夜更かし必至のテキストアドベンチャー『レイジングループ 』レビュー

皆さんこんにちは。

にぃど(@switch_for)です。

低価格RPGを量産し続けるメーカーのケムコ。RPGツクールでドット絵のゲームを作るイメージを持っている方も多いと思いますが、実はテキストアドベンチャーの名作をいくつか送り出していたります。

そのひとつが今回お話しする『レイジングループ』です。

様々なハードで発売され非常に高く評価されている本作。2017年にNintendo Switchユーザー対象に行われたアンケートでも堂々の6位に選ばれています。(5位は『スプラトゥーン2』)

これほどの評価の高さの理由は、とにかくストーリー部分の圧倒的な面白さに尽きますね。人狼ゲームをテーマにしたホラー&ミステリーなシナリオに引き込まれ、私はしばらく寝不足状態となりました。

しかしながら、ケムコと言うややマニアックなメーカーであったり、定価が3000円近い強気な値段だったりして、評判が良くても手を出しづらい部分もあるゲームでもあります。

そこで今回は本作がそれだけの価値があるのかどうか参考頂けるよう、ネタバレに配慮しつつも詳しく感想や印象などを語っていきたいと思います。

それでは早速レビューしていきましょう。

基本情報機種:Switch/PS4/Steam/VITA/iOS/Android
価格:3,056円
メーカー:ケムコ
ジャンル:テキストアドベンチャー
プレイ人数:1人
オンライン:なし
暴力表現:あり
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物語のあらすじ

本作は大学生・房石(主人公)が寂れた農村に迷い込むところから物語は始まります。

山々に囲まれた農村で出会う村人たちは、余所者に冷たくどこか閉鎖的。主人公・房石はその居心地の悪さを感じて早く去りたいと考えますが、残念ながらそこで足止めを喰らう事になります。

上京先から田舎に帰ってきた千枝美。ノリの軽い彼女が赤い霧の発生に突如顔色を変える。

赤い霧が農村を包み、建物に閉じ込められた主人公・房石。不可解なほどに外に出てはいけないと釘を刺され目覚めた翌朝、彼は村の恐ろしい伝統を知ります。

それは赤い霧の中に閉じ込められた人間たちで行われるリアルの人狼ゲームです。

人狼ゲームと言えば多人数で遊ぶ心理戦ゲーム。人間の中に潜んだ人狼が夜な夜なを食べていくので、疑わしき人物を皆で投票し処刑をするというルールが特徴的です。もちろん人狼ゲームはお遊びですから、処刑や人狼に食べられることはただのゲームの離脱でしかありません。

しかし、恐ろしい事にこの農村のリアル人狼ゲームでは本当に人の命が奪われます

▲この中にオオカミが隠れてヒトの命を狙っている。ならばそのオオカミを見つけて処刑せねばならない。疑心暗鬼の中オオカミ探しの心理戦が繰り広げられる。

現代の日本の法では決して許されないような事。しかしこの世間から隔離されていた村では「伝統にしたがわなければ祟りによってより残酷な最期がもたらされる」という恐怖が人々を縛り付けていたのでした。

主人公・房石はこの狂ったリアル人狼ゲームの心理戦を戦い抜き、生存することを一つのゴールとして物語を当然進めていきます。

なぜ人狼ゲームで実際に命の奪い合いをしなくてはならないのか?なぜ村人はこの村から逃げ出さずに暮らしてきたのか?次々と生まれてくる疑問の数々。そして度重なる怪現象の発生。

更に不可解なのは、命を奪われると時間がループするという事です。主人公・房石は何度も時間を巻き戻して、経験した失敗を糧にしながら人狼ゲームを繰り返す事になります。

このオカルトじみた伝承や怪現象が繰り返されるループの中を主人公・房石はいかにして脱するのか。そしてその裏側にある真実を突き止められるのかを、プレイヤーは見届ける事になります。

▲伝承として伝わってきたリアル人狼ゲームはそもそも一体なぜ行われるのだろうか…数々の謎に房石は立ち向かうことになる。

物語の印象

本作は怪現象や無残に命を奪われるシーンなどホラー色が強めな作品ですが、本質的には人狼ゲームの駆け引きやその背後にある村の謎を紐解いていく推理小説的な面白さにあります。

