任天堂ハードのジャイロエイムの歴史

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開発中のSwitch初のバトルロワイヤルゲーム『Crazy Justice』でジャイロエイム対応のテストをしている公式動画がアップされました。

ジャイロエイムとはコントローラーに備わったモーションセンサーを使った操作方法です。上の動画の様にコントローラーを傾けて視点または照準を動かしますが、スティックで動かすよりもより直感的で細かい動作が可能になります。

使い慣れた人はスティック操作に戻れなくなると言われるほど快適性のあるジャイロエイムは上記のCrazy Justice以外にもSwitchのシュータータイプのゲームで続々と対応し始めており、スタンダードな操作法として確立しつつあります。

そこで今日はSwitchで拡大していくジャイロエイムと任天堂ハードのこれまでの歴史にクローズアップしたお話をしたいと思います。

家庭用ゲーム機にジャイロエイム誕生

任天堂ハードとしてジャイロセンサーを最初に取り入れたのはWiiの時代です。リモコンを強化する目的でジャイロセンサーのチップを仕込んだアタッチメント『Wiiモーションプラス』が別売り販売されました。

出典:Wiiスポーツリゾート公式HP

当時のモーションプラス対応ソフトで代表的なのが『Wiiスポーツリゾート』、『ゼルダの伝説スカイウォードソード』等ですね。

こちらの動画はWiiスポリゾートに収録されているアーチェリーというゲームですが、既にこの時点でジャイロエイムはほぼ完成されています。

Wiiスポーツリゾートのアーチェリーの手の震えまで細かく再現するジャイロエイムは任天堂宮本茂氏の思想が強く反映されています

家庭用ゲーム機のFPS/TPS等のシューティングゲームでは右スティックでエイムするのがスタンダードですが、スティックは可動域が狭いので微妙なコントロールが難しいんですよね。ちょっとスティックを傾けるだけでグーっと視点が動いてしまうので、繊細に狙いを定めるのが難しい構造をしているのです。

Call of Dutyをはじめとする多くの家庭用のシューティングゲームはこの構造上の問題を解決するため、ある程度敵の近くにエイムをすればスッと敵に吸い寄せるエイムアシストを採用しています。元々PCで広まったジャンルのゲームなので少しでも正確に狙えるマウスに近づけようと考え、ゲーム側でエイムをサポートする方法を各社ソフトメーカーは選んだわけです。

宮本氏はそれに対して『ゲーム側でアシスト機能を付けたり工夫しているけど、それでは本来の狙いを付ける感覚の面白さを失ってしまう…せっかくリアルになってきたゲームの世界でそこを省略してしまうのは勿体ない。しっかりと狙う楽しさを表現したい。』という観点を持ち、ジャイロによる操作で遊ぶシューティングゲームを作ったのです。これはソフトとハード両方作っているからこそ思いつく発想ですね。

しかしこのジャイロエイム、『Wiiスポーツリゾート』や『ゼルダの伝説スカイウォードソード』のヒットである程度の普及・認知はされましたが、Wiiモーションプラスが別売りであった事や、モーションプラスを組み込んだリモコンが出たのがWii後期という事もあって、任天堂の中でごく一部のゲームの中の一要素として細々と対応しているという範疇にとどまっていました。

このように家庭用ゲーム機用のシューティングゲームにジャイロエイムは搭載され始めたわけですが、ハードユーザーに対して広く認知されるのはまだまだまだ先のお話でした。

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携帯用ゲーム機3DSにもジャイロを積むが…

宮本氏はジャイロエイムを相当気に入ったようで3DSにもジャイロセンサーを組み込ませました。『社長が訊く』等の3DS誕生に関する記事によると設計の後半に半ば無理やり組み込んだらしく、ハード設計担当は相当な苦労をしたようです。

出典:スターフォックス643D

実際3DS内蔵ソフトの顔シューティングや一年目に出たスターフォックス643Dにも採用されたのですが、一つ難点がありました。

それは3DSとの相性です。

初期の3DSの立体視表示は視野角が狭く、見る角度がズレると映像が二重に滲んでしまいます。本体ごと傾けるジャイロエイムは視野角から外れやすいので、立体視を切るかジャイロを切るかという二択になってしまうわけです。

それに加えてまだ初期3DSはLLのサイズバリエーションがなく、小さな画面でゲーム機を動かして遊ぶやり辛さもあって、3DSでジャイロエイムを使ったゲームは殆ど広まらずに収束していきます。

New3DSLLの機能性能が最初からあればまた結果は違ったのかもしれませんがここでもまだジャイロエイムがメインストリームに出ることはありませんでした。

しかし3DSの次に出た任天堂の据置機WiiUでジャイロエイムは大きな転換を迎えることになります。

まさかのWiiUで大爆発!!

3DSのジャイロを任天堂も使わなくなり、Wiiから世代交代したWiiUもジャイロ機能を備えていましたがゲームパッドという大きなコントローラーのため中々活用法を任天堂も見いだせずにいました。

ジャイロ自体はスマホのアプリ等で積極的に活用されておりましたが、家庭用ゲーム機ではジャイロエイムどころかジャイロセンサーを使った遊びの存在感が失われていく流れになっていきます。

しかし!

