おっさんホイホイ!だけど可愛らしい『ゼルダの伝説 夢をみる島』の感想

皆さんこんにちは。

任天堂&Switchを全力応援する管理人にぃど(@switch_for)です。

ゲームボーイで生まれた不朽の名作『ゼルダの伝説 夢をみる島』のSwitch版(リメイク)について本日は語っていきたいと思います。

私は子供のころに『夢をみる島DX』を遊んだクチで、それはもう兎に角難しかったですね。そうやすやすとゲームを買ってもらえるわけでもありませんでしたし、攻略Wikiなども当時は無かったので、攻略本を買って必死にプレイしたのをなんとなく覚えています。

1999年発売。

それ以来ずっと私はゼルダシリーズを追いかけるようになって、大人になった今でもこうしてリメイクを手にしているわけでして。故に『夢をみる島』という作品には結構思入れ深いところがあるんですよね。

しかしながら、なにせ小さいころに遊んだきりです。思い入れはあっても、ダンジョンの構造や進行ルートなどはほとんど覚えていません(笑)。

そのお陰か、本作をプレイしていると「懐かしさ」+「新しさ」というなんとも不思議な感覚を感じるんですよね。「20年くらい前に既にこんなゲームを作っていたのか⁈」という凄みも含めて、なかなか本作は良リメイクだと思います。

一方で、現代に新発売されたゲームという視点であったり、シリーズの大傑作である『ブレスオブザワイルド』を基準にしてみた時どうなのか?それを考えると、やはり古めかしいところが残っていて、追加や改善がもう少し欲しいという印象も否めないかなと思います。

詳しいお話はこれからさせて頂きますが、そんな良いところも気になったところもあるSwitchのリメイク版『夢をみる島』について、赤裸々に語っていきたいと思います。

基本情報機種:Switch
発売日:2019年9月20日
ジャンル:アクション
プレイ人数:1人
オンライン:なし
流血表現:なし
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新しくも懐かしい不思議なリメイク

大胆にリメイクされた映像と操作感がGOOD!

ひとえにリメイクと言っても、やり方は様々。全く別のものに作り替えてしまうものもあれば、できるだけ原形を残したリメイクもあります。

本作に関しては、全く別のものへと作り替えた部分と原作に忠実な部分の、両方を混ぜ合わせた不思議な感覚のリメイクになっていますね。

全く新しくなった部分で一番目を引くものと言えば、2Dドットグラフィックから3Dグラフィックへの一新でしょう。

ジオラマの中の世界を覗いている様な、このキュートな箱庭感。じ~っと見ているだけで楽しいというか、このミニマムな世界が妙に愛おしくなります。

また、キャラクターやモノの動きもちゃんとこの見た目に合わせて、違和感のないように作り替えられています。例えば、丸いものが地面に落ちればちゃんとコロコロ転がり落ちますし、その形状によって転がり方も変わります。

こういった、いわゆる物理演算的な動きを取り入れたことで、原作とはまた違ったプレイ感覚を楽しむことができるようになっていますね。

そして、大きな変更点は、こういった目に見える部分だけではありません。アナログスティックに合わせて調整されたリンクの操作感や動作。触り心地(プレイフィール)も3Dゲーム的な現代化されています。

アナログスティックで360度グリグリ細かく動かせますし、ゲームボーイと違って色んなボタンに機能が割り振られているので操作もスムーズですね。

このように本作では、ゲームの映像部分や手触りについては、もはや別物と言っていいほどにリメイクされています。

ほぼ原作を踏襲した筋道と謎解き

映像や手触りに対して大きくリメイクを施した本作ですが、それでもしかっりと原作の面影を感じさせます。

2Dから3Dに生まれ変わるくらい変革をしているのに。ちゃんと「これは夢をみる島そのものですよ」と脳が自然とキャッチできるっていう。何とも言えない、新しいんだけど懐かしい、この不思議な感覚!

