

アクションも謎解きも含め、全体の難易度に関してはかなり簡単な方だと思いますが、最終ダンジョンは落下する場所が多いので、アクションゲーム苦手な方は終盤少しだけ苦労をするかもしれませんね。

ユニークなボス戦

ダンジョンの最奥部に待ち構えるのはやっぱりボス。ですが、面白い事に本作のボス戦は全てリズムゲームによって行われます。

ボスが左右に光の弾を投げてくるので、アンニカを左右に移動させ、音楽のリズムに乗ってタイミングよくAボタンを押す。それだけです。

操作は左右のスティックとAボタンのみ!

これを続けることで、どんどんボスの体力ゲージが削ることができるわけですが、失敗を重ねれば逆にアンニカの体力ゲージが削られてしまいます。

ボスによってはアンニカに向けて直接攻撃しようと吸収できない攻撃を投げつけてくることもあるので、上手くそれらをスルーする判断力も求められます。

音楽や状況に合わせて、ボスが様々なリアクションを見せたりするこのボス戦パートは、昔プレイステーションに出た『パラッパラッパー』からの影響も少し感じさせますね。

1996年に初代PS向けに発売された『パラッパラッパー』。アーカイブスでの復刻の他、PS4でもHDリマスターされたリズムゲームの大ヒット作。

因みに、ボス戦に関しては戦闘に入る度に「イージー」「ノーマル」「ハード」の中から難易度を選択します。

アドベンチャーゲームが好きな人が必ずしもリズムゲームも得意とは限りませんから、自分の力量に合わせて楽しめるようになっているのは良いですね。

プレイして感じた事

ここからは私がプレイを通じて感じたことや発見、あるいは気になった部分についてお話していきます。

圧倒的ハートフル感

当記事のタイトルに「全俺が泣いた!」と付けていますが、これは冗談ではなく本当です。

私は映画やドラマなどを見てもちょっとウルッとすることが稀にあるくらいで、ガチ泣きすることなどほとんど記憶にありません。

ですが、このゲームに関してはエンディングで大粒の涙がぼたぼた零れ落ちて、ハンカチを濡らしてしまいました。

こう言うと「大げさな奴だな」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、他のゲームでは味わったことがない温かさをこのゲームでは体験できます

比較的暴力的なゲームが多いアクションアドベンチャーというジャンルでありながら、兎に角全てが優しいんですよね、このゲーム。

常に誰かのために行動する主人公アンニカもそうですし、島の住民も皆が優しいです。

人から頼みごとをされると断れないアンニカ。

外に出て子供をあやすお母さんウサギ。星を夜通し観察する少年のことを想い、マフラーを編み続ける女の子。出てくるキャラクターの全てがまるで絵本の中から出てきたように、素直で良き人(動物)たち。

「皆良い人」と聞くと、キャラクターの個性にメリハリがなくて面白みがないように感じる方もいらっしゃると思います。児童図書みたいに、安直で捻りのない単純な世界だと。

ですが、私は逆に優しさ全開な感じが本作の大きな特徴だと私は感じています。

ダンジョンの苦難を乗り越えるのも常に誰かの為。オバケに追いかけられ、転がってくる大きな岩を必死に避けて、溺れそうになりながらもアンニカは奮闘していきます。

そしてダンジョンから帰ってくれば「一緒にご飯を食べましょう」「今日は遅いから泊っていきなさい」と、まるで田舎のおばあちゃんの様に温かく迎え入れてくれます。

10人ほどしか住んでいない、静かな小さな島でのんびり暮らす人々は、終盤になるともはや家族のような存在。アンニカを心配してくれたり、一緒にダンジョンの攻略に手を貸してくれたり。

健気なウサギの子供に心配されて胸キュン不可避。

そういった住民との温かい触れ合いだけでなく、敵を攻撃できない平和的なゲームデザインも相まって、アクションアドベンチャーを遊んでいるのに心が朗らかになるという、珍しい現象が起きるわけです。

ストーリーに関しても、筋書きだけを追って見ると割とありがちなのものですが、実際にゲームを通じで自分自身で経験していく過程の中で、深く印象として残っていく感じがしますね。

冒頭から「なぜ記憶喪失のアンニカがスピカ島で冒険をすることになったのか」「なぜ島の住民が皆こんなに優しいのか」という疑問を、私はずっと思い浮かべてゲームをプレイしていました。

