久々に出会ったストレスフルなゲーム!『Dragon Marked for Death』レビュー

Nintendo Switch向けにインティクリエイツから発売された『Dragon Marked for Death』(ドラゴンマークトフォーデス)を6時間プレイした、ちょいかじりのレビュー/感想記事になります。

本作の感想を率直に言うと

「一人用と複数人プレイを共存させようとした結果バランスがぐちゃぐちゃになってしまっている」

という印象で、素材の良さを全く生かせていない非常に勿体ないゲームです。

本当はゲームを完走してからレビューを書くべきなのですが、これはSwitchで遊んだゲームの中でも他に見ない辛いゲームで続行する気力がなくなり投げてしまいました。

ですので今回は最後まで遊びきったのではなく「ゲームを投げてしまった人間の感想」という観点で、当記事をご参考いただければ幸いです。

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ドラゴンMFDの概要

開発・販売のインティクリエイツは元々はカプコンの『ロックマンシリーズ』を手掛けていたクリエーター集団です。

『ガンボルトシリーズ』や『Blood Stained』等2D横スクロール型のアクションゲームを作る会社として定評がありますね。

そんなインティの最新作である本作は、得意とするドット絵の2D横スクロール型アクション!

なおかつ史上最大の開発規模!

否が応でも期待値はぐっと高くなりますね!

本作の特徴は操作キャラクターを特徴的な4人の中から自由に選べ、クエスト形式のミッションをこなしていきます。

レベルによる成長やランダムで入手で強いアイテムをゲットすることを目的にしたハクスラ要素もあります。

▲クエストをクリアすると道中手に入れたアイテムが手に入る。入手内容は完全にランダムで「〇〇+1」のように能力値が高いものも存在する。

一人プレイは勿論、最大4人までのマルチプレイ(オンライン)が可能ということでコンセプトとしては…

2Dアクションゲームの「この要素があったらいいな」というのが沢山詰め込まれた作品ですね。

 

GBA時代を思い出す手触り感

ゲームを動かして最初に感じたのは、ドット絵やモーションなどから『ロックマンゼロシリーズ』などGBA世代のアクションゲームを触っているような懐かしさです。

最近のドットゲーは絵を美しく見せるために、最新の3Dゲームで使われているようなライティングを使って昔のゲームとの差別化を図っていくのが流行りです。

しかしインティさんはそこに乗っからず、あの頃のゲームをもっと追及していこうという印象を感じさせますね。

▲ドットで描いた映像に3D的な表現を織り交ぜる手法で新しいビジュアルを生み、高く評価された『オクトパストラベラー』

操作性は流石長年2Dアクションゲームを作っているインティクリエイツのゲームだけにスムーズで馴染みやすくいです。

実際に触ってみるとPVで見たモサついた印象よりも遥かに滑らかさとスピードを感じれるのも良いですね。

▲敵の動きを見極めてパターンを読むことが重要なボス戦。

ハイライトとなるボスもパターン化した相手の動きを覚えて倒すという昔ながらのアクションゲームのスタイルを踏襲していて、

オンライン要素など随所に現代化はされてはいるものの全体的に懐かしい作風のゲームですね。

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一人で遊ぶとストレスフルになるゲーム

さてここからが今回のレビューの本題でゲームの中身についてお話しさせていただきます。

本作は酒場でクエストを受けて雑魚敵を倒しながらステージを進み、ボスを倒してゴールするというシンプルなゲームルールです。

各ステージには広いマップで探索しながら突き進むものもあれば、狭いマップで襲ってくるモンスターから民間人を守ったりするものもあり、クエストによって様々です。

▲広い迷路のようなマップを突き進み、ボス敵を倒してゴールのパターンがどちらかと言えば多くを占める。

これだけを聞くと無難に面白そうな要素を詰め込んでベースにしていますよね。

これまでのインティクリエイツのゲームを知る人であれば一定の品質は保証されているという印象を持つ人も多いのではないでしょうか。

しかし、実際にプレイをしてみるとこのゲームには色々な問題を孕んでいることが分かります。

これからそれぞれを分けてお話ししますが、

一人用で遊ぶ場合いくつもの問題点が絡み合いとんでもないストレスフルなゲームになっているのです。

1.クエストの制限時間

クエストに時間制限があるゲームは珍しくありませんが、本作がつらいのはメトロイドヴァニア※なマップでも制限時間(それもそんなに余裕がない)を設けられるという事です。

