主人公が地味で慎重な『ルイージマンション3』がなぜ面白いのか?

皆さんこんにちは。

にぃど(@switch_for)です。

本日は探索アドベンチャーゲーム『ルイージマンション3』の面白さについて解説していきます。

当ブログではこれまで様々なゲームのレビュー記事をメインに扱ってきましたが、今回はゲームの批評・内容を紹介というよりも「このゲームの面白さの核とは何ぞや」について分析して紐解いていこうという内容となっております。

これからプレイする方の楽しみを奪うようなネタバレに関しては回避していきますので、既にプレイされた方だけでなく未プレイの方も含め、当記事を楽しんでいただければ幸いです。

基本情報機種:Switch
価格:7480円(税込)
メーカー:任天堂
ジャンル:アクションアドベンチャー
プレイ人数:1~8人
オンライン:あり
暴力表現:なし
ゲームについてザクっと紹介

このゲームの特徴
ルイージが主人公の探索型アドベンチャーゲームのナンバリング3作目。オバケホテルを舞台に、オバキュームと呼ばれる驚異的な吸引力を持つ掃除機を手に数々の謎解きやお化けとの闘いを楽しめるゲームです。

シリーズの歴史
▼2001年
『ルイージマンション』がゲームキューブ本体と同時発売
▼2013年
『ルイージマンション2』が3DS向けで発売
▼2015年
『ルイージマンション アーケード』が各施設で稼働開始
▼2019年
『ルイージマンション3』がSwitch向けで発売

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地味・慎重・臆病を肯定するゲーム

マリオから派生したスピンオフ的な位置づけである事に加えて、『スーパーマリオ』のサブキャラのルイージが主人公。

そんなこともあってか『ルイージマンション』に対して、なんとなく地味な印象を持っている方も多いのではないでしょうか。

正直その感覚は正しいと私は思います。なにせ暗い屋敷を探索する謎解きアドベンチャーですしね。

アスレチックなステージをピョンピョン飛び回るようなアクションはほとんどありませんし、カットシーンでもルイージがビクビク震えるシーンが満載。

主人公=強いヒーロー像から外れている本シリーズのルイージ。

兄マリオが主人公のゲームとはあらゆる部分で対照的に作られています。

言うならば『ルイージマンション』というシリーズは、「地味で慎重で臆病者のルイージ」というキャラクターの個性を積極的に打ち出しているゲームなんですね。

しかし、この「地味で慎重で臆病者」というワード。一見ネガティブ要素の集合体のように見えなくもありません。分かりやすく俗的な言い方をすると「豆腐メンタルで陰キャっぽいヤツ」といった感じでしょうか。

マリオをはじめ、他の多くのゲームの主人公が勇気に溢れる力強いキャラクターで描かれているところからも、主人公らしくないキャラクターという印象を抱かざるを得ません。

しかしながら『ルイージマンション3』を遊んでいると、不思議なことにこの「地味で慎重で臆病者」というワードが肯定的に思えてしまうんですよね。

そこで今回私は「地味で慎重で臆病者」というキャラクター性を持った主人公のゲームを、任天堂と開発会社のNext Level Gamesが「どのようにしてポジティブなものへと昇華しているのか」という点に注目してみました。

そして、これを紐解いていくことによって見えた『ルイージマンション3』のオリジナリティや練り込まれたゲーム性について、皆さんにお話していきたいと思います。

独特のテンポの良さと面白さ

ルイージが「地味で慎重で臆病者」である事を表現しているのは、物音に飛び上がったりオバケを見て震え上がったりするようなカットシーンの描写だけではありません。

実はルイージというキャラクターの操作にも「地味で慎重で臆病者」という事がしっかり現れています。

例えばプレイをし始めてすぐにわかるのが、ルイージの歩みの遅さ。颯爽とステージを走り回る兄マリオと比べたら歩く速さはゆっくりで、ダッシュも加速のための助走が必要です。

