ファイアーエムブレム風花雪月で分かる、妄想が超楽しいという話

皆さん!ゲームで妄想してますかっ!

こんにちは、Nintendo Switch大好きマンの管理人にぃど(@switch_for)です。

ファイアーエムブレム(以下、FE)の最新作『ファイアーエムブレム 風花雪月』が発売されてから2週間ほどが経ちますが、ここしばらくFE一色状態です。

個人的な感想としては「久しぶりに中毒になれるFEが来たぞ!」という感じでドハマりしてるわけですが、既に各メディア・ブログ・SNSを見ても傑作と評する声が続々と上がっていますね。

シナリオが良い!学園パートが楽しい!育成と戦闘が上手く絡み合っている!ボリュームが凄い!

本作に対する評価のポイントは様々ですが、今回私は敢えて本作に対して妄想がいかにはかどるゲームとして作られているか、そしてそれがどれほど面白さに繋がっているかというポイントに絞ってお話していきます。

もちろんストーリーのネタバレについては回避していきますので、未プレイの方も安心してご覧いただければと思います。

基本情報機種:Switch
価格:6,980+税
ジャンル:シミュレーションRPG
プレイ人数:1人
オンライン:あり
流血表現:なし
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妄想できてこそFEの理由

「ファイアーエムブレムとは妄想を楽しむゲームである!」

私は歴代ファイアーエムブレム(以下、FE)の殆どをプレイしていますが、FEシリーズの何が一番魅力的な部分なのかというと、ズバリ「脳内で描く妄想ドラマ」なんですよね。

出会いのドラマ。

例えば、兄妹という設定のキャラクター達がいて、敵の将に妹が倒されてしまったとします。

多くのゲームではイベントなどを除き、戦闘で倒されても簡単に復活できたりするものですが、FEでは「敵に倒される」=「永遠の別れ」を意味します。

※最近のFEには倒されても永久離脱しない設定もできます。

そして、そんな妹との死別という重要な事ですら

「兄さん…最後まで力になれなくて…ごめんなさい…」

といったような、たったひと言を残すだけで終わらせるんですよね。

分かれのドラマ。

もしこれが、スクエニの某ゲームなら10分くらいのムービーシーン入れて「やっぱ、つれぇわ…」みたいな仲間の心象を語ってくれるのに(笑)

しかし、だからこそ自分の脳内妄想が膨れ上がっていくんですよね。

最愛の妹を失った兄は何を思うか。

きっと妹の亡骸を抱きながら、泣き崩れてしまっているだろう。

妹の無念、兄の喪失感、仲間たちの動揺…。

頭の中で色々と妄想(想像)しちゃいますよね。

こういった悲しいドラマだけでなく、ピンチの仲間を助けた場面などでも妄想は発動します。

「彼女は助けてくれた恩人である彼を慕っていそうだな」といったように、仲間同士の関係性なども、ついつい頭の中で作り上げてしまいますね。

そこから、二人で一緒に行動させてお互いの友好度を上げて、ゆくゆくは結婚まで行かせちゃうみたいな。

誓いのドラマ。

このようにFEでは、戦闘・育成・カップリング(結婚)など、色んなシステムに対して妄想がどんどんリンクしていきます。

その結果として、FEというゲームに気持ちがグッと入っていくんですよね。

しかもFEというゲームには、作品によってある程度の違いはありますが、出会い、別れ、結婚、育成等に対して自由が与えられています。

という事はつまり…

プレイヤーの数だけ”オレ(ワタシ)のファイアーエムブレム妄想ドラマ劇場”が存在する

という事なんですよね。

実際、FEファンの友人とFE談義していると、少しずつキャラクターや物語に対する印象が違っていることがよくあります。

ベストカップルなんて真面目に議論し始めたら、論争になってしまいそうです(笑)