主人公・房石は人狼ゲームで様々な思考を張り巡らせ生き残ろうとするのですが、そんな房石を見透かしあざ笑うかのように不測の事態が何度も襲い掛かかります。

謎が紐解けそうなのに紐解けない。一つ解決したと思えば更なる謎が産まれる。そんな風にグルグルと謎が謎を呼ぶ状態が続く事ので、ゲームに対するモチベーションはかなり高く維持されますね。

正直序盤の15分くらいはダレる部分もあり「大丈夫かな?このゲーム」と思った節もありましたが、人狼ゲームが始まってからはどんでん返しや先の読めない展開の連続によって、雪崩れ込むようなスピード感で物語が進んでいきます。

私は普段夜更かしをせずキッチリ11時過ぎには寝るタイプなのですが、連日深夜2時を過ぎるのが当たり前になるほどに夢中にさせられましたね。続きが気になって仕方がないと、ついついSwitchに手を伸ばしてしまいました(笑)。

クリアまでにかかった時間は大体7時間程です。息切れすることなく面白さを持続させた物語の結末には痛快な展開が待っており、寝不足でプレイした甲斐があった!と清々しい気持ちになれましたね。

ただ一つ注意点としてお伝えしたいのが、残酷な描写やホラー描写が多めという事です。私はそういった類は得意な方ですが、夜お風呂に入るときにちょっと怖くなった時がありました(笑)。

▲実際のゲーム画面には「自主規制」の文字はないのでご安心を。血の描写や表現等グロい部分もあるので苦手な人は注意。

時折コメディな会話も交えたりしてブレイクはあるものの、全体的にシリアスな雰囲気で緊張感もなかなかのものです。

ただ、最終的にこの重苦しさを振り払い「レイジングループ最高!」と清々しい気持ちでスッキリ終れる作品であったのは本当に良かったですね。

物語の道中には気持ちが凹むシーンも色々ありましたが、最後にパッとキリを払うかのようなカタルシスが兎に角最高な作品です。

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ループものならではの面白さ

本作は多くのテキストアドベンチャーが用いている分岐型のストーリー形式を用いています。

そして便利なことに、バッドエンドにたどり着いた場合や自分が戻りたいと思った場合に、好きなところからストーリーをやり直したり分岐の選びなおしができます。

これ自体は特段珍しくもなんともないありふれたものなのですが、面白いのは私たちプレイヤーと同様に人公・房石もバッドエンドの記憶を持ち越したまま別のルートをやり直せるというところにあります。

これによって主人公がその経験を糧に思考を広げ、同じルートでも新たな選択肢を選べるようになるなど、新しい展開に進めるようになります。

▲過去に経験したバッドエンドルートの選択肢にはどくろマークが。バッドエンドでカギを入手したことで選択肢が選べるようになることも。

バッドエンドの経験に基づいて別の選択肢へ進むというのは説得力がありますし、主人公がプレイヤーと同じように過去の失敗を共有しながら進んでいく点で、物語に没入しやすくしていますね。

ただ、主人公の房石は非常に頭の切れる男という事もあり、ゲームプレイ全体の中で選択肢を求められる場面は少なめです。

また、的確なヒントを教えてくれる「ひつじ」という存在が毎回ヒントをくれるので、ほぼほぼプレイヤーが頭が使うような場面はありません。

▲房石がバッドエンドを迎える度に登場し、ヒントをくれる謎の『ひつじ』のお陰で選択肢はほぼ迷うことはない。

更にはバッドエンドを見ないと正解のルートへ進める選択肢が解放されないというのも合わさって、分岐ものでありながらも実質は一本道のシナリオを読むゲームになっていますね。

集めた情報から推察して答えを導く『逆転裁判』のようにプレイヤーが推理をするゲームでもなく、全く違う方向性で完結していくマルチエンディングでもない。

しかし、何度も自分でチャートを選びなおし、何度も物語をループしながら答えに迫っていく感覚が、小説とはまた違ったゲームならではの読み解く面白さを感じますね。

房石陽明という主人公を通して、ループの中で描かれるこの濃密な物語を読み解く面白さと没入感は「ストーリーをとにかく楽しみたい」と最優先にしている人には、かなり刺さるものだと思います。

