皆さんこんにちは。
Need for Switchの管理人、にぃど(@switch_for)です。
本日はゲームフリークの完全新作『リトルタウンヒーロー』について語っていきます。
当記事はいわゆるレビュー記事というよりも「このゲームを通じていちユーザーがどんな体験をしたのか、どんな印象を持ったのか」というのを見ていただこう、というのが趣旨となっています。
その中でゲームの良い所や気になった所も触れていきますし、もちろんネタバレについても極力回避で進めていきますので、購入検討している方もご参考頂ければ幸いです。
価格:2500円(税別)
メーカー:ゲームフリーク
ジャンル:カードバトル+RPG
プレイ人数:1人
オンライン:なし
暴力表現:あり
このゲームの特徴
カードバトルにRPGを融合させたゲーム。『アンダーテール』で有名なToby Foxの楽曲を採用。
個人的な満足度:★★★★☆
遊びの中心となるバトルは自分と敵のカードの数字とにらめっこしながら一手一手を考えるのが楽しい。繰り返しの戦闘に対して飽きさせない工夫もしっかりされているし、カードゲームにありがちなめんどくさい下準備がないのも好き。
オススメ度:★★☆☆☆
テンポの悪さや一戦一戦の長さ、ゲームオーバー前提の難易度…そして3000円近い値段を考えると、現代のゲーマーにはとてもじゃないがオススメしづらい。しいて言えば私の様にテンポ感がどうのこうのは気にせず、頭を使ってCPUを打ち負かす事に執着する奇特な人には是非遊んで欲しい。
馬からRPGへと継がれた期待感
ゲームフリークといえばあの『ポケットモンスターシリーズ』を開発する会社ですが、これまでに色んなオリジナルタイトルも展開しています。
その中でも、個人的に特に印象的なのは『ソリティ馬』ですね。
ダウンロード専用ソフトという事もあってご存知でない方も多いかもしれませんが、このゲーム500円という超低価格なのにめちゃめちゃ良く出来てるんですよ。
(3DSをお持ちの方でまだプレイされていないという方は、eShopで配信されている体験版だけでもプレイしてみて下さい。)
『ソリティ馬』というタイトルだけでお察し頂けるかもしれませんが、このゲームは「ソリティア」と「競馬」を融合させたゲームです。
インディーズなどの低価格帯のダウンロードソフトでは、こういった既存のジャンルを掛け合わせる手法というのは、もはやスタンダードになっています。
しかし、実のところ組み合わせのアイデアは面白いけど、ただ二つのジャンルをくっ付けただけでゲームとしてはちょっと作り込めてないよねっていうのが多いんですよね。(勿論中には素晴らしいゲームもありますが)
その点『ソリティ馬』は全体的に上手くまとまっていて、とてもよく出来たゲームなんです。ソリティアのルールを組み込んだ歯ごたえあるレースだけでなく、馬の育成など競馬の面白さもガッツリ楽しめます。
そんな漫然と輝く星ミクスチャーゲーム『ソリティ馬』を作ったのがゲームフリークの開発者、田谷ディレクター。そしてその人が手掛ける完全新作というのが、実は今回お話しする『リトルタウンヒーロー』なんです。
このゲームの内容をザックリというと、ファンタジー系RPGにカードゲームの様な戦略性の高いバトルを組み込んだゲームです。
全く新しい新作ではありますが、カードゲームの遊びを他の何かを混ぜるという所では『ソリティ馬』と共通していますね。
『ソリティ馬』では競馬にソリティアというカードゲームを組み合わせたわけですが、『リトルタウンヒーロー』ではファンタジーRPGとカードゲームの融合に試みたというわけです。
既に『ソリティ馬』で才能をいかんなく発揮された田谷さんの新しいミクスチャーゲームですから、当然私の期待は特大。
ワクワクで発売日を待ちに待ったわけですが、そんな私に発売前夜ある衝撃の事実が襲い掛かります。
まさかのメタスコア低得点
いよいよ発売を間近に控えた前日の夜、私はあるサイトを開きました。
そのサイトの名は『Metacritic(メタクリティック)』。世界中のメディアが書いた映画やゲームのレビュー記事の得点を集計し、メタスコアというポイントを割り出しています。
語弊を恐れず言うと、このメタスコアというものは「ゲームの評判を数値化したもの」という意味合いで扱われることが多いです。
メタスコアが高いゲーム=面白い、価値がある。そんな一つの指標としてかなり影響力がある様で、ユーザーだけでなくゲーム開発者の方達もかなりこの数字を気にしているようですね。
例えば『アストラルチェイン』のディレクターである、田浦貴久さんもTwitterでメタスコアの高得点に安堵する呟きをされていたりします。