そのたびに「FEというのは個人の妄想によってこれほどゲーム体験が変わるのだな」としみじみ感じさせられますね。

そして今回の『風花雪月』ですが、やはり気になるのは

「これまでのFEのように…あるいはこれまで以上に妄想力豊かに遊べるものなのか」

という点に尽きます。

全く新しい試みである、3Dの学園内散策を散策し、生徒を指導する『学園パート』。

それが一体どう妄想を駆り立ててくれるのか。

久々の据置機で表現力が大幅に進化しているが、妄想の余地はちゃんと残しているのか。

この辺りにガッツリとフォーカスして解説していきます。

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学園は妄想ネタの宝庫

私は本作をプレイする前に「風花雪月は妄想度が減っているのではないか」という不安を抱いていました。

今回初となる学園パートは特に、情報過多で妄想度を減らしそうな要素に見えます。

学園内を歩き回って他のキャラクターと会話したり、生徒たちと食事をしたり。

ゲームの中で得られる情報が、明らかにこれまでの何倍にも膨れ上がっているではないかと。

しかし、実際にプレイをしてみると、それは完全に杞憂だったことが分かります。

学園パートは、プレイヤーの妄想の余地を奪うものではありません!

むしろ妄想の元ネタを”いつも以上に提供してくれている場所”という感覚に近いのです。

「いつも以上に妄想美味しくいただいてます!」

教師の立場を妄想して楽しめる!

今回の主人公(=プレイヤー)は士官学校の生徒たちを導く教師、という立場になります。

先生というポジションはFEの主人公として初めて。

なので、今までにない色んな新しい妄想を働かせてくれますね。

例えば、学園を歩いてると周りから先生!先生!と呼ばれます。

「教師として慕われているなぁ~俺!お前らちゃんと俺が教えた事復習しとけよ!」

って感じで、ちょっとニヤケそうになっちゃいますね(笑)

もちろん、今までのFEの主人公も、同じようにもてはやされてはいたんですよ。

でも、どちらかと言うと王子・王女といった、私達にあまり馴染みのない立場。

特別扱いされてもちょっとピンとこない所が…。

一方で、今回の教師というのは、実際に目の前で見たことがある親近感ある職業ですから。

なんとなく、先生という立場を知ってるし、感情を投影しやすいんですよね。

妄想もより思い描きやすくなっています。

しかも、生徒たちには美男美女がいっぱい!

現実の学校の教師はブラックで大変なようですが…。

こんな学園なら働いてみたい!と思う方も多いのではないでしょうか。

しかしそんな風に、思うのは序盤だけです(笑)

士官学校の先生はなかなかハードな仕事で、もうやることだらけ。

授業はもちろんのこと生徒の悩み相談なども受け持つことになります。

時には落とし物を届けたり、生徒たちと食事を共にしてやる気を促したり。

数々の仕事をこなすため先生は今日も学園内を奔走する。

ぶっちゃけ、これらは絶対にやらなくてはいけない!というわけではないです。

全部サボっても何かペナルティがあるわけではありません。

しかし、やればやっただけ生徒たちのやる気や好感度も上がるというメリットはあります。

私は仕事に対してはメリハリを持ってキッチリ働く派なので、割と真剣に全部に取り組んじゃいますね。

定時までバリバリ働いて帰るぞ!って(笑)

こんな感じで普段の仕事は自分の裁量に任されています。

ただし、月に一回の義務としてあるのが、学園長でもある大司祭レア様から下される”課題”です。

割とヤバイ案件を毎月ホイホイ課題として出してくる学園長レア様。

これがまた「賊を討伐してこい」だの「村人が突如原因不明の発狂をし出したから調査してこい」だの、ぶっそうなモノばかりでして。

下手すると命を奪われえかねない危険な任務なんですよね。

「こんな危ないことを生徒たちにやらせられるかっ!」

そんな風に訴えたくなるのが、まっとうな先生の心情ではないでしょうか。

しかしその気持ちとは裏腹に、当の生徒たちは「士官学校とはこういうものだから」と割り切っているっていう(笑)

そうなると「あ、もうこの子ら引っ張っていくしかないよね…」みたいな空気になってしまう訳ですね。

しかも、生徒たちは戦闘中や戦闘後に「先生流石!」「先生凄い!」と褒めたたえてくれます。

これが妙に気持ちが良い。

「この学園の教師になって良かったぁ~!」とすぐに洗脳されてしまうわけですよ…あぁ怖い。

先生を取り囲み褒めまくってくれる生徒たち。も、もっと褒めて!(笑)