そして、その理由が最後明らかになり、スタッフロールとエンディングテーマが流れる頃、ほんのりとした切なさを大きな温かさで包み込まれるような感覚に、私の涙腺はしっかりと崩壊させられてしまったのです。

雰囲気ゲーで終わらない

個人的にこのゲームを評価したいのは、ハートフル感を前面に押し出しながら、人を感動させるだけの「雰囲気ゲー」にしなかったという点にあります。

ご存知でない方もいらっしゃると思うので少し捕捉しますが、「雰囲気ゲー」とはゲーム性を敢えて廃して、はっきりしない抽象的なストーリーや景観の雰囲気を楽しむ事に特化したゲームの俗称みたいなものです。

アクション性やパズル性は殆ど無く、歩き回って文字を読み取ったり、幻想的な景観などを美しい音楽と共に眺め続け、良い気持ち(あるいは切ない気持ち)になる。

私はぶっちゃけるとこの「雰囲気ゲー」というものが苦手なんですよね。

中には情緒あふれる素晴らしい雰囲気ゲーもありますが、なんだか映像作品を「見せられている」という受け身な感じが、ゲームの大事な面白さを欠落させている様な気がするんです。

やっぱりゲームならではの良さって、自分で頭を使ったりチャレンジに挑戦していくことによって、世界に没入していける事だと、私は思うんですよね。

自分が頑張る事で誰かが救われる。目の前の崖を飛び越えるのに躊躇し、成功すれば安堵感で満たされる。そこに感情移入していける自分がいると。

仲間とともに困難を超える冒険だってやっぱりしたい。

本作はそんなゲームならではの体験や面白さをちゃんとゲームとして与えつつも、随所にこの世界の雰囲気の良さやハートフルな体験を楽しめるように作られている。

それは映画や小説にはできない、ゲームだからできる体感型ハートフルエンターテイメントとしてのひとつの答えの様な気がしますね。

アクション要素はダッシュとジャンプ程度。ボス戦で使うのは右左の移動とボタン一つのみ。

謎解きも木箱を動かして足場にしたり、近くに置いてあるヒントの通りに野菜を並べたり、そんなシンプルな遊びばかり。

ですが、そんな頑張りの一つ一つが誰かのためになっていて、アンニカとして冒険している没入感みたいなものへと確実に繋がっている気がします。

丁寧に作られた世界

本作はインディーズの製作規模で、なおかつ製作が大変なフル3Dのアドベンチャーゲームです。

となれば、コピペを多用したような手抜感はある程度仕方ない。そう私は当初考えていたのですが、実際にプレイをしてみると、思った以上にちゃんと世界が作り込まれていて驚かされましたね。

例えば家に干されている洗濯物。『ドラクエ』みたいな超大作でも基本コピペで使いまわしてるようなこんなところも、それぞれの家でちゃんと別々に作り分けられています。

子どもがいる家には子供服が干されていて、紫色が好きなな人の家にはちゃんと紫の服が干されています。

人によっては気付かないままスルーしそうですが、こういった細かい部分でちゃんと作られているからこそ、数時間のスピカ島の体験がキラキラ輝くのではないかなと思いますね。

アンニカもちゃんと一つ一つのものに個別のリアクションやコメントをしてくれるので、島にある色んなものを調べて歩き回るだけでも楽しかったりします。

観光地にお馴染みの顔出しボードが設置されていたりもする。
リアカーでどこかに捨てられそうな状況を理解していない、セーブポイントの像『セーブさん』。

置かれている太鼓をアンニカが楽しそうに叩いたり、楽譜を見て歌を歌ってみたり。時にはベンチに座って海の向こうに沈む夕日を眺めたり。

アンニカの楽しげな様子を見てほっこりさせられる。

ゲームの攻略とは無関係ですが、島の生活感やアンニカのリアクションの数々を見ていると、心がとても癒される感じがします。

全然ゲーム性は違いますが『どうぶつの森』で、ぼ~っとのんびりベンチに座って他のどうぶつがうろうろしてるのを見るのが好きな人は、このスピカ島でもゆっくり楽しめそうな気がしますね。

