人狼の面白さを見事に落とし込んだ『グノーシア』レビュー

皆さんこんにちは。

にぃど(@switch_for)です。

本日は、AI相手に人狼をするというユニークなコンセプトの『グノーシア』のレビューをしていきます。

先駆けて発売されたPS VITA版も含めプレイヤーから非常に高く評価されている本作。ネット上では絶賛する高評価レビューや感想が溢れていますね。

私もNintendo Switch版をプレイをしてみて思うのは、非常に良く出来たゲームという事です。

しかしその一方で、独特なゲーム性は万人向けではなく人を選ぶタイプでもあると感じます。

ですので、これから購入を検討している方は、具体的にどんなゲームなのか?自分に合いそうなのか?その判断材料として当記事を参考頂ければ幸いです。

それでは早速レビューしていきましょう。

基本情報機種:Nintendo Switch/VITA
価格:2,750円
メーカー:プチデポット
ジャンル:人狼シミュレーション+アドベンチャー
プレイ人数:1人
オンライン:なし
暴力表現:なし
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ゲームの概要

本作は他に類似するものがない独特なゲームですので、まずはどんな内容なのか?その概要をしっかりとお伝えしていきたいと思います。

このゲーム、実は○○だった

本作のゲーム画面をパッと見て、多くの方が恐らく「これはテキストアドベンチャーゲームかな?」「ストーリーを楽しむゲームかな?」なんて想像されると思います。

私も当初そんなイメージを持っていたのですが、実のところ本作は物語を次々読み解いていくだけのゲームではありません。

プレイヤーは人狼のルールをベースにしたゲームを、何度も何度も繰り返していきます。

そしてその繰り返しの中で時々ストーリーイベントが起きると言った感じで、物語を読んでいくと言うよりも自分で考えて遊ぶ時間が多いゲームだと考えてください。

因みに、私がクリアまでに人狼を繰り返した回数ですが、実に140回に上ります。

数字だけを聞くと「そんなに繰り返すの⁈」と驚かれる方も多いかもしれません。

大体1回が早ければ3分、長くても15分で決着がつくのでプレイ時間としては合計15時間程度といった所でしょうか。

とにかくサクサクに進行するのと、小出しに展開される物語に気になってついついプレイが止まらなくなってしまうそんなタイプのゲームですね。

※【解説】人狼とは?

人狼側と人間側に分かれて対戦する多人数参加型の心理戦ゲームです。

参加者の中に人狼(狼男の様な者)が人間の姿で紛れ込んでおり、毎晩一人ずつ人間の命を奪っていきます。(人狼役が人間を一人ずつ離脱させていきます)

このままでは人狼に人間は絶滅させられてしまう。そんな危機的状況から脱するために行うのが多数決による処刑です。

皆で話し合い誰が人狼なのかを投票。その一番票を集めた人を処刑する。これを一日一人ずつ行っていき人狼を追い詰めていく事になります。

心理の読みあいや駆け引き、そして投票を何度も間繰り返し【人間の数=人狼の数】になる前に人狼を全員処刑できれば、見事人間側の勝利。そうでなければ人狼側の勝利となります。

