NIntendo Switch/Steam/Xbox Oneで配信中のシミュレーションゲーム『Wargroove』(ウォーグルーヴ)のファーストインプレッション(6時間程プレイした感想)記事です。
本作は将棋の様にマス目状のマップで駒を交互に動かしあうターン性バトルのシミュレーションゲームですが、任天堂がかつて発売していた『ファミコンウォーズ』からかなり影響を色濃く受けている作品です。
ですので、今回はその『ファミコンウォーズ』との類似点や相違点を中心に、色々本作の感想を語っていきたいと思います。
本作のゲームシステムのベースは『ファミコンウォーズ』そのままと言っても過言ではありません。
▲ターン交代で自分と相手交互にユニットを動かして戦うシミュレーションゲーム。
特にそれを決定づけているのが、戦闘中に拠点で兵隊などのユニットを生産できるという事ですね。
自分だけではなく相手もお金を使ってユニットを生産して敵陣を攻めていくゲームなので、コストや相手のユニットとの相性を考えた戦略が求められます。
▲強力なユニットはゴールドが高いので考えて新兵を補充しなくてはならない。
世界観が中世ファンタジーなので見た目は『ファイアーエムブレム』の方が似ているように見えますすが、1ユニットそれぞれに人格がある同作とは趣が異なりますね。
言うならば指揮官以外は正に駒です。
ユニットはレベルなど成長の概念もないので大事に育てる必要もなく、どんどん生産して敵と戦い次々散っていきます。
仲間が倒されたらリセット!なんてユニット1つ1つの消耗を気にせず、犠牲を払いながら勝利を目指すわけですね。
それと各ユニットに相性が設定されているところにも『ファミコンウォーズ』との共通点があります。
例えば槍を持った兵士は馬に乗った騎士に強いとか…ユニット同士の相性はゲームの戦略に大きく関わってきます。
『ファイアーエムブレム』にも3すくみ等の相性はありますが、レベルなど育成要素がない分こちらの方がよりプレイヤーの戦略が純粋に求められますね。
ゲームのクリアのルールも一部敵を全滅させるなど特殊なものもありますが、『ファミコンウォーズ』のように相手の拠点を潰すか、指揮官を倒すかというのが基本となっています。
これだけベースが似ていると「ファミコンウォーズを遊べばいいじゃないか!」と言われそうですが、ちょっとした独自の要素を加える事で本作の個性はしっかりと出ています。
特に各ユニットが持っている「クリティカルの条件」の要素は面白いですね。
本作のユニットにはそれぞれある条件を満たすとクリティカルダメージが発生するような特徴を持っています。
▲各ユニットの相性やクリティカルの条件は戦闘中いつでも確認可能。
例えば弓兵なら移動せずその場で攻撃をしたらクリティカルダメージ!
騎士なら6マス以上移動して攻撃したときはクリティカルダメージ!
といったように、ユニットそれぞれのクリティカルの条件を満たすように上手く運用することで、より効果的に相手を倒すことができるようになっています。
また、指揮官にはちゃんとキャラクターの個性付けがされていて必殺技も用意されています。
▲グルーヴチャージというポイントを溜めて指揮官固有の必殺スキルが使用可能。
自軍のユニットの防御力を強化したり、再度行動をできるようにする等様々ですが、個人的に面白いと思ったのは植物で足止めができる指揮官ですね。
敵の前に植物を生やしてルートを塞ぐだけでなく、橋の様な狭い場所で前後挟み込んで動けないようにして遠距離攻撃で倒す等の工夫が楽しいです!
指揮官は少なくとも12人それぞれ異なるキャラクターが存在するようですね。
これらの要素のお陰で新しいユニットや指揮官がアンロックされていくたびに新しい戦略を立てる楽しみがこのゲームにはあります。
それと、言い忘れてましたが…このゲームは可愛らしいドットアニメーションが非常にヌルヌル動くので見ていて楽しいですね!
どのキャラも生き生きとしていて凝ってます!
このゲームが優れている点は他にもあって、シミュレーションゲームにしてはゲームモードがかなり豊富という事です。
ざっとそれぞれのモードの特徴をご紹介しますが、すべて合わせるとかなりのボリュームになりますね!