生徒はこんな感じで、基本的に皆褒め上手かつこちらに対してみな好意的です。

中には異性として思わせぶりな言動をしてくる生徒も。

そんな生徒に対して「内緒でお茶に誘ってみるか」とちょっかいをかけるか、「こ、この誘惑に乗ってはいかんですぞ!」と真面目な教師を貫くか。

どっちを妄想して動くかはあなた次第です。

中には手を出さないようにと、大人が目を光らせている女子もいたりして。

そういった色んなバックボーンを想像しながら、学園内で先生としてどう立ち回るかというのが面白いですね!

因みに、他の教師や生徒以外のキャラクターもお茶に誘ったりすることができます。

「はわわわ!マヌエラ先生!ボ、ボクとお茶しませんかぁああ!」

オ、オホンっ…失礼…取り乱しました…。

まぁ、こんな感じで仲間にどんどん声をかけたり、戦場を共にして仲良くなっていくと、ゆくゆくは結婚にも繋がっていきます。

なので、超絶カワイイお嫁さんやイケメンの王子様をゲットするのも夢ではありません!

みんなの夢(妄想)叶えすぎでしょ、このゲーム(笑)

生徒の進路を導く妄想が楽しい!

本作では、担任となる学級を「黒鷲の学級」「青獅子の学級」「金鹿の学級」の3つの中から選べます。

どの学級を選ぶかによって違った物語が展開していきますので、非常に悩ましい選択になりますね。

そして、プレイヤーは選択した学級の教師として生徒たちを指導し、彼らがどんな道に向って歩むのかを自分の判断で行うことができます。

生徒にはそれぞれ才能(適正)がありますし、なんとなく雰囲気的にコレがあってるよねというクラス(職業)はあります。

生徒側から「私はスナイパーを目指そうと思うんですけど、どう思いますか?」と相談も受けることも。

ただ、それに則って遊ぶのが必ずしも正解というわけではないのが面白いところなんですよね。

今回のFEは一部の特殊なクラス以外は、条件さえ満たせば自由にクラスチェンジが可能です。

華奢そうな女子を、アーマーナイトで盾役にすることだってできます(笑)

なので、自分の妄想と相談しながら彼らの進路を決めていくのも、全然アリなゲームになっているんですよね。

例えば、このヒルダという女子生徒。

典型的なクラスカースト上位系な女子で、自分の容姿に自信を持っていて、甘え上手。

良く言えば要領が良い、悪く言えばちょっとずる賢い、そんなタイプです。

そんな彼女は見た目や性格に反して斧を扱う才能があり、バリバリ前線で戦えるキャラクターだったりします。

斧で敵をぶっ倒すそのゴリラっぷりを見ると前衛のクラスにしたいが…。

何やら武に長けた家系のようで、その辺りも才能に関係してそうですね…。

しかし、本人曰くどうやら(楽をしたいから)後方支援に回りたいということを何度も主張してきます。

なので、先生としては考えるわけですよ。

「よし、君の言い分は分かった。前衛か後衛かはさておき、斧をぶん回す以外に何が得意なんだい?」と。

そんな事を思い浮かべながら、色々彼女の話を聞いたり観察をしていると、どうやら踊るのが好きだというのが見えてきます。

能力的にも魅力値が高く、ルックス的にも合っている…。

それなら「じゃあヒルダ君、君は踊り子を目指したまえ!」という話になるわけですね。

斧を振るうよりも、踊る姿の方が確かに様になる。

このように各生徒に対して、相手の話を聞いてプレイヤーが思う方向に導いていく。

そうした過程が「生徒を育てている」という実感にもつながります。

因みに、今回のFEはこれまでのものと比べて、各キャラクターの情報量が段違いに多いです。

前作比で5倍は軽く超えていそうな気がしますね。

好きなモノ、嫌いなモノ、家柄や家族がどんな人なのか。

それだけでなく、他のクラスメイトとどういう関係なのか、相手の事をどう思っているのかまで。

ビックリするぐらい細部まで設定が作り込まれている上に、特盛のセリフを全編フルボイスの感情をこめた声で聴けます。

(声優陣もめちゃくちゃ豪華で、演技も素晴らしい!)