これだけ別物として作っているのに、なぜ原作のイメージが残っているのか。その理由はシンプルな話で、画面の視点だけでなく、マップやゲームの進行がほとんど原作再現をしているからですね

ダンジョンの作りや謎解きは原作を忠実に再現。

草の数が違うとか、ヒントメッセージがちょっと分かりやすくなってるとか。そんな細かな変更や追加要素はもちろんありますが、あくまでそれは枝葉の部分です。全体のイメージに関わる幹の部分ではありません。

同じく、任天堂のゲームで『ポケットモンスター Let’s Go ピカチュウ/イーブイ』というリメイク作があります。このピカブイは、ポケモンを捕まえるシステムが一新されていたり、リメイクだけど色々と新しい体験を積極的に取り入れたゲームになっています。

それと比べて本作はそのまんま過ぎるので、ちょっとビックリしましたね。謎解きのネタが分かってるゼルダって、ネタバレされてる推理ものを見るようなものじゃない?って。

流石に古すぎて覚中身を覚えていない!

昔体験したストーリーと謎解きを、今一度なぞる様にリプレイする。それってどうなのよという疑問は、本作をプレイをしていく内に消え去っていきます。

人間の記憶とは実にい加減なものというのがこのゲームで改めてよくわかりました。なにせ、ダンジョンの構造や謎解きの内容、殆ど覚えていないんですよね(笑)。さすがに登場人物やマップの雰囲気は何となく覚えていますが、後は全然記憶にございません…。

ほぼ初見に近い感覚で「どうやってあそこに行くんだろう?」と悩まされる。

謎解きの仕掛けやボスの攻略法に詰まって、途中何度か攻略Wikiの誘惑に負けそうになるのを必死こらえるシーンもチラホラありまして。結局のところ『夢をみる島』の事は雰囲気とか、ぼんやりとイメージしか残っていなかったなと(苦笑)。

それに加えて映像や操作感も変わっているので、なんやかんや新しいゲームを遊ぶ感覚に近い印象です。

でも、こういう事ってゲームだけじゃなくて、映画とかでも良くあると思うんですよね。昔映画館で観たのを久しぶりに地上波や動画で見て、普通に新規の人と同じように楽しめちゃうみたいな。

なので、原作を昔遊んだからもう遊ばなくていいやと割り切るのは早計かもしれません。(最近3DSのバーチャルコンソールで遊んだよっていう人は話が変わってくると思いますが…)

名作の中にある色あせない魅力

そんな原作プレイ済でありながら、半分新規状態で感じたのは、原作の時点で謎解きや世界観が非常に良く考えられていて、今遊んでも魅力的なゲーム!という事ですね。

謎解きも割とコンパクトなものが多く、難易度的にもシリーズの中では低めです。適度なストレス(刺激)、やりがいを感じられる良いバランスになっていると思います。

一筋縄ではいかない魅力的なボス戦

アイテムを使ってウィークポイントを突くボス戦も、相変わらず個性的でどれも面白いですね。倒し方が分かるとサクサク終わるのは実にゼルダらしさを感じさせます。

コホリント島に住む住人たちのマイペースでシュールな感じも、他のゲームにはない独特の雰囲気を醸し出しています。ひと言ふた言のテキストしか喋らないのにクスッとさせられるセンス。全体的にコメディ色が強い中に、どこかもの悲しさも漂うこの世界観のバランス。

ストレートではなく後でジワジワとくる切なさ

より細かい映像やキャラクターの動きによって、島の住民たちのユニークさがさらに際立っています。『夢をみる島』の原作が持つ良さを、リメイクでもしっかりと引き出していますね。

現代のゲームと比較すると辛い所はある

私が思うに、ここまで徹底して原作をなぞらせる事に拘っているというのは「夢をみる島の良さは、今でも十分通用する」という任天堂の自信と原作へのリスペクトの表れでもあるのではないか、という事です。