マリオシリーズのシンボルであるジャンプも封印されています。その代わり空気の噴出で飛び上がるアクションが本作では新たに追加されていますが、飛び上がるまでにちょっとの時間のラグを敢えて設けています。

更にはドアを開けるといったような動作一つでも恐る恐る部屋を覗き込むような描写が入ったり、オバケの気配を感じると脚を止めて震えてしまう。

マリオならジャンプで軽く飛び越えそうな場所でも慎重に進むルイージ。

そんなテンポで大丈夫か?と最初は突っ込みたくもなりますが、不思議なことに、何十分何時間とプレイを続けていってもテンポの悪さというものを全く感じないんですよね。

むしろテンポ感が絶妙に気持ち良く、プレイをしているとあっという間に時間が過ぎていきます。

これは一体なぜなのか?理由考えてみると以下の4つの要素が浮かび上がってきました。

▼テンポ感を絶妙にしている要素

  1. 合理的な舞台設定
  2. イージーな謎解きの連続
  3. メリハリのあるアクション
  4. 多彩で細かい描写

私が考えるに、これら4つの要素に「地味で慎重で臆病者」というルイージのキャラクター性が絶妙に絡み合う事で『ルイージマンション3』の独自の面白さを形成しているという事なんです。

では、それぞれ4つの要素がどんなものなのかについて、ここから少し掘り下げていきましょう。

合理的な舞台設定

本作の探索の舞台は地上15階(地下2階)のホテル。「マンションとは一体…」という感じもしますが、実は今回選んだホテルという設定が非常に理にかなっているんですよね。

『ルイージマンション』ではオバキュームと呼ばれる掃除機を使って、ありとあらゆるものを吸い込んだりギミックを発動させる、というのが遊びの核としてあります。

ZRボタンを押せばホテル内の様々な物をオバキュームで吸いこむことができる。

各部屋はもちろん、それを繋ぐ廊下にも何かしらギミックがあったり、お金がいたるところに隠されていたり、数歩歩くたびに何かがある。そんなゲームなんですよね。

故に吸い込むモノの対象物や反応を見せるギミックの密度の濃さというのは、ゲームの密度そのものに直結する非常に重要なポイントになります。ゆえにいたずらに舞台を広げても密度がスカスカでは意味がないという事ですね。

しかも、ルイージはマリオの様に颯爽と飛び回る事ができないですし、探索ゲームの性質上部屋を行き来する事もあるので、広さが返ってストレスになる可能性もあります。

密度・快適性を確保しつつ、前作よりもパワーアップを感じさせるにはどうするべきか。その答えがホテルを舞台にするという事に繋がっていくわけです。

ホテルというのは縦にボリューム(階層)を積めるので、横のフロアの大きさはそこまで広げなくても良いんですよね。丁度いい横の広さと密度を考えた設計ができると。

しかも階層という明確な区切りがあるので、例えばレストルームのフロアがあればエジプトの様な砂にまみれたフロアもあったりと、それぞれの階ごとにドラスティックな違いを表現できます。

各フロアはエレベーターで移動する。それぞれの階がユニークなコンセプトで作られているので新しい階へ訪れるのがワクワクする。

メディアの中には「フロアごとに雰囲気がバラバラで、ホテルとしてまとまりがない」という指摘をしているところもありますが、新しいフロアに足を踏み入れるたびに新鮮さを感じる事ができる、というメリットも忘れてはならないでしょう。

本作では、このホテルという合理的な構造の舞台を選択した事によって、しっかりと前作から大きくパワーアップしたスケール、退屈させない密度の濃さ、そしてストレスが少ない絶妙な調整を実現しています。

無駄にゲームを広げたりキャラクターの性質を変えるのではなく、「地味で慎重で臆病者」なルイージの冒険が輝く舞台は何か。

そこに焦点をしっかり当てて作っているので、これまでのシリーズファンはこれまでよりもパワーアップしたゲームとして安心して遊べますし、本作で初めてプレイする人も他にはない独特の体験を味わうことができるというわけですね。