個性的な登場人物達

本作のキャラクターのデザインに関しては、正直最初の内はあまり良い印象ではありませんでした。なんとなくモブっぽい雰囲気がどうにも安っぽくも見えたからです。

しかし、実際にプレイをしていくとキャラクター達への印象がどんどん変わっていきましたね。

▲最初主人公の房石と千枝美すらはじめはモブキャラに見えるが、その個性が物語を追うごとに焼き付けられていく。

特に本作では人狼ゲームの心理戦や危機的状況下にキャラクターが置かれるため、物語を進めていくと隠れた内面がどんどん浮き彫りになっていきます。

例えば、大人しい人がここぞという時に意外な力を発揮して頼もしかったり、優しそうな人が意外と残酷な一面を持ってゾッとしたり。

また、最初は主人公・房石が余所者という事で、村人からかなり距離を置かれた感じで始まるのですが、村人との関係性が変化していく事で見えてくるものもあります。

▲隔離された田舎の村で冷ややかな目線で見られるよそ者の房石がどうやって村民たちの信用を得ていくかというのも見どころ。

中には親睦を深めてちょっとしたラブストーリーな展開もあったり、驚愕の事実を知っってしまい全く印象が変わってしまうというパターンもあったり。

▲初めは蝋人形のような不気味さを感じさせていた李花子。内面を知っていくうちに意外と人間らしい部分が垣間見えてくる。

ルートによって人狼役が変わり、誰もが敵にも味方にもなりうるので、様々な角度でキャラクター達を理解していく事ができます。

その内に最初に抱いていた印象は全くなくなり、いつの間にか非常に個性的でイイ面子が集まっているな!という感じに変わっていったのは良かったですね。

クリアまでに本当に色々あって誰を信じるべきか疑うべきか、徹底的に悩まされるゲームですが、最終的には皆愛着を持てるキャラクター達ばかりです。

まずは体験版を

本作は各プラットフォームのストアから体験版をダウンロードできます。(Nintendo SwitchならeShop)

ここまでのレビューを見て頂いて少し興味が湧いてきたという方はもちろん、なんとなく良さそうだけど決定打にはならないという方もプレイはタダなので、是非とも体験版を遊んでみてください。

体験版のボリュームはゲーム全体の1/3近くまで体験できます。本作が自分に合うかどうか十分判断できる長さです。

平和な序盤(開始から15分くらい)は少し退屈かもしれませんが、そこから一気に物語が展開して面白くなっていき最後まで走り抜けていく物語に夢中になってしまう可能性は大!

どのハードで遊ぶべきか

本作はSwitch・PS4・VITA・Steam・スマホという複数のプラットフォームに出ておりますが、複数のハードを所有している方も多いと思いますので、どのハードで遊ぶのが良いのか判断基準をご紹介します。

▼価格重視の人
iOS/Androidは家庭用ゲーム機版と比べてかなり安いので値段を優先する場合オススメです。

▼パッケージ派の人
パッケージが販売されているのはPS4のみ、という事で選択の余地はありません(ゲームの内容についてはSwitch版と同じものになります。)

▼兎に角快適に遊びたい派の人
家庭用ゲーム機版はフルボイス、追加の画像等iOS/Androidから追加されたデラックス版と言える仕様となっています。(その分お値段は高くなっていますが)

中でもSwitch版に関してはボタン操作だけでなく液晶のタッチパネルで操作できたりと操作系統に関しては各ハードの良いとこどりです。

片手のジョイコンだけで全操作ができますので左手は完全フリーに遊べます。お菓子やお茶を飲みながらどうぞ。

いかんせんダウンロード版しかないのが残念ですが、プレイし出すと7時間くらいは文章を読むゲームですし、快適でデラックスなSwitch版をという意味で個人的にSwitch版をオススメします。

因みに、完全読本やサントラも発売していたりします。ケムコと言うどちらかと言うとマイナーなメーカーのゲームでも、こういったものが販売されているところから根強い人気のある作品だという事が伺えますね。

 

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