『Overcooked2』(以下本作)はNintendo Switch e-shopのランキング上位の常連タイトルだった人気作の前作を引き継ぐ形で2018年8月7日より配信がスタートしました。
前作をより洗練させた決定版ともいえる内容で前作の高評価がそのまま本作にも通ずるものとなっていますが、今回のレビューでは「Overcooked触ったことがないよ」という方にもできるだけ分かりやすいように述べていきたいと思います。
本作は料理をテーマにしたステージクリア型のアクションゲームで、各ステージごとに与えられた食材や調理設備を使ってお客から受けたオーダーのメニューを次々と提供していきます。
それぞれのステージには制限時間がありますので制限時間終了までできるだけ沢山のオーダーを捌き、時間終了時の得点によって星による評価判定されます。
星一つでステージクリアで星三つが最高となり、星の数によって次のステージが解放されたり隠しステージなどが解放されます。
本作に登場するステージ=キッチンは非常にユニークで個性豊かです。
回転ずしのようにベルトコンベアーが流れるようなものや中には気球の上や作業中の工事現場等非常識なものが多種多様にあり、新しいステージへ進める度にワクワクしますね。
ストーリーモードではステージを順を追って進めていきますが、見た目のインパクトだけでなく徐々にアクションのコツを覚えて上達を感じれる様なゲームデザインも光ります。
本作は何といっても多人数でワイワイ遊ぶのが楽しいゲームです。
前作からも2人のキャラクターを切り替えながら遊ぶソロプレイも可能ですが、正直言って一人で遊ぶのは『Overcooked』本来の持つ面白さの半分も楽しめないでしょう。
しかし、今回からオンラインを通じて遠くのフレンドや見知らぬ人たちと多人数プレイを楽しめるようになったことでより幅広い人が本作の魅力を楽しめるゲームへと進化しています。
因みに、オンライン対応に伴って上画像のようにYボタン+方向入力で「ありがとう」とお礼を伝えたり「調理中」等自分のやっていること、やろうとしていることをエモートで表現できるようになりました。
かなり簡易的なので細かいところまでの意思疎通はできませんが、スカイプ等が使えない見知らぬ相手とちょっとした意思の疎通はこれを使って図っていく事になります。
本作が人気な理由の一つに非常に簡単な操作性が挙げられます。
スティックでコック動かす、Aボタンでものを取る/置く、Bボタンでダッシュ、まな板やシンク等の前でYボタンを押せば食材を切ったり皿を洗ったりというそれに合わせた行動を、ものを持っている時にXボタンで投げる…覚えるのはこれだけです。
基本的に4つのボタンしか使用しないのですぐに覚えて直感的に操作しやすいですね。
また、お客から与えられるお題の「オーダーメニュー」もハンバーガーや寿司、パスタなど普段私たちが接している身近な現実にある料理になっていますので、そのレシピの食材や調理方法覚えやすく親しみやすさに繋がっています。
本作のメディア評価などを見ていると、どこも真っ先に多人数のマルチプレイの面白さを挙げていますね。
そういったマルチプレイが面白いと言われるゲームの評判を見る度に私が思うのは、期待感と同時にそれとは別の「どんな退屈なゲームでも人と一緒に遊べばそれなりに楽しいんじゃない?」という疑問だったりします。
本作に対してもそれは同様で、実際に手に取ってみるまでは半信半疑というか…ある程度楽しめれば良いかくらいの感覚で購入してみたのですが…
これがまぁ…圧倒的に面白いんですよね。
じゃあ一体何がこんなにマルチプレイを面白くさせてるのか?何が面白いのか?…という事なんですが、私なりに分析して出した結論がこれです。
”皆で声を掛け合うことによる連帯感”
これがゲームプレイを通じて強く感じれる所に本作のマルチプレイの際立った面白さがあるのではないかと私は考えます。
例えば「誰が肉を切るか」「誰が皿を洗うか」とかの役割分担を話し合ったりもそうですし、お湯が噴出して火事になりそうな場面で「火か出る!ごめん今手が離せないから!それ頼む!」みたいな感じでお互い声を出して助け合う事がゲームの攻略に対して直接響いてきます。
そうやって意思疎通を声に出して図らないとお皿を取り合ったり、通路を通る邪魔をしあってしまったりとロスが生まれてしまう作りにもなっているので、遊んでる方も自然と声が出て来るんですよね。