イージーな謎解き

任天堂というゲームメーカーは非常に謎解き要素が大好きな会社でして、これまで本作以外にも謎解き要素と探索アドベンチャーをミックスしたゲームを多数発売しています。

代表的なものですと『ゼルダの伝説』もそうですし、他にも『進め!キノピオ隊長』『ストレッチャーズ』『アストラルチェイン』などSwitchで発売済みというものに絞るだけでも多数存在しています。

任天堂一社だけでもこれだけ色々なゲームを出していると、『ルイージマンション』の存在自体が埋もれてしまいそうですが、そうはならないのが面白いところです。

本作をプレイしてみると分かるのですが、全体的に謎解きの難易度は他の任天堂のゲームと比べても比較的シンプルに作られています。

ヒントも露骨に設けてありますし、とりあえず困ったときは出来るアクションを手当たり次第やってみればと解けてしまう、そんな程度の複雑さに留めているんですね。

そして面白いのは、そんな簡単な謎解きを次々と連続してクリアできるように細かく散りばめられているという点にあります。

つまり、難問一つに向き合ってじっくり考え必死に解いた達成感を得るというよりも、細かい成功の積み重ねにどんどん熱中していくという楽しさが味わえる。そんなゲームデザインが施されているんですよね。

それに加えて謎解きのアイデアも非常に豊富で、プレイヤーを飽きさせません。細かい話はネタバレになるのでお話しできませんが、次々に新しいギミックとの出会いがあり、十数時間のプレイの中で退屈に思う瞬間がほとんどありません。

今作から加わった『グーイージ』と呼ばれるゼリー状の分身を使ったシステムも、謎解きのバリエーションを豊かにしています。

いつでも呼び出せるグーイージは、ドロドロのゼリーで出来ているので鉄格子などもすり抜けられる。

2体のキャラを使って謎解きをするというと面倒なイメージがありますが、そこもちゃんと煩わしさを感じさせないようなシンプルな謎解きに留めた事で新しい要素として肯定的に受け止めることができます。

ただ、いくら成功体験の連続が気持ち良かろうとネタが豊富だろうと、そういった簡単な謎解きばかりでは物足りないという人もいるでしょう。

そういった所も計算してなのか、随所に難しい謎解きをホテル中に散りばめられています。

これはストーリーの進行とは関係のないやり込み要素(宝石探し)なのなので、やりたくない人はやらなくても大丈夫。解けそうならやってみるといった感じで、プレイヤーに選択を委ねられています。

ベースは甘口なんだけど、ちょっとスパイシーにしたい人は香辛料で辛くもできる。そんな風に、謎解きに対してユーザーそれぞれに合った難度とテンポで遊べるという所が非常に上手く出来ているゲームですね。

メリハリのあるアクション

私が『ルイージマンションシリーズ』に対して非常に損をしていると思うのが、「地味で慎重で臆病者」なルイージが主人公故に全くゲームに派手さがなく、なかなかその面白さが見た目だけでは伝わり切らないという所にあります。

しかし、今回はNintendo Switchという過去のシリーズ作とは比べ物にならないスペックを持ったゲーム機に合わせて作られた事によって、ようやく視覚的にもダイナミックなゲームプレイが楽しめるようになったという印象があります。

例えば、以前よりも沢山の物体をよりリアルに動かせるようになったお陰で、オバキュームで物を吸う爽快感を大きく増していますね。

部屋にあるカンやクッション、ゴミ、ベッドのシーツ…あらゆるものをどんどん吸い込んでいく過程で、物体がリアルに転がったり、吹き飛んだり、破損していく様を見ているだけでも楽しめます。