人狼を一人で遊ぶという事

スマホなどで人狼の遊びをそのままオンラインで遊べるようにしたアプリがありますが、本作はそれとは大きく異なるものです。

根本的に違うのは対人戦ではなく対AI戦であるという事。

一緒に遊ぶ相手と同じ場所に集う必要も、オンラインでマッチングする必要もありません。

プレイヤーは宇宙船の中に閉じ込められ、AIがコントロールするキャラクター達と何度も人狼を繰り広げることになるのです。

AI達と話し合い、それぞれが独自で判断・決断して行く。

誰が人間側か人狼側(このゲームではグノーシアと呼んでいます)かは毎回ランダムです。

独自に思考して誰かを騙したり、誰かを疑ったり、誰かを頼ったりする14人のキャラクター達。

プレイヤーは人間側だけでなく時にはグノーシア側にも立って、彼らと協力あるいは敵対していく事になるのです。

見える化された個性

私達人間には嘘が下手な人や人とすぐに親しくなれる人など、様々な個性が存在しています。

それは本作のAIを組み込まれたキャラクター達も同様です。実に多種多様な個性に溢れる登場人物は全部で14人。

面白いのが、各キャラクターの個性をパラメーターで見える化をしているという事ですね。

演技力が高いキャラは嘘が上手い。ロジックが高い人は人を説得するのが上手い。直観力が高い人は勘が鋭い。

そんな風に数値化された個性に加えて、義理堅い人もいればそうでない人もいたりとキャラごとの性格も備えられています。

このキャラの個性・性格はゲームをカラフルに彩るだけでなく、本作の攻略において非常に重要なポイントになります。

パラメーターの表面的な部分だけでなく、ゲームを繰り返していく内にそれぞれの癖やパターンを学習していくことで、勝率もどんどん上げられますからね。

スキルで戦うパズル的なゲーム性

14人のキャラクターはどれも一癖二癖もあり、その発言や行動にも個性を感じます。

しかしながら所詮はプログラムで組み上げられたAI。細かい表情の変化や細かな声の震えなどを読み取ることもできず、情報量は現実の人間を相手にするのと比べて圧倒的に少ないです。

そこで本作で導入されているのがスキルになります。

スキルは他者を揺さぶるものや人をかばうなどその種類は様々です。

例えば「人間だと言え」というスキル。これは全員に「私は人間です」という言葉を言わせて、嘘を付いている人物を見ぬこうというものです。

他にも哀しいフリをして同情を買ったり、誰かに助けを求めるなど状況を見ながら様々なスキルを駆使していく事になります。

しかし、スキルによっては行動が目立つものもあり、周りから不審がられたり、グノーシアに襲われてしまう可能があるので要注意です。

人間側は狙われないように上手にスキルを使って立ち回り、グノーシアを見つけて追い詰めていく。

グノーシア側は自分たちの正体が暴かれないよう仲間と協力し、上手く人間たちをスキルで誘導し、人間を減らしていく。

そんな風にスキルを駆使してじわじわとゴールへを導いていくゲーム性が、対人の心理戦のゲームである人狼とはまた趣の異なったパズルゲームっぽい体験を生み出していますね。

因みにスキルは他のキャラクターも使用してきます。キャラクターによって使ってくるスキルが違うので、それもまた個性へと繋がっていますね。

RPGの様に成長があるゲーム

ここまで本作が人狼の「パズルゲームっぽい」という部分を強調して説明していきましたが、純粋なパズルゲームにはないシステムが備えられています。

それはプレイヤーのパラメーターの成長です。

登場するキャラクター達同様に、プレイヤーにも能力のパラメーターが存在します。

そして、ゲームをプレイする度に経験値を取得していくことで、レベルアップと同時に好きなパラメーターを伸ばしていく事ができます。

直感が高くなればなるほど人の嘘を見抜けるようになったり、カリスマが高ければ人から意見の支持を集めやすくなる。

それ以外にも、パラメーターを伸ばしていく事で、使えるスキルも増えていきます。

スキルはイベントで習得し、パラメーターが条件を満たせば使用可能に。

何度もゲームを繰り返し、能力を上昇させ、使えるスキルがどんどん増える。

このプレイすればするほどゲームの攻略がし易くなったり、選択肢が増えていく感覚は、さながらRPGの様な印象に近いものを感じますね。

役割で生まれる駆け引き

本作において深みを与える要素として人間側には役割というものが存在します。これは人狼ゲームからそのまま引用したものなので、人狼を実際に遊んだことがある方なら恐らくすぐにピンとくるでしょう。

例えば「エンジニア」という役割は、一日一人だけその人がグノーシアなのかどうかを調べることができます。グノーシアを見つけられる重要な役割ですね。

他にも一日一人だけグノーシアの襲撃から守ることができる「守護天使」など、色々な役割が本作には登場しますが、役割の中には自らその役割を名乗り上げることができるものがあります