良くも悪くもインディ感あり

アンリアルエンジンのグラフィックや生楽器演奏が入ったサウンドトラックなど、ぱっと見下手な中小メーカーが作ったゲームよりも豪華さを感じさせる本作。

ですが、プレイをしていると良くも悪くも「うん、これはやっぱりインディのゲームだな!」と思う部分もしっかりあります。

先に悪い部分で言うと、アンニカの挙動ですね。地に足がついてる感じがしなくて、移動すると滑る様に背景が流れていくのに違和感を感じます。

ジャンプアクションをする場面でも距離感が掴みにくかったり、着地後滑って落っこちるみたいな場面があって、少しイラっとすることもありましたね。

そういった滑るような動きのせいか、画面酔いもしやすいゲームです。

私はFPSを3時間ぶっ通しで遊べるので、比較的3D酔い耐性がある方だと思いますが、本作は一時間通しで遊んだくらいで既にクラっと来るものがありました。

視点移動の感度を下げて調整しとことろ、かなりマシにはなりましたが、それでも酔いが怖いので途中から30分刻みに分けて遊んでいましたね。

本作をプレイした後に『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』を遊んだのですが、それはもう地に足がついている感が半端じゃない感じがしてビックリですよ。

こういった調整の細やかな部分は、大人数が何年もかけて作っている大手メーカーの作品との違いが如実に表れるものなんだと、改めて実感しましたね。

逆に、良い部分というか個人的にインディらしくて好きなのは「ねこ絵」の収集ですね。

本作では島やダンジョンの色んな場所に宝箱が隠されており、その中には様々な絵師の方が書いた「ねこ絵」と呼ばれる絵が入っていることがあります。

「ねこ絵」を集めるとコスチュームが貰えたりする。

その内容も、どうやら絵師の方々が思い思いに猫について自由に描いたようで、その中身もバラバラで全く統一性がありません。

ですが、アンニカがそれぞれにどんな事をコメントをするのかも含めて、どんな絵が描かれているのか見るのがちょっとした楽しみだったりしますね。

こういった収集要素にあまりゲーム内の世界とは全く関係のないものをぶっこむところは、大手ゲームメーカーでは絶対にやらない、インディならではの遊び心が入っている感じがしますね。

最後に

ちょっとジブリっぽい可愛らしいアートデザインやインディーズにしてはリッチなグラフィックなど、ぱっと見だけでも魅力的な本作ですが、想像以上に丁寧に愛情をこめて作られた中身のあるゲームでした。

アクション要素やリズムゲーム要素を上手くスパイスとして織り交ぜながらゲームに没入させ、いつの間にかプレイヤーを感情に訴えかけていく手法は「これぞゲームならではの体験」という気がして、にわかに感動を覚えましたね。

アンニカの可愛さや島の人々との関わりにとても癒されますし、暴力から離れた優しい世界を体験できるゲームなので、ゲームを毛嫌いする人にこそ「こんな素敵なゲームもあるんやで!」と伝えたくなります。

書籍には「児童推薦図書」というものがありますが、こういったゲームが増えて「児童推薦ゲーム」なるものができるくらいの世の中になってくれたら嬉しいなと、ふと考えさせられましたね。

もちろん、子供たちに薦めたいゲームと言うだけでなく、ちゃんと大人が遊んでも楽しめる全年齢的な面白さを持っているゲームなので、いろんな方にオススメできます。

現在はSteam版のみが配信されていますが、2020年内(夏頃予定?)にはNintendo Switch・Play Station 4版も配信されるとのことですので、当記事を見て「やってみたい!」と思った方は是非挑戦してみてください。

因みに少し余談ですが…

本作の開発者は元々イニスという会社でデザイナーとして勤めていた、斉藤敦士さんが主導して制作されています。

斉藤さんは任天堂の隠れた名作『押忍!闘え!応援団!』のデザインディレクターをかつて務めていたそうですが、同作にあった温かくて泣けるセンスが、本作とどこか繋がっている気がしますね。

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斎藤さんは「もう一本作りたいゲームがある」という旨を、IGN JAPANの動画(以下リンク)でお話されてしましたが、『ジラフとアンニカ』の次の作品にも期待したいところです。

参考リンク:『ジラフとアンニカ』開発者がゲスト!インディークリエイターの日常

こちらの動画では、本作の制作の裏側など興味深い話も聞けますので、ご興味ある方はそちらも併せて視聴してみてはいかがでしょうか。

本日の『ジラフとアンニカ』のレビューは以上になりますが、最後まで一読いただきありがとうございました。

Written by にぃど(@switch_for)

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