これからどんどん変動するとはいえ、ひとまずいきなり20点とかにならなくて一安心…… pic.twitter.com/l4N7ztvYN2
— 田浦 貴久 / Takahisa Taura (@PG_taura) August 26, 2019
以下のリストは近年を代表する傑作のゲーム達ですが、いずれも高得点のメタスコアをたたき出しています。
タイトル | メタスコア |
ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド | 97点 |
ス―パマリオオデッセイ | 97点 |
ファイアーエムブレム 風花雪月 | 89点 |
スーパーマリオメーカー2 | 88点 |
メタスコアの点数が全ての人に当てはまる絶対的なものというわけではないのですが、こうして見てみるとなんとなく世間の評価と点数がある程度リンクしている様な印象を受けますね。
今回私は『リトルタウンヒーロー』を買うと決めてたので、他人が何点付けていようが関係ない!という感覚ではあるものの、やっぱりメタスコアも気になってチラッとは見てみたくなるもんです。
しかも期待値が高いので「ソリティ馬という隠れた名作を作った人の新作だから80点は固いよなぁ」とそんな風に高をくくって覗いたわけですね、はい。
しかしそんな私の目に飛び込んできたメタスコアは、何とも微妙な「72点」という数字です(苦笑)。
大体80点ぐらいを超えてくるとよく出来てるゲームで70点台は良作に届かない凡ゲーみたいなイメージですね。ネットでも80点を超えてくると「評判が良いゲーム」として扱われるケースが多くみられます。
なので、正直これから意気込んで遊ぼうとしている私にとっては、何とも言えない複雑な心境にさせる数字を見てしまったわけです。
しかも、その後数字は発売後更に下がって、当記事執筆時にはなんと67点にまで下落。
50点台に行くともはや『Newガンダムブレイカー』とかバンナムのクソゲー領域。その手前の60点台の時点でも結構ヤバい感じがしてきます。
海外レビュー記事の中身を漁ってみるに、評価を下げているポイントとして「戦闘のテンポが遅い」と口をそろえて言っている印象を受けますね。
昔のゲーム…分かりやすいところで言うと『ファイナルファンタジーⅦ』なんかは召喚獣を呼び出す演出にガッツリ時間をかけてたりしてました。ではそのFF7がボロクソに叩かれたゲームとして後世に残っているかというとそうではないですよね。
しかし、今の時代はサクサク待ち時間をできるだけ減らしてテンポ良く進める事がかなり重要視されていますから、店舗の悪さがかなりのマイナスポイントになってしまうのは致し方ないことなのでしょう。
ただ、全体的に記事の中身を見ると、以下のような部分でしっかりと評価もされているんですよね。
- バトルのユニークさや戦略性
- Toby Foxの楽曲
- 小さいスケールながらしっかりと完結した物語
少なくとも褒めることが何もない、あっても皮肉くらいなクソゲーのレビューとは全く異なります。
だから、これは結局自分でやってみないと分からないゲームだろうと、そう解釈して実際にプレイすることを決断したのです。
恐らくこのゲームは人を選ぶゲームなんだ!(そしてきっと自分には合っているのだ!)そんな希望を込めて。
低評価に納得せざるを得ない理由
私が本作を実際にプレイしてまず印象的だったのは、海外レビューで指摘されていたテンポの遅さもそうですが、一番は見た目と中身のギャップでした。
『ポケットモンスター』で知られるゲームフリークのゲームなだけあって、世界観や見た目がとても可愛らしい雰囲気の『リトルタウンヒーロー』。
しかしながら、その見た目に反して中身は一手一手を考える渋めのゲームなんですよね。
全体的なゲームのイメージは誰でも楽しめそうなRPGの体をしてはいるものの、メインとなる戦闘パートが割とガチなカードバトルのシステムを採用しています。
『ハースストーン』や『シャドウバース』、『ドラゴンクエストライバルズ』といった一対一で戦うカードバトルゲームを遊んだことがある方なら、それらと基本は同じと思って頂いて大丈夫です。
相手のカードに自分のカードをぶつけて破壊。相手の出しているカードを全部潰すと相手の本体にダメージが与えられるというお馴染みのやつですね。
これらは対人戦がメインのゲームですが、本作はあくまで戦う相手がCPU。そこにストーリーや育成要素といったRPG的な要素を混ぜて、他のカードバトルゲームとは差別化を図っています。
対人戦ではないので心理的な負担や敷居の高さみたいなものは感じないものの、初見プレイではキツめに難易度バランス調整されているので侮れません。