ここであるソフトの登場により任天堂ハードのジャイロエイムは花開きます!

 

このブログを見られている方は既にご存知かと思いますが、任天堂が生んだ革新的対戦型シューター『スプラトゥーン』の登場でジャイロエイムが一気に広がります。

出典:スプラトゥーンのジャイロって?メリットやコツはあるの?

スプラはWiiスポーツやゼルダの様なゲームの一部分の操作ではなく、基本的な視点操作としてジャイロエイムを組み込んだ初めてのゲームです。

エイムが難しく対戦型シューターに馴染めなかったユーザーをジャイロエイムによって敷居を下げた事で拾い上げ、そのジャンルが持つ面白さや奥深さを分かりやすく伝えることに成功しました。日本では流行らせるのは無理だと言われていた対戦型シューターで子供から主婦までを巻き込んだ大ブームを起こします。

それまで日本市場で対戦型シューターはPS3のCall of Dutyの50万程が上限でしたが、スプラの売上はその3倍、150万人です。WiiUは当時既に次世代機NX(今のSwitch)の話も出ており末期感があった中でこの大ヒットです。マリオカートやマリオメーカーら超人気ソフトを抜いてダントツの売上を叩き出しているところからもその凄さが分かるでしょう。

スプラは世界で最終的に500万本売れており、WiiU本体の1300万台から計算するとWiiUを買った人の1/3近い人たちが遊んでいることになります。日本だけでなく世界中のWiiUユーザーがスプラという新しいIPの爆発的ヒットによってジャイロエイムの存在を大きく意識し始めたのです。

任天堂はこの後もWiiUで宮本氏直々に作った『スターフォックス零』でもジャイロエイムを採用しましたが、こちらはスプラトゥーンの程のヒットはできず、ジャイロエイム=スプラトゥーンという構図はしばらく続きますが、次なる新世代のハードで遂に大きく展開していく事になります。

 

Switchで広がるジャイロエイム…そしてこれから

任天堂はジャイロエイムの普及をスプラだけで留まらせることはしませんでした。

任天堂はスプラの成功体験を元に新たなハード『Switch』のJoy-Conにもジャイロを搭載させ、ロンチの『ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド』にもジャイロエイム操作を組み込みます。

ゼルダは弓の狙いを付ける操作にジャイロエイムを取り入れています。このゲームの大ヒットによりシングルプレイのゲームのプレイヤーにもジャイロエイムの操作が広まっていきます。

その後に『スプラトゥーン2』が発売され、国内200万本を超えるヒットを叩き出し、今でも毎週2万本以上売れ続けるロングランを続け300万本も現実的な数字になっています。

他にも『マリオオデッセイ』の戦車の砲撃もジャイロエイムを搭載するなど人気タイトルに次々とジャイロエイムは積極的に組み込まれ、Switchユーザーに『シューティングするならはジャイロエイムがいい』という概念が定着し始めます。

そしてそのユーザーの声に対して遂に任天堂以外のサードパーティーのソフトメーカーも応え始めます。

年末に出た『バイオハザードリベレーションズ』や2月発売『スカイリム』、3月発売『DOOM』…これらのシューティング要素を持ったゲームもジャイロエイムに対応してユーザーに好評を得ました。

『DOOM』については海外で先行で発売された時点でジャイロエイムに対応していなかったのですが、ユーザーの要望によりアップデートで追加され、その後日本で発売されたという経緯があります。

今世界中のSwitchユーザーはジャイロエイムを歓迎している、そんな状況になってきているのです。

そして今後も『マリオテニスエース』や『ウルフェンシュタイン2』『大神絶景版』等Switchでジャイロエイムを組み込んだ注目ソフトが任天堂やサードパーティから発売されていき、ますます拡大していきます。

一方で、他機種に目を向けるとPS4のコントローラー、デュアルショック4にもSwitchと同等の事ができるジャイロセンサーが積まれていますが、ジャイロエイムで遊べるゲームというのは殆どありません。DOOMもPS4版もジャイロエイムは対応しておりませんし、有名タイトルで対応しているのは『Gravity Dazeシリーズ』ぐらいでしょうか。

ですので、このジャイロエイムへの需要は家庭用ゲーム機全体というよりはまだSwitchというプラットフォーム特有のもの…とも言えますが、サードパーティのソフトにようやく組み込まれ始めた今は過渡期でもあります。

この記事の最初に載せた動画の『Crazy Justice』もその一つです。今までこの手のシューターはマウスとコントローラーで歴然としたエイムの差が出てしまうので、PCと家庭用ゲーム機のクロスプラットフォームのオンライン対戦はご法度でした。しかし、もしこのゲームでジャイロエイムを使ったSwitchプレイヤーがPCのマウサーと対等にやりあえるならば、クロスプラットフォームの可能性がまた広がっていきます

任天堂やサードパーティがこのようにジャイロエイムの良さや可能性を広めていけば、近い将来Switchに限らず家庭用ゲーム機にジャイロエイムが一つの操作法のスタンダードとして確立する日も近いのかもしれません。

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