一見、これだけ事細かにキャラ設定をハッキリさせてしまうと、妄想の自由度が減ってしまいそうですが、実はそうでもないんですよね。

上手いのが、情報はいっぱい見せるけど、人によってはどう解釈しても良さそうな余地がちゃんとあるということ。

先ほどのヒルダの話でも、私は踊りが好きっぽい発言に食いついたわけですが、人によって彼女に対してどう育てていくべきか解釈が変わってくると思います。

斧使いの才能を生かしてヒルダの親族と同じく立派な騎士に育てようとするのもありでしょうし、彼女の要望に合わせて後衛で応援するクラスにするというのも良いですよね。

今回のFEはこのように、提示されたキャラクターの沢山の情報を元に、色んな妄想の選択肢が浮かび上がる…そんなゲームになっていますね。

じわじわ妄想が盛り上がってくるのが楽しい!

今までのFEでは、主要キャラクターたち数人以外は、空気的な存在になりがちでした。

しかし、今回のFEではそれが見事に改善されていますね。

生徒を中心に多くのキャラクターがストーリーに絡み、学園生活から戦乱の世を経て変化していく関係性。

生徒と共に生きるドラマがしっかりと描かれていきます。

しかも、関係性を描いているのは先生x生徒という関係だけではありません。

生徒x生徒(他の先生達)の間にもしっかりと関係性を深めていく描写もあって、知れば知るほど面白くなっていきますね。

▼仲間になってから関係を深めていくプロセス

①ゲーム序盤に教師として赴任。生徒たちが一気に仲間になる。

②なんとなく生徒の個性を理解していく。

③共に時間を過ごすうちに、それぞれの内面を知ってく。

④徐々に学園内に不穏な空気が漂う中、クラスの結束はより強まっていく。

このように段階的にストーリーと並行して、複数のキャラクター同士の関係が深くなっていくので、ジワジワと妄想も盛り上がっていくんですよね。

因みに、近年のFE作品では不評だったテキストが、今回は見違える程に改善されています。

言い回しの上手さや語彙力もありますが、確執や友情、家の問題、過去のトラウマなど色んなテーマの話が出てくるのが良いですね。

実は○○の家族の死が××と関係していて、○○はそれを気にしているとか。

そういう掘り下げを色んなキャラクターに対して行うので、妄想もはかどりますね!

敵の実情を妄想して楽しめる!

今回のFE、学園でキャッキャと仲良しごっこをするゲームと思っている方、多いんじゃないでしょうか。

ハッキリ言います。

そんなものは最序盤だけです!

序盤から既に学園内外で起こる様々な事件や何やら訳ありな発言をしまくるキャラ達…。

平和に見える学園の裏で何やらどす黒いものが蠢いている。

学園に忍ぶ黒い影。仮面の炎帝の正体とは…。

一体、誰が味方で誰が黒幕なのか…ミステリー要素もありつつ。

既にPVでも告知されている通り、やがては三国に分かれて争う激動の戦争の第2部に突入していきます。

動画リンク:ファイアーエムブレム 風花雪月 [E3 2019 出展映像]

これの何がつらいって、自分の学級以外の生徒たちが、敵になるっていう事ですよ!

まぁ1周目は良いんですよ。

「隣の学級のあいつが敵か…いい奴っぽかったし…やりにくいな…」

そんなレベルで事は済みますから。

問題は2周目以降で、1周目とは他の学級の担任になった場合ですよ。

良く知った生徒たちが敵になるわけです。

もう既に充分、彼らが、彼らなりに正義を持っていて、人としても良き人間である事を知っている。

先生!と慕われ、生徒たちと信頼し合った記憶もある。

そんな彼らとガチで戦争するなんて…もはや心情は複雑の極み!