というか小さなお子さんはもちろん、大人でもこういったカードバトルゲームが不得意な人は1章すらクリアが難しいのではないでしょうか。
私は比較的この手のカードバトルゲームが好きな方ですが、クリアまでの15時間の間に15回以上はゲームオーバーになった記憶がありますね(笑)。実は結構難しい方だと思います、このゲーム。
カードバトルは数字をチクチク計算して先の一手を考えて、結果に一喜一憂しながら遊ぶのが楽しいですから、ある程度難しくなるのは仕方がない部分ではあるんですけどね。
ただ、やっぱりこの難易度やシステムなら、もうちょっと見た目の雰囲気やストーリーを中高生以上、あるいは大人向けっぽく絞って作っても良かったのではと思う節もあります。
ゲームフリークらしい雰囲気を貫いたのかもしれませんが、こういった歯ごたえあるゲーム、インテリジェンスを刺激するゲームを本来求めてる人達が子供向けっぽい見た目を理由に素通りしてしまうのは勿体ないなと。
その点『ソリティ馬』はどちらかというとオッサン向けの競馬を扱っていた点で、割とゲーム内容とマッチングできていたような気がするんですよね。
ほのぼの系RPGに割とがっつりしたカードバトルを組み合わせはあまりよろしくないというか、誰に遊んで欲しいのかターゲットがイマイチ良く分からない感じがします。
中には見た目が可愛いゲームも好きで、なおかつ頭を使うゲームも好きという私みたいな変な人もいるかもしれませんが、まぁそういうタイプはレアでしょう(笑)。
多くの人たちはこのゲームにたどり着かないか、雰囲気に惹かれて手にした時にそのギャップにびっくりしてしまうのではないかなと思いますね。
海外メディアがこぞって指摘していた戦闘のテンポの遅さに関しても、正直今時のゲームでこれはないだろうというレベルです。
兎に角こだわって作ったであろうキャラクターのモーションや演出をしっかり見せようというあまりに、全体的にのっそのっそとゆっくり進行になってしまっていますね。
カードバトルゲームって基本どれもサックサクに作られてますから、他のゲームと同じ感覚で遊ぶとイラつく人は多分多いでしょう。
1バトルが15~20分、ボス戦になると30分を超えるのもザラで、一戦一戦がかなり長丁場。さらには難易度がそこそこ高いので同じ戦闘にリトライする場面も多々あります。
幸いなことに敵に負けても経験値がもらえるようになっているのでその時間は無駄にはなりませんが、それでもじっくり何十分かけて敵を倒せなかった時のショックはかなりデカいですね(苦笑)。
因みに、ラスボスに関しては1時間を超える長丁場に加えて負けた時に経験値がもらえないので、詰んだ時に「もうやめようかなこのゲーム…」と心折れそうになりましたね(笑)。
このゲームはプレイ時間こそ十数時間でそこまで長くないですが、忍耐強さをしっかり求められます。
私も最初は「メディアのレビュワーは脳筋だから分かってないんだよなぁ!」くらいに思っていましたが、プレイしていて批判されても仕方がないと正直考えを改めさせられましたね。
テンポが遅い、一戦が長い、ちょいムズ…この3つが揃うっていうのはなかなかないですし、合わない人にはかなり耐えがたいゲームというのをお察しします。
それでも十分に楽しめた理由
ここまで結構厳しいことを言ってきましたが、本作のバトルのゲームシステム自体は凄く良く出来てるという事はしっかりお話しておきたいです。
というかこのゲーム、全然クソゲーでも何でもなく、むしろ面白いんですよ。戦闘のテンポとかを直せばメタスコア70点台どころか80点以上は狙えそうなレベルではないでしょうか。
例えるなら、Gさんがテーブルの上を走っているカウンターで美味しいラーメンを食べるような感じですかね(苦笑)。もうちょっと掃除して奇麗にしてくれれば色んな人に食べてよ!って勧められそうなのがホント勿体ない。
じゃあこのゲームの何が具体的に良いかのというと、そこまで手間なくカードゲームバトルの楽しさを堪能できるという所にありますね。
特に、この手のカードバトルもので一番悩ましく、そしてめんどくさいデッキ構築を失くしたという所は良かったと思います。
色々戦略を考えながらカードを選んでデッキを組む。これはカードゲームの楽しみのひとつなんですけど、そこにガンガンカロリーを消費するせいか対戦に行くまでが長いんですよね。
準備に時間がかかるから、モチベーションがある程度高くないと続けられない。カードゲームにはそんな弱点があると私は思っています。
その点、このゲームはあらかじめ最初から使えるアクション(カード)が決まっているので特に戦闘準備は必要ないんです。成長することによってそれぞれのカードを強化はできますが、戦闘するための準備作業はゼロ!