全てやりこんだらとんでもない時間になりそう…。
▼ストーリーモード
1人用のメインモードで、ストーリーの進行に合わせてワールドマップ上に点在するステージを次々クリアしていきます。
ステージを進むたびに新しいユニットや指揮官が解放されていきますのでチュートリアル的な側面もありますね。
また、それぞれのステージ前後にはちょっとした会話など短めのイベントシーンが展開されます。
ストーリーの内容的には「父である王の敵を取るために娘が兵を率いて立ち上がる」という勧善懲悪の分かりやすい内容で、このゲームでストーリーはあくまでおまけですね。
ボリュームについてはまだ途中なのではっきりとは言えませんが、サブミッションなどもありますし世界のマップの広さから行って全体的に15~20時間は少なくともかかりそうなボリュームはありそうですね。
正直これだけでもおなか一杯になりそうな気がします(笑)
難易度については、各種のバランスをスライドバーで自由に調整できるので、自分に合った適度な難しさを探ってみることもできます。
▲自分の好みに合わせて3つのパラメーターを弄ってバランス調整ができる。
設定を弄らないデフォルトでは適度に頭を使う程よい難易度になっている印象ですね。
▼アーケードモード
ストーリーモードで指揮官のキャラをアンロックしていくと遊べるようになるのが「アーケードモード」です。
それぞれの指揮官に「イージー」「ノーマル」「ハード」とルートが用意されていて、格闘ゲームのアーケードモードの様に次々と他の指揮官と戦っていきます。
ストーリーモードは使える指揮官がステージごとに固定されてたりちょっとした特殊ルールのステージなどがありましたが、こちらはよりシンプルに好きな指揮官を使ってCPU戦を楽しむのに特化した印象ですね。
▼パズルモード
まだアンロックしていないので中身は分かりませんが、名前からして詰将棋的なものを予感させますね。(ゲームクリア後のコンテンツかな?)
▼対戦モード
ローカルプレイでは最大4人が楽しめるだけでなく、オンライン対戦もあります!
因みにオンライン対戦はクロスプレイでPC/Xbox Oneのユーザーともプレイできるようです。
Switch版だけでも北米eShopで配信してすぐトップになるくらい売れているゲームなので、他のインディーズゲームと比べると対戦相手は困らなさそうですが、敢えてオンラインで遊びたいゲームかと言われると疑問ですね。
ゲームルール的に負けそうになったらすぐ切断する人が多そう…。
▼エディットモード
本作は自分で自由にステージを作ることができます。
(上の画像はMOBA風のステージを作成している途中です)
ステージの大きさやマップの配置も自由で、『マリオメーカー』ならぬ『Wargroove Maker』といったところでしょうか。
そして作成したマップはインターネットで世界中の人とシェアできます!
▲既に400を超える投稿がされている。名前の検索や高評価のものを優先的に表示する等フィルター機能も一通りそろっている。
PC/Xbox Oneとのクロスプレイ対応でハードの垣根を越えて世界中のプレイヤーが作ったステージに挑戦できるのは良いですね。
中には『ファミコンウォーズ』のステージを再現した猛者もいるそうで、これを使えば無限にゲームが遊べてしまいそう!
これと言って目立った欠点はないのですが、しいて言うならば1ステージが長いのが人によってしんどいかもしれません。
簡単なものであれば15~20分もあれば終わりますが、長いものだと1時間近くかかります。
最後の最後でうっかりミスによって指揮官が倒されたときはもう…ね…
そっとSwitchをスリープですよ(苦笑)
あと、個人的な趣味の問題ですが、ドットのチビキャラは可愛いのに挿絵のキャラは妙にバタ臭いというところでしょうか。
主人公の女王はどう見ても男です(笑)
海外の開発者が作っているので日本人とはまた感性が違うものになっているのは当然なのですが。
今のところ気になるのはそれくらいで、とてもよくできたゲームですね!
ゲームの内容はほぼほぼ『ファミコンウォーズ』ということでオリジナリティに欠けるゲームではありますが、完成されたシステムをベースにしているだけあって安心して遊べます。
その分独自要素や本家にないものを取り入れた上でちゃんと上手く機能しているので、全くのパクリ…あるいは劣化コピーになっていないところにはとても評価できますね。
ゲームとしてのボリュームもしっかりありますし、ステージエディットやオンラインでのステージシェアを活用すれば延々と遊べそうな滅茶苦茶コスパが良さげです。
長らく新作が出ていない『ファミコンウォーズ』の代替的なゲームとしてだけでなく、丁寧に作られた良作として長く遊ばれるゲームになっていくのではないでしょうか。
頭を使ったゲームや戦略シミュレーションが好きな人にはかなりオススメです!