『ドラゴンファングZ 竜者ロゼと宿り木の迷宮 』ちょいかじりレビュー・感想 ~不思議のダンジョンを見直した新たな方向性~

ローグライク系のゲームが好きで首を長くしてSwitch版『不思議のダンジョン風来のシレン』を待っている管理人ですが、シレンどころか不思議のダンジョンシリーズすら出る気配がない事にしびれを切らしてeShopを彷徨った末見つけた『ドラゴンファングZ』についての感想を本日述べていきたいと思います。

今のところプレイ時間は6時間ほどでノーマル難易度のダンジョンの中間過ぎた20Fまでようやく到達できた段階ですが、ゲームの印象はある程度固まったので『ちょいかじりレビュー』として記事にしていきたいと思います。

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王道へのリスペクトとアタリマエの見直し

本作は主人公ロゼを操作し、毎回構造が変わるダンジョンに潜りどんどん地下へと下りていきます。

戦闘はターンベースで道中に落ちているアイテムを上手く活用しながら敵を倒していくわけですが、途中で倒されたらレベルもアイテムも全部ロストして一からやり直しです。

これらのゲームの基本的なゲームシステムは『不思議のダンジョンシリーズ』のシステムをベースにしてますね。

ですので、ぱっと見た目『不思議のダンジョンシリーズ』のただのコピー品の様に見えますが、蓋を開けてみると実はしっかりと本作ならではの独自性を持っている作品です。

具体的な内容は次項で記載しますが、『不思議のダンジョンシリーズ』をこうしたらもっと面白くなるよと再提案し直したのが本作の立ち位置だと思って頂くのが分かりやすいかもしれません。

 

ピンチはチャンスの発想で新しい戦略を生む

『不思議のダンジョンシリーズ』をはじめとするローグライクRPGには敵に四方を囲まれると集中攻撃を受けてピンチになりやすいので細道に誘い込んで一対一で敵を倒していくという戦法があります。

できるだけ敵に囲まれないように細道で戦う

敵を倒すためにはまず安全な場所や条件を確保する…という守りをベースにしてきたのが今までのローグライクRPGの生き残る為のセオリーなんですよね。

しかし本作はそこを『竜人結界』というシステムを組み込んでそのセオリーをぶち壊しています。

『竜人結界』とは自分の周りに壁や障害物がない場所に立つと自動的に展開される結界で、この結界が発動している最中は有利な効果が主人公ロゼに対して発動します。

その効果には例えばクリティカルの確立が上がったり、スキルのポイントが貯まって範囲攻撃が撃てるようになる等ありますが、これによって今までデメリットしかなかった部屋の真ん中で敵と戦う事にメリットを見出す事ができるようになりました。

普通のローグライクRPGでは敵に囲まれたら『あちゃ~詰んだわコレ!』って半ばあきらめムードが漂いますがこのゲームは違います。

『周囲敵が集まっているけど竜人結界のお陰でのスキルが使えるから一気に倒せるぞ』とやり方次第ではその状況を攻めとして利用することもできるのです。

本作は各メディアの広告でも”攻めのローグライク”という謳い文句でPRされていますが、この竜人結界のお陰で『小道に引き込む』というややせせこましいプレイスタイルだけではなく、敵中に飛び込んでせん滅する意識が強く出るようなゲームになっていて戦略の幅が今までのローグライクと比べて広がっている印象を感じさせられますね。

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難易度バランスはこの手のゲームに慣れた人向け

『不思議のダンジョンシリーズ』では初心者が入りやすいようにまずはチュートリアルのダンジョンをいくつか攻略してコツを掴んだ後に本格的なダンジョンに潜るという手法を近年の作品では取り入れていますが、このゲームはチュートリアルメッセージこそあれどいきなり本番に放り込まれる印象があります。

見た目が可愛いデザインですが実は硬派なので舐めてはいけません。

私も今まで何作もローグライクRPGをやってきていますが6時間かけて最初のダンジョンの20Fまでしか行けていないというのは初めてです(笑)

その理由の一つとして本作のモンスターハウスの頻度の多さが挙げられます。

モンスターハウスで敵に囲まれ四面楚歌でもチャンスはある…はず

モンスターハウスとは小さな小部屋が繋がった本来のダンジョン構造ではなく、上の画像の様な一つの大きな部屋の中に沢山の敵や罠が仕掛けられた部屋なのですが、これが他のゲームとは比較にならないくらいよく遭遇します

偶発的に遭遇するモンスターハウスに加えて10F毎にボスと戦う専用のフロアもモンスターハウスでして…運が良かろうと悪かろうと兎に角モンスターハウスの攻略は避けては通れないゲームデザインになっているんですよね。

『竜人結界』のシステムによってうまく切り抜けるのが一つの醍醐味でもありますし他のローグライクよりはモンスターハウスの脅威度は低いですが、敵に囲まれて闘うのは事故も起きやすくリスクがかなり高い戦いを強いられるという覚悟は必要です。

そしてもう一つの理由として武器の入手頻度がなかなか渋く、更には強化方法も乏しい所もあります。

運が悪いとずっと最初の階層で拾った弱武器のこんぼうをひたすら振り続けるパターンもありうるわけで、ガンガン鍛えまくって行く『不思議のダンジョンシリーズ』と比べると終始玄人向けなゲームの印象を感じさせられますね。

 

ドラゴンファングZの総評

基本的な部分は過去のローグライクRPGの名作の良い部分を周到しつつ、それらには足りなかった攻めの要素を取り込んだ本作は骨太の難易度バランスのチューニングと合わせてローグライクの玄人向けの作品というイメージを感じます。

ですので私の様な温めの難易度で満足しているようなタイプは中々最下層に届くまでに時間も掛かるとは思いますが、Switchの携帯モードでちょっとした時間の合間に気長にチマチマ遊ぶのには物凄く適したゲームだと思います。この手のゲームは何回も遊べますしね。

私の様に『不思議のダンジョンシリーズ』の新作を待っているような人やリスクリターンを考えて行動するローグライク系ゲームに惹かれる人には本作を楽しめる素養は充分あると思いますし、オススメです。


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