「あなたはかつて自分が育てた生徒に、何も感情なく剣を振るうことはできますか?」

「彼らは何を考え、戦っているのか、思い浮かびませんか?」

そんな問いかけをされながら、敵勢力と戦うゲーム。

こんなゲームってなかなかないですよね。

駒を動かして敵の駒を潰す。

ゲームの本質的にはそれだけのことなのに、色んな記憶や妄想が駆り立てられて、凄まじい感情の揺さぶりを生み出しています。

まぁ~やる事えげつないですわ、任天堂さんもインテリジェントシステムズさんも。

こんなの絶対ユーザーが「うわぁあああ!」ってなるの、分かっててやってるでしょって。

敵(かつての生徒)を相手にして、この戦場でどんなドラマが起きているのか、頭の中でイメージせざるを得ないですよ。

でも、こういう戦争の持つ複雑な人間模様から産まれる妄想って、物凄いFE感あってたまらんのですよね(笑)

「この複雑な心境っ!妄想のお箸が止まりませんっ!」

個人的にこの三国による生徒同士の争いの中で、特にえげつないと思ったのが、他の学級から生徒を引き抜きができるシステムが生むドラマですね。

他の学級の生徒の好感度を上げて、彼らが認める能力(武器の熟練度)を満たすと、自分の学級に転属してくる(あるいは引き抜きできる)っていう事が、本作ではできるんです。

ただ、他の学級の生徒全部を引き抜くということにはいかないので、どうしても敵対せざるを得ない生徒も出てしまいます。

その結果、元々同じ学級で仲良しだった生徒同士が、戦場で剣を交えるみたいな悲劇が起きてしまうんですよね。

こんなの「妄想の極上サーロインステーキやぁ~!」ってなりますわ(笑)

今までは割と自分の軍に対して妄想を働かせる枠に留まっていたのが、このように敵側にも更に妄想の枠が広がっているっていうのが、今回のFEの大きな進化だと思いますね。

マジで今回のFEは妄想力が爆発しまくります。

 

妄想は七難を隠す

「色の白いのは七難を隠す」

様々な欠点があっても、色白なお陰で目立たない、という意味のことわざです。

FEには七難とまでは言いませんが、やはり欠点はいくつかあります。

しかしながら、そのうちのいくつかの欠点を妄想が補ってくれるのもまた事実です。

ここでは具体例として、私個人の感覚ではありますが、普段気になりがちなポイントを妄想でどうカバーしているのか、二つの事例をご紹介していきましょう。

読まない空気も妄想でカバー!

メインストーリーで物凄い深刻な状況下に置かれているのに、明るいサブイベントが発生してポカーンとなることってありませんか?

地球が今滅ぼされそうとしている!というタイミングで、ぬいぐるみを探せ!みたいなミッションが発生したとか(笑)

シリアスなメインストーリーとは別に、キャラの好感度をフラグにしてサブイベントが起きる様なゲームって往々してこういう事が起こるんですよね。

実は本作もこれと同様の事が起きるのですが、面白いことにそんなに違和感がないんです。

それはなぜかという理由ですが、分かりやすく例え話を使って説明していきましょう。

例えば今、あなたは失恋してどん底気分な人だとします。

そこに、あなたの失恋を知った1人の人がやってきて「いや~昨日のお笑いライブ最高だったわw」なんて声をかけてきたとしましょう。

もし、その人が大して親しくもない人だったら「何だよ…今そんな話する気分じゃないからあっち行ってくれよ」と嫌な印象抱いてしまう人が多いのではないでしょうか。

でも、もしその人が自分が人として好きな人だったり、いつも応援してくれる信頼できる人ならどうでしょうか。

「なんか…気を使って元気づけようとしてくれてるのかな…」という風に受け止め方がまた違ってきますよね。

これを心理学では『認知バイアス』と呼びます。

人間にはこのように「事実はどうあれ、自分にとって都合の良い受け止め方をしたくなる」という特性があるんですよね。

そして、本作はこういった認知バイアス的なものが、ガンガン働くゲームとしてできています。

ちょっと場違いな会話イベントが起きても「今落ち込んでるのを紛わせてくれようとしてるのかな」なんて捉えてしまうと。

これが成り立つのは、本作が各キャラクターの内面の良さをプレイヤーに理解させることに成功しているからですね。

キャラクターそれぞれには千差万別の個性が与えられていますが、「主人公のことを理解して、連れ添ってくれる」そんな信頼感のようなものが、どのキャラクターからも感じられるんです。

なので多少場違いな場面でも不思議と許せてしまうと。

ここまで意図してゲームをデザインしているかは謎ですが、結果的にプレイヤーにとって上手く妄想(都合よく解釈できる)ようになっているっていうのが凄く興味深いですね。

ヌルめの戦闘も妄想でカバー!