名乗り上げる事によって、グノーシアに狙われるリスクは確実に増えますが、周りに自分が人間だとアピールできたり、人間側の人に護ってもらえる可能性が高まるのはメリットです。

状況を見てどこで自分の役割を明かすのか?というのも攻略の肝となるのです。

因みに、グノーシア側は役割を偽って名乗り上げることができます

役割を偽られることで生まれる混乱は人間側に立つと厄介極まりないですが、グノーシア側は上手く役割を偽って周囲を混乱へと導く面白さがありますね。

こういった役割によって生まれる駆け引きは、人狼っぽさを上手く再現していますね。

徐々に解禁される物語

幾ら面白いゲームでも、同じことを何度も繰り返しているうちに飽きを感じてしまうのは当然のこと。本作もひたすら人狼のパズルを繰り返すので、時折「ちょっと飽きてきたかな」と思う瞬間が出てきます。

そんなプレイヤー心理を見計らったように絶妙なタイミングで挿し込まれるのがテキストアドベンチャー的なイベントです。

なぜグノーシアは存在するのか?なぜ何度もループして人狼を続けるのか?徐々に解き明かされていく、物語の謎や登場人物の秘密。

話の続きが気になって「もうちょっとやってみよう」というモチベーションへと繋がってます。

本作はこのイベントを差し込むタイミングが非常に上手いので飽きそうで飽きないという不思議な感覚で最後まで私はプレイをすることができました。

最初の内は各キャラクターの表面的な部分しか見えていなかったのが、段々と深い部分まで知ることでより魅力的に感じるようになったりして、感情移入への誘導としてもよく出来ていますね。

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ゲームの印象

冒頭で本作は面白いけど人を選ぶタイプのゲームと述べさせて頂きました。一体どんな所にそれを感じたのかを含めて、ここからは本作をプレイして感じた事をお話していきます。

良く言えば独特で悪く言えば中途半端

本作は概要でも説明した通り、推理パズル的なゲームでありながら、テキストアドベンチャー、RPGなど様々な要素が交じり合ったものになっています。

それゆえに他のゲームに無い独特な体験を生み出しているのですが、何か一つのポイントに絞って期待をすると肩透かしになる可能もあります。

例えば濃厚な物語を楽しみたくて手にした様な人には、ひたすら人狼をやらされる事に煩わしさを感じるかもしれません。

人狼中の会話についてはほとんど定型文でやり取りが流れていくので、毎回各キャラクターが同じセリフを繰り返す事にガッカリしてしまうのではないでしょうか。

何度も何度も各キャラクターの定型文を見て、各キャラのセリフを覚えてしまうほど。

逆にAIとの純粋な頭脳戦を期待して手にした人には、レベルを上げていく内に攻略が楽になっていく事に萎えてしまうかもしれません。

人狼を期待している人にしても、リアルの人狼ゲでできることが、本作ではできないというジレンマもあります。対人と対AIではやはり色んな部分が違いますからね。

本作はこのように、既存のゲームにあるものを期待してプレイをすると「思っていたのと違う」「聞いていたよりも微妙」となってしまうかもしれません。

どちらかというと様々な要素が絡み合って起きた化学反応がどんなものか?

そんな風に未知のものに触れる様な興味を持って、挑まれると良いかもしれません。

変化していくプレイフィール

本作を最後までプレイして思ったのは、グラデーションの色の様にプレイしていくにつれて印象が変わっていくゲームだという事です。

そして、この印象が変わっていく事がゲームを続けさせるモチベーションになったのは間違いありません。

では具体的に序盤・中盤・終盤でどのように変わっていったのかを以下に述べていきましょう。

▼序盤(1~30ループくらいまで)
最初はしばらくチュートリアルが続き、登場人物の紹介や役割などゲームのルールを学びます。

使えるスキルがまだ少なく、グノーシアをあぶりだす方法が殆ど無いので、あてずっぽうに投票していくような場面が多いですね。

人によってはこの時点で「本物の人狼だと○○ができるのに…」と不満を感じるかもしれませんがも分からず投票せざるを得ない状況は人狼の初心者っぽさを上手く表現できているのではないでしょうか。