現実世界ではとてもできそうにないハチャメチャな行動を気兼ねなくやれる快感。これは『スプラトゥーン』のインクで街を汚していく背徳感に近いものを感じさせられますね。

また、今回ルイージにはいくつものアクションが追加されているのですが、その中で『スラム』というアクションが加わったことで、より爽快なアクションが楽しめるようになっていますね。

これはオバキュームで吸ったオバケやモノを地面へ叩きつける豪快なアクションで、今まで吸い込むだけのやや地味なアクションで完結していた『ルイージマンション』に新風を吹き込んでいます。

ただひたすら「地味で慎重で臆病者」というイメージ通りの行動を貫くのではなく、そんなルイージに爽快・痛快なアクションをフック・ギャップとして織り交ぜる。これによってよりゲームにメリハリを産むことに成功しています。

多彩で細かい描写

任天堂のゲームはどちらかと言うと「映像を見せて楽しませるという事よりも、触って楽しいかどうかを最優先する」という思想を強く感じさせるものが多く存在します。

『どうぶつの森』や『ポケットモンスター』はその代表的な例で、見た目をリッチに作るという事を最優先に置かず、視認性の良さやサクサクな操作感でストレスを感じさせないためにはどうするべきかこだわり続けている印象を受けます。

しかし、本作はそれらとは趣が少し変わっていて、映像部分にもかなり重要性を持たせていますね。

Nintendo Switchの中でもトップクラスに美しいグラフィックと、キャラクターや物体の動きなどのアニメーションは、ピクサー映画の世界を自分で動かしているかのようです。

カットシーンだけでなく実際に操作をする場面でも非常にキャラクターの映像表現が豊かで楽しい。

カットシーンも細かく場面場面で挿入しているのもそうですが、ホテルの中の様々な物に対してルイージが多様なリアクションを見せてくれるので探索していて飽きないんですよね。

ホコリが舞ってくしゃみをしたり、オバケのおもちゃが飛び出してきて腰を抜かしたり。ルイージの「地味で慎重で臆病者」というコミカルな側面を全面に出した演出が楽しめるゲームとして作られているのです。

ここまでキャラクターの描写やリアクションを細かく、しかもバリエーション豊富に見せるゲームというのは珍しく、非常に丁寧にゲームが作られている印象を強く感じますね。

流石にマリオの様なアクションゲームで、細かなリアクションをいちいち入れていたらストレスフルかもしれませんが、本作は探索・謎解きがメインのゲームです。こういったキャラクターのリアクションやカットシーンというのが面白さに純粋にプラスで上積みされていきます。

そういった計算の上で適度に演出を織り交ぜて楽しませてくれる本作は、ルイージファンの方を更に魅了し、そうでなかった人も本作をきっかけにルイージを好きになるという可能性を十分に感じさせますね。

最後に

合理的な舞台設定、イージーな謎解きの連続、メリハリのあるアクション、そして多彩で細かい描写という4つのポイント。

これらがルイージの「地味で慎重で臆病者」という個性に上手く絡み合い、独特のテンポ感の良さや面白さを形成しているという事を、ここまで説明させて頂きました。

結果的に1作目2作目にあったようなボリュームの少なさやスケールの小ささというアンバランスな部分も本作で解消され、洗練された探索アドベンチャーとして完成された印象がありますね。

一方で、ストーリーとは別モードのオンラインでのマルチプレイがオマケ程度の物に留まっているので、そこは今後の課題点という感じがしますね。オンラインに関しては期待せず「楽しめたらラッキー」くらいの感覚で挑まれるのが良いでしょう。

ストーリーモードもやり込みで何十時間、何周もプレイするようにはできていませんので、長期で遊ぶようなゲームではないと割り切る必要はありますね。

そういった部分を理解した上で、十数時間のオバケホテルの探索をガッツリ楽しみたい。そんな方には、かなりオススメできるゲームなのは間違いありません。

個人的にはNintendo Switchの探索アドベンチャーとしては上位に来る良い作品だと思いますし、ご興味ある方は是非プレイしてみてはいかがでしょうか。

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