本作は難易度を「ノーマル」「ハード」から選べます。

(アップデートで後に、最高難易度「ルナティック」が増える予定みたいです)

恐らく多くの方が最初は難易度ノーマルで遊ぶかと思いますが、シリーズで比較するとかなり易しめな難易度調整が施されています。

レベル稼ぎをしたり、強力な技を積極的に使えば、普通のRPGを遊ぶような感覚でサクサクと遊べてますね。

戦闘パートは概ね快適で遊びやすいが、一部不満もある。

普段SRPGをやっていない人や初めてFEをやる人には、これぐらいが丁度良いのかもしれません。

しかしながら、かつてのFEが掲げていた「手強いシミュレーション」というものを求めている人には簡単すぎる印象があります。

現に私も最初ノーマル難易度で始めたものの、滅茶苦茶簡単に感じて後悔しました。

私は高難易度の『if 暗夜王国』『トラキア』が好きだったり、『ファイアーエムブレム ヒーローズ』の難易度ルナティックの詰み将棋的な遊びに慣れている、どちらかと言うとマゾいのが好きな人間。

なので、ちょっと感覚的に特殊なタイプではあると思いますが(笑)

ただ、そんな私の様な人間でも、妄想ドラマがしっかりしているせいか、ゲームプレイ自体は楽しんですよね。

戦闘アニメーションは無駄なくサクサクと進むので妄想の邪魔をしない。

戦略的な部分で「う~ん」と考え込むところはあまりないのですが、前述した他の学級の生徒と戦う場面とかはやっぱり気持ちが入っちゃいます。

戦闘バランスについてはハードにするとまた感覚が全然違ってきますし、手ごわい難易度が欲しい私みたいな人間はそっちをやれって話なんですけどね(笑)

 

結論:妄想度を高めたのが勝利の決め手

誰もが経験してきた学校、誰もが近くで見て良く知っている教師という、馴染みのある環境をベースに使ってゲームに入り込みやすくし、懇切丁寧に物語やキャラクターの設定や性格などの情報をどんどん与えていく。

その代わりにクラスチェンジや仲間のスカウトなど、選択の自由度を与えることで、上手く妄想できる余地をしっかり残している。

『ファイアーエムブレム 風花雪月』というゲームは、このように非常に妄想力を駆り立てる事に対して計算された、非常に良く出来たゲームです。

妄想が沢山膨らむから、誰かとこの思いを共有したいと思いますし、良いゲームだよねっていう声が自然と出てしまいます。

そして、プレイヤーの妄想と言うのは、ある意味最強のポジティブ要素みたいなもので、多少の粗を気にさせないくらいのエネルギーを持っています。

細かく良く見るとグラフィックがチープだったり、簡略化している部分がいっぱいあったりと、ツッコミどころはいっぱいあるにはあるんですよね。

でも、そういったマイナスポイントも圧倒的な妄想の魅力・楽しさによってかき消され、結果的に評価としては高いものになると…。

これが本作の高評価を支える理由だと私は考えます。

そういう意味では、妄想ネタの宝庫である学園パートをポジティブに受け入れられるかどうかは、今回のFEを気に入るかどうかに大きな影響がありそうですね。

なので、学園パートを無視して遊んだ時の印象がどう変わるかもちょっと試してみたいと思っています。そうなると「純粋にシミュレーションゲームとして面白いのか」という所に注目した記事になるのかな…。

本作はこれか何周も遊ぶ予定でいますし、度々記事として取り上げると思いますので、今後ともご期待頂ければ嬉しいです。

最後までご一読いただき、ありがとうございました。

Written by にぃど(@switch_for)

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