※メトロイドや悪魔城ドラキュラの様に複雑なマップを探索していく2Dアクションゲームのジャンルの総称。

マップの中には隠し部屋があったり、鍵を入手する事で開けられる部屋などあるのですが…

なぜか時間制限があるせいで初見はクリアを目指して一直線にならざるを得ないんですよね。

クエストを反復してボスや雑魚敵を簡単に倒せる位にレベルを上げれば探索をする余裕は産まれますが…

やはり初見で新しい場所をドキドキしながらじっくり探索していく手探り感っていうのがこの手のゲームの面白さの一つなのでそこは破綻して欲しくなかったですね。

2.敵がやたら硬い

本作の敵は兎に角硬いです。

そしてそれに追い打ちをかけるように無駄に無敵時間を持った敵がやたらと出て来て辛すぎます。

クエストに制限時間が有るゲームなのでそういった無駄に攻撃できない時間稼ぎみたいな行為があるとストレスを強く感じさせられますね。

更には無敵状態になれる敵が二体で狭い場所に現れて襲ってくるパターンもあります(泣)

そうなると時間稼ぎ的なストレスを超えた理不尽さに乾いた笑いが止まりません。

無敵状態でタックルしてくるのをそれをジャンプで避けてももう一体が無敵タックルで着地狩りしてくるみたいなそんなウザさの塊を何度も相手にしていると

「なんでこんな嫌がらせみたいな事してくるんだろう…」とゲンナリしてしまいますね。

3.状態異常、ダメージ床のオンパレード

このゲームでは毒でジワジワダメージを与えられたり、混乱でスティック操作が逆転したり、痺れて攻撃ができなくなったりなど…

他のゲームで散々バッシングされてきたような状態異常が序盤から満載です。

しかもたちが悪いのは効果時間が長く、プレイヤーにまとわりつくようにストレスを継続して与え続けるんですよね。

▲アクションゲームでウザい要素トップクラスの操作反転に序盤から悩まされる。

また、毒沼の様なダメージ環境や動く足場などもとてもいやらし~い感じに配置されています。

余りの酷さに比較的温厚にゲームを楽しく遊んでいる私がコントローラーぶん投げそうになりました…。

こんなに自分がゲームで荒ぶったのは久しぶりですね(苦笑)

兎に角スリルを楽しませようなんてプレイヤー目線ではなく、無駄にプレイヤーのHPを削ってイライラさせるだけのストレス要素にしかなっていないものが目立ちますね。

実際、インティクリエイツが発売前に配信されている以下の動画を見ると分かり易いのですが…

開発者と一緒にプレイしている「声優のイライラ」や「開発者すらまともに遊べていない」その様子が垣間見えます。

▼参考動画

悪質な毒沼にハマり途中明らかにイラつきと困惑を隠し切れない様子で「なぜにこんな難しいクエストを…」とボソッと小声で漏らしています。

これが高難易度クエストのステージでも何でもなく序盤のステージだから驚きですよ。

そして恐ろしいことにストレス要素はクエストの難度が上がるにつれ、理不尽度がどんどん増していきます。

ワープで転送したらいきなり足元から敵に噛みつかれるとか(笑)

いや、それ初見で避けるの絶対無理だよねって。

これ任天堂の宮本茂さんにテストプレイして貰ったら世の中にある全てのちゃぶ台ひっくり返して回るレベルですよ…。

ここまでくると他のゲームではありえないような理不尽さがゲームの中に沢山溢れていて「いったいこの先にどれだけストレスを感じる要素を盛り込んでいるのだろうか」と興味すら湧かせます。

▲暗転から画面が切り替わった瞬間になんの前触れもなく下から現れた敵の爪に挟まれている…理不尽すぎる

正に開発者VSユーザー「どれだけストレスと戦えるか!」みたいな印象が私にはプレイを進めていく過程でどんどん強くなっていく作品でしたね。

 

4人で遊ぶにしても色々問題がある

本来であればじっくり一人でストーリークリアを目指して、エンドコンテンツや高難易度クエストをマルチで遊ぶところですが…

このまま一人で遊び続けるのはストレスが溜まりすぎてあまりにも辛い!

という事で、開始から3時間ほどして早々にマルチプレイも試してみました。

「一人用で辛いのはこのゲームは本来複数人で遊ぶ事を想定して作られているんだろう!せめてそうであって欲しい」

そんなある種一抹の望みに近いものを抱きながらオンラインマルチプレイを試してみたのですが…

残念なことにマルチはマルチで一人用とはまた別の問題が散見されます。

(ハハハ…どうしたらいいんだ…この救われない感情…)

1.発売日から既に過疎

論より証拠、発売日の夜のゴールデンタイムのオンライン募集件数を見てみましょう。

▲クエスト参加者を募っている部屋が表示している。条件はLV1以上で国内のプレイヤーだけで細かいフィルターをかけていない状態でこれ。

たった2件…これだけです…。

単純にプレイ人口が少ないという事もあると思いますが、それならばせめてこの小さいコミュニティで協力して色々クエスト回そうと考えるわけです。

しかしそれを邪魔するのが、一回部屋を立てると別のクエストに変更する事が出来ないこのゲームの仕様です。

他のクエストをしたければ解散離席して部屋を建て直すか、募集している別のクエストの部屋を探すことになりますが、これによってゲームを切り上げるきっかけにもなってしまっています。