制限時間が近づいたときのカウントや火にかけたフライパンが焦げそうになった時に鳴るシグナル等でプレイヤーを煽って焦らせるような仕掛けもされていて、そうやって一体感を生むのがこのゲームは抜群に上手いです。
上記に加えて、ゲームな下手な人でも十分戦力として役に立って一緒に楽しく遊べるというのも本作を評価する上で大きなポイントです。
アクションゲームに慣れた人が幼児の子供やゲームに不慣れな人と遊ぶ場合、ほとんどがお世話する立場になって接待プレイになる傾向があると思います。
接待プレイされている側もおろおろするだけであまり役に立っていない実感が有ったり、お世話されるだけの立場に終始することに不完全燃焼を感じることもあるでしょう。
しかし、本作の場合は例えば「魚を切って皿に並べるだけでいい」「できた料理をはこんで欲しい」…と部分的にその人ができる範囲で仕事を割り振る事で、その人自身も自立して役割を全うしてゲームに貢献できます。
勿論上手い人が多くの仕事を担う事にはなりますし全員が上手な方がハイスコアを狙えるのは確かなのですが、分担作業によって”お世話をしている感”や”お世話されている感”が全く無くなります。
ゲーム操作が苦手でも指揮を執るのが上手い人が活躍したり、実際に操作していない人でも「お皿が足りなくなってきたよ」なんて声をかけて助け合うこともできますしね。
ですので、本作を購入された方は「彼女は普段ゲームやらないから」とか「まだ幼稚園児だから一緒に遊ぶのは難しい」とか気にせずどんどん一緒に周りの人を巻き込んで遊んでみるのを強くオススメします。
本作は意志の疎通がかなり重要なゲームなので、一度オフライン等で実際に人と一緒にマルチプレイを遊ぶ面白さを経験してしまうと、言葉を使ったやり取りができない環境でのプレイはかなり物足りない印象があります。
オンラインでもフレンドとスカイプ等を使って話しながら遊ぶのであれば全く問題はありませんが、見知らぬ人と簡易的なエモートでのやり取りではどうしても意思の疎通が図り切れず難しい場面が多々あります。
オフラインでのソロプレイについてはもってのほかで、一人でキャラクターを切り替えながらこなしていかなくてはならないので難易度も上昇しますし、黙々とそれをこなしていても全く面白さを感じません。
ですので実際に同じ場所で、若しくはスカイプで話しながら誰かと一緒に遊べる人とそうではない人で本作の評価は大きく変わってきますね。
他に細かい部分で気になったのは、ゲームの規模にしては若干ロードが遅めだという所でしょうか。
一度アップデートが入って少しマシになったような気がしますが、大体ステージの読み込みに10秒位かかります。
遅すぎてイライラするという事はないですがもうちょっと早くして欲しいなっていう加減ですね。
1人が頑張っても全体でちゃんと協力しないとグダグダになって良い成績が残せないバランスのさじ加減が上手く、自然とプレイヤー達が同じ方向を向く様に仕掛けが施されているのは本当に素晴らしいです。
声を掛け合い助け合い一つの事を達成する喜びや楽しさが詰まった老若男女問わず楽しめる良いゲームですね。
今回『Overcooked2』という事で前作よりも料理のレシピが増えたり、ステージのバリエーションや仕掛けもそうですし、いろんな要素が洗練されて前作よりも充実したゲームになっていますので前作から入れ替わってNintendo Switchのダウンロードタイトルの定番として長く人気が継続されそうな気がします。
オンラインで言葉をつかえない相手との意思疎通には課題はあるものの、ネットを通じて遊べる人や一緒に肩を並べて遊ぼうと誘える人が近くにいる人には滅茶苦茶盛り上がるのでオススメです。
幼児くらいのお子さんでもちゃんと教えてあげれば一緒に楽しく遊べるゲームですし、人と協力することの喜びを伝えられるゲームとして是非子供を持つ親御さんにも遊んでいただきたいそんなゲームです。
タイトル | Overcooked2(オーバークック2) |
メーカー | Team17 |
ハード | Switch/Steam(海外はPS4/Xbox Oneも) |
定価価格 | 2,750円 |
プロコン対応 | 対応 |
おすそ分け対応 | 最大4人まで対応 |