▼中盤(30~80ループくらいまで)
この頃には既にゲームのルールに慣れ、キャラクターの個性なども徐々に理解し始めています。

自分で参加人数や役割を選べたりするようになり、スキルも次々と覚えていきます。この辺りで人狼的な面白さのピークが訪れる感じがしますね。

一部の人物達の謎が垣間見えるなど各キャラクターのストーリーの掘り下げも進み、それぞれのキャラクターの存在感や感情移入度もどんどん増していきます。

最初は淡白で平凡に見えたキャラクター達が、この頃には魅力があぶり出されてキャラゲーやギャルゲーの様な印象すら感じさせますね。

▼終盤(80ループ以降)
多くのスキルを習得し、能力的にも成長した結果、手応えの薄さをを感じ始めます。

しかしこれも計算されていたのでしょうか。物語がいよいよ核心へと迫る事で、興味の対象がいつの間にかゲームプレイから物語へシフトさせられています。

なぜプレイヤー達は何度も何度もループを繰り返し、人狼を続けなくてはいけないのか。それを掴もうとラストスパートをかけるようにループを繰り返します。

そしてその先にあるのは少し切ないけど爽やかなエンディング。心の中で「ありがとう」といいたくなるような、そんな気持ちにさせてくれる幕のの閉じ方は非常に良かったですね。

配慮の利いた設定

このゲームの元となった人狼ゲームの設定には、色々と生々しいものがあります。例えば、投票で処刑をするとか、人狼が一人ずつ夜な夜な遅い食べていくとか。

そんな人狼の持つ生々しさに対して本作は不快にさせないような配慮が行き届いています。

例えば投票の後行われるのは、処刑ではなく「コールドスリープ」です。肉体や魂が滅ぶわけでもなく眠りにつくので罪悪感がかなり薄まっています。

あっさりと眠らされていくキャラクター達。

グノーシアが襲うという事にしても、あくまで人間を「消滅」させるという表現を使っています。触れた人間をまるでデータ消去する様に、あっさりと消滅させるので血生臭い描写もありません。

本作はただでさえループもので何度も繰り返す上に、各キャラクターが非常にいい味を出しているゲーム。強く罪悪感を感じるような行為が繰り返されるのはストレスへと繋がります。

しかし、このようにSFの世界観と設定を活かしてオブラートに包んだ表現を選んだことで、プレイヤーがある程度割り切って投票したり消滅をできるようになっているのが素晴らしいですね。

最後に

対AIの人狼という異種独特なゲームとしてゲームとしてまとめ上げた本作。

サクサクと繰り返し遊べる中毒性の高さや個性豊かなキャラクター、推理パズルを解いていくようでRPG的な成長の手応えもある。プレイ中はとても充実した時間を過ごせましたね。

エンディング後は非常にさわやかな気持ちになれ、多くの方が本作を絶賛していた通りの充実した時間を味わえたような気がします。

しかしその一方で、スロースターたーな所や独特なゲームデザインが、人によってはマイナスになりうる可能性もプレイの中で少し感じる所もありました。

評判が良さげな雰囲気で手にしてしまうと、期待しているものとのギャップに驚かれるかもしれません。

ただ、当記事(他のレビューも)を見て「なんとなくどういうゲームか分かった!面白そうに感じた!」という方でならば、十分の価値があるゲームとしてオススメできるゲームですね。

因みに、人狼をテーマにした”物語を楽しみたい”という方には、本作ではなく『レイジングループ』を私はオススメします。

こちらはグイグイと物語に引き付けられ続ける、テキストアドベンチャーの傑作ということで割と万人にオススメですね。

参考記事:レイジングループ レビュー”夜更かしは避けられない?!これぞ傑作ADV”

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