半年後どころか発売1か月後にマッチングするのか…正直怪しいですね。

なんでこんな仕様にしたんでしょうか…。

2.画面がゴチャゴチャで訳が分からなくなる

2Dで4人プレイできるゲームってどうしても画面が見にくくなるのですが、これは特に攻撃やらヘイト管理のラインやらで画面がぐちゃぐちゃになります…。

▲これは4人で遊んでいる画像だが、うち二人は敵味方の攻撃が入り乱れ見えなくなっている。さらに複数敵が出て来るとカオスである。

ヘイトラインはオプションで消すことはできますが、正直それだけでも見づらさはたいして変わりません。

このゲームはキャラクリエイトが頭の飾りの一部の色程度しか変更できないので、他の人たちをキャラが被ると物凄く見づらいです。

Switchの他のゲームですと『星のカービィ スターアライズ』も4人の仲間と一緒にド派手な攻撃を繰り出して暴れまわる2Dゲームですが…

あれがいかに4人で派手に暴れても見やすく作っていたのか改めて痛感しましたね!

いや~この後カービィ遊んだらクッソ楽しめそう(苦笑)

3.雑なボス戦

他のマルチプレイのゲームでも複数人で遊ぶ場合、一人で遊ぶ場合よりも簡単になるという傾向というパターンはよくあると思います。

このゲームの場合も複数人でもバランスが雑です。

4人で遊んでもノーガードなのを殴るだけで終わるサンドバッグのようなボスもいれば、特定のキャラでは回避不可な攻撃をしてくるボスもいたり…

ヌルくしたいのか理不尽なくらい難しくしたいのか…一体どんなゲームにしたかったのかが遊んでいても読み取れません。

テストプレイをしてこれで良いと判断したのかかなり疑問です(苦笑)

4.雑魚はスルーが効率的

本作の雑魚敵は経験値が少ないので相手にせず素早くボスを倒し、クエストのクリア報酬の経験値やゴールドを得ることが効率的です。

そして、これに気付いたプレイヤー達は雑魚敵を障害物レースのハードルの様にスルーをして早くゴールへ一直線です。

あ~楽しいランニングゲーム!(泣)

 

まとめ

どんなゲームもストレス要素をスパイスとして入れてゲームを面白くしていますが…

このゲームはスパイスを適当にドカドカぶち込んだ挙句味見せずに出してきた料理のようです。

それなら「辛いので4人で分けて食べます!」って言ったら今度は…

シェフが砂糖ぶっかけて味が分からない料理して出して来る!

というどちらに転んでも雑な調理をしてくる感じで…

一体どのように楽しめるゲームにしたかったのか正直私には見えませんでした。

インティクリエイツのゲームは『ガンボルト』や『ブラスターマスター』、『Blood Stained』を遊んでいますが、どれも丁寧に作られたゲームでコンセプトとゲーム内容が合致しています。

しかし、本作はゲームコンセプトをぶち上げたのはいいが、ゲーム性やバランス調整をしっかり煮詰めずテストプレイもできないまま本作を発売してしまったのではないかと疑問に感じる作品ですね。

▲敵が進行したい先に留まって通れなくなるようなこともある。攻撃をして倒そうにもスーパーアーマー持ちで反撃されて倒されるので初めからやり直しをした

ただ、これはあくまで個人的な意見ですので人によってはハマる部分や私が見えていない本作の面白さが実はあるかもしれません。

(実際Twitter等を見ると楽しんで遊ばれている方もいらっしゃいます)

最初の数時間は微妙でも何十時間と遊んだらスルメの様に面白くなってくる…

そういうゲームも実際ありますので、色々購入者の評判や他のブログの記事等も併せてご参考頂くのが良いと思います。

ただ私自身はもうこれ以上本作を遊び続けるのは限界です。

しかしかつてこのゲームに期待した一人として、既に購入された人たちが少しでも満足できるものになるように改善は進めて欲しいと願います。

このゲームの後に同じくインティクリエイツが作っている『Blood Stained』を再度触ってみました。

同じ会社が作ったとは思えない良くできたレベルデザインや難易度調整でビックリですね。

どうしてこうなった…インティクリエイツ…。

▼関連リンク

良質安心の出来!『Blood Stained Curse of the Moon』レビュー・感想

▼追記2019/3/9

発売後数回のアップデートが行われましたが、見事に下方修正のオンパレードとバグの追加でよりゲームが更に怠く辛いものになりました(苦笑)

開発の人たちは楽しく遊ぶというよりもできるだけクリアに時間をかけさせたい方針なのでしょうか…。

(一体インティクリエイツどうしたんだ?!何が起きてるんだ!?)

ここまでくるとク〇ゲーハンターが匂いを嗅ぎつけてきそうですね…。

その手のゲームを探してる人にはめちゃくちゃオススメできますよ!(泣)

 

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