下手に弄らなくても、操作性とかグラフィックを改善するだけでも、十分だと。プレイしてみると確かに私もそう感じます。

しかしその一方で、ちょっとそこに甘んじすぎているのでは?と思うところもあるのも確かです。

今のゲームを基準に考えると、本作はプレイヤーをまだまだ突き放しすぎているところや物量的に物足りない部分があるんですよね。

例えば、ダンジョンをクリアした後に、次の場所への情報が見当たらなくて、ひたすら彷徨ってしまうとか。一度や二度はそんな迷子状態になってしまう人も多いのではないでしょうか。

大体今の人気のアドベンチャー系のゲームって、マーカーで行き先が常に分かるようなものだったり、どこへ行ってもゲームが進むように自由に作られていたりします。『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』なんかがまさにそうですけど。

そういった現代的なゲームに慣れている人に対して、もうちょっと行き先を見失わない程度のサポートを付け加えても良かったのかなと思いますね。

どこへも自由に行けてしまう『ブレスオブザワイルド』。

一応、分かりにくかったセリフを改修するなど、手を入れるには入れているのですが。もう一声欲しい!って感じですね。

ボリュームにももう一声欲しい!

ボリュームに関しても、今の基準から考えると物足りないところがあります。謎解きの得意不得意ややり込み具合によって差は出ますが、大体10~20時間もあれば一通りクリアできてしまいます

『ブレスオブザワイルド』は100時間を優に超えて遊べるゲームだっただけに、新しいゼルダファンが果たしてこれで満足してもらえるのかは少し疑問が残りますね。

一応『辛口モード』と呼ばれる高難易度のモードも用意されていますが、単純にパラメーターの数字を弄っただけのものです。『時のオカリナ3D』にあった裏ゼルダの様に、敵の配置が換わるような高難易度モードだったら良かったんですけどね…。

他にも、もっと現代だからできる追加要素があっても良かった気がします。

例えば、本作ではマリオやカービィなどのコラボキャラクターが原作再現する形で登場していますが、『どうぶつの森』のたぬきちや『スプラトゥーン』のイカとか、当時は存在していなかったキャラクターを追加してみたり。

マリオを手掛けている手塚氏が作ったゲームという事もあって、マリオのキャラが他数出演。

こういったゲームの拡張や改変をすることによって「原作のイメージをぶち壊した」と文句を言われる事もあるのかもしれません。

しかし、任天堂は常に前進を求めるゲーム会社というイメージもありますし、個人的にはもうちょっとチャレンジして欲しかった気持ちがありますね。

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パネルダンジョンは消化不良

意外なことに、本作の開発は「夢をみる島のリメイクを作ろう!」という話から始まったわけではありません。ゼルダシリーズを統括する青沼プロデューサーいわく、”プレイヤーがダンジョンをクリエイトするアイデア”から始まったとか。

そしてそのアイデアは、クリアしたダンジョンのパネル(部屋)を並び替えて遊ぶ『パネルダンジョン』として本作に実装されています。

パネルダンジョン職人のダンペイが新たに登場。

『夢をみる島』のダンジョンは四角い小部屋に分かれているので、このダンジョンを並び替えるシステムを使うのに都合が良かったんですね。

私は発売前にインタビュー記事などでこの事を知っていたので、本作の核の部分として非常に期待をしていました。しかし、実際にプレイして思ったのは「プロジェクトの核となったモノなのに作り込みが甘い」という事です。

幸いなことに、あくまで寄り道要素として追加されているので、本作の評価そのものを阻害している様なものにはなっていませんが、おまけみたいな存在になってしまっているのが残念ですね。

では、なぜ私がパネルダンジョンに作り込みの甘さを感じたのか?その理由を3つ、今からご説明させていただきます。

1.クリエイトの創造性に欠ける

自分でダンジョンを作ると聞くと、自分でコース作る『マリオメーカー』を連想させますが、同作の様にブロックひとつから設計できるわけではありません。

あのダンジョンのあの部屋と、あのダンジョンのあの部屋を繋ぐ。やっている事はその程度なので、クリエイトとしての面白さを期待しているとがっかりしてしまう可能性があります。