最初から所持してるカードを入れ替えもせず最後までずっと使っていくなんてすぐに飽きそうな気もしますが、そうならないようにちゃんと工夫もされています。
本作ではバトルのターンごとにすごろくみたいに場所移動するパートがあって、人がいる場所に止まるとその人から支援がもらえるんですね。
人によっては回復してくれたり、敵を攻撃してくれたり。中にはそのバトルでのみ使える固有のカードをくれたりする人もいたりします。
こういったマップ上に点在する町の人たちにカードを貰ったり、協力をして貰う事で相手を攻略できるように作られているというのは斬新ですね。
戦闘毎に町の人たちの配置やギミックが変わりますし、敵もそれぞれ色んな個性を持っていて特殊能力を駆使してきますので、毎回立てる戦術が変わってきます。
この辺りのゲームデザインは見事。おかげで最初から最後まで飽きることなく、しっかり戦闘を楽しめましたね。
バトルの流れも序盤はコストの関係で使えるカードが少なくて苦しかったのが、ジワジワと敵を追い上げて最終的には逆転勝利!みたいなきわどい勝利を何度も味わえるようにも調整されてるのも良い感じです。
あと、ストーリーに関しては、邪魔しない程度にコンパクトにまとまっていたのは良かったと思いますね。
小さな町で外の世界に憧れる主人公が街の秘密を解き明かしていくという、正直特にこれと言ってパッとしないものではありますが。
変に格好つけた固有名詞もなく、誰でも分かるような正義と悪の対立軸で描かれているので、良くも悪くもボ~ッと見てても「あれ?これはなんでこうなるの?」と置いていかれることはありません。
私の場合はアドベンチャーゲーム以外のゲームにストーリーなんて求めていなくて、下手にゴチャゴチャやられるよりも素直に「ピーチ姫がさらわれたので助けます」程度の動機付けで十分です。
この手のゲームに濃厚なストーリーを期待して買う人はいないと思いますし、そこを勘違いして変に凝ったストーリーにせずあくまでバトルをメインにしたのは英断でしょう。
最後に
かなり期待値が高いところから始まり、メディアの前評判でガクッと期待値を落された本作ですが、最終的にプレイをしてみて「面白いけど人にはオススメしない」という結論に至りました。
人に勧められるゲームってやっぱりある程度色んなところで平均点を超えてなくちゃいけないと思うんですよね。品行方正で国語算数理化社会…ある程度満遍なく点を取る優等生が初めて推薦できるみたいな。
少ない予算の中で輝けるゲームを作ろうという気概も感じさせますが、3000円近い値段となると、他にも優秀なインディーズのゲームが沢山ありますから、その辺もオススメしにくい理由ですね。
それこそCPU戦のカードバトルであれば『Slay the Spire(スライザスパイアー)』とか、絵面こそショボいですけどもうちょっとお値段抑え目で快適に遊べる方がやっぱり人に勧めしやすいです。
参考リンク:Switchと最高に相性が抜群なカードゲーム『Slay the Spire』レビュー
個人的には好きなゲームですが、買おうかどうか迷っている人はセールを待っても良いかもしれません。1500円くらいの値段である程度今回お話しした話を理解して遊ぶ分には、十分楽しめるゲームなのかなという印象ですね。
戦闘は骨太で面白いし、キャラも可愛らしくていい。
雰囲気も牧歌的で癒される!いかんせん戦闘のテンポが遅いのが玉に傷。倍速モードさえあえば最高のゲームのに!というのを凄く感じるなぁ。#リトルタウンヒーロー #NintendoSwitch pic.twitter.com/OqgdvaI5CD
— にぃど@任天堂ゲー・モンハン・ユナイト (@switch_for) October 18, 2019