2.パズル的な面白さも薄め

パネルダンジョンはお題をれぞれに条件が与えられています。例えば、ハート形状のダンジョンにしなさいとか。

この場所に宝箱がでる部屋を置きなさいと、決められていたりですね。

こういった条件に見あう部屋の組み合わせを、ちゃんと考えて配置することが求められます。

このパネルダンジョンのコンセプトはゼルダの謎解きの延長という感じがして、上手くゲーム全体にマッチしたものだと思います。

しかしながら、パズル遊びとしてはそんなに頭を悩ませるという事もなく、割と淡々と進めれてしまうのがどうにも気になる所です。

パネルもクリアする頃には潤沢に色んなものを揃えてきますので、なんとなく適当に並べると完成してしまう。そんなノリが続いていくため、結果としてパズルとしての作り込みがイマイチな印象を受けちゃうんですよね。

う~ん、任天堂らしくない…。

3.作ったダンジョンを遊ぶのがあまり楽しくない

先ほども触れていますが、パネルダンジョンはあくまで「クリアしたダンジョンの部屋」を組み替える遊びです。言ってしまえば、一度遊んで攻略が分かっている部屋をもう一度遊ぶという事になるわけですね。

マリオの様なアクションゲームならまだしも、攻略法がハッキリしているゼルダ程退屈なものはありません。しかも、自分が作ったパネルダンジョンをクリアしないとアイテムがもらえなかったり、次のお題が提示されないので、作ってお終いというわけにもいかないんですよね。

途中から「ハート3つでクリア」「剣が使えない」「○分以内にクリア」という条件が出てくるので、縛りプレイ的で結構楽しめましたけど、そこまでいかず辞めちゃう人も多いのではないかなと思いますね。

そして、その条件も3つと言わず、10~20は欲しかったです。「氷の床ででツルツル滑る」とか「爆弾無限大で使えるけど他のアイテムは使えない」とかバリエーションがないとすぐに飽きてしまします。

発売前は「オンラインで自分で作ったパネルダンジョンを配信出来たらよかったのに」と思っていましたが、これは無くて正解ですね。多分人が作ったパネルダンジョンをアップロードされても、遊ぶ人は少なさそうです。

一応Amiiboを使って他の人のSwitchに自分の作ったダンジョンをコピーはできるようですが、それも必要だったのかなぁっていう印象ですね。

 

最後に

今回は少し辛口発言も色々混じりしましたが、これもゼルダファンとしての愛ゆえの発言だと思っていただけるとありがたいです。

なんやかんや文句を言いつつも個人的にリメイク作品として十分楽しめましたし、原作のイメージを傷つけないリメイクを出してくれたことに感謝ですね。

ジオラマ感あふれる映像や現代化された操作感に一新しつつも、原作の持っていた良さをちゃんと残していた所は流石任天堂。海外メディア評価のメタスコアが88/100と高得点なのも納得です。

新しくも懐かしい体験を味わえますし、原作が好きだった人はとりあえずプレイをして損はないリメイクではないでしょうか。

最後まで遊び終えた時のハートフルな感覚は「夢をみる島」そのもの。

一方で、『ブレスオブザワイルド』を機にゼルダを好きなったような新しいゼルダファンの方に対しては、正直オススメして良いものなのか悩ましいところです。

謎解きがひとつ行き詰るとゲームが進まなくなったり、答えががっちり決められていて自由度が低いなど、『ブレスオブザワイルド』の真逆を行くようなデザインのゲームなのが本作です。

そういった昔気質な部分も含めて(許容して)昔のゼルダってどんなものか体験してみたい!ゼルダの歴史をひも解くような体験に興味がある!そんな方であれば、超オススメなので是非プレイしてみてはいかがでしょうか。

Written by にぃど(@switch_for)

 

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