本日は、NIntendo Switchソフト『ハコボーイ!&ハコガール!』のレビュー・感想を述べていきます。
『ハコボーイシリーズ』は本作で4作目。ハコ(箱)を使ってステージのゴールを目指すシンプルなパズルアクションの部分はそのままに、2人協力プレイや新しいギミックなどの追加によって更なる進化をした作品になっています。
しかも、収録されているステージ数は270というシリーズ最多。正直言って1200円とは思えない、破格にコスパの優れたパズルゲーム!という印象がとても強いですね。
ただ、ゲームの内容自体がとてもシンプルかつ地味なのでレビューの難易度は高いですが、できるだけ皆さまに作品の内容や魅力が伝わるよう、しっかり説明していきたいと思います。
価格:1,200円
メーカー:任天堂
ジャンル:パズルアクション
プレイ人数:1~2人
オンライン:なし
暴力表現:なし
クリアは簡単だがやり込みには頭を相当使う
本作は横スクロール型1のステージを突き進み、パズルを解いていくパズルアクションゲームです。
パズルアクションといってもアクションゲームとしての難易度はかなり低く作られており、割合で言えばパズル要素が9割、アクション要素が残りの1割といった所でしょうか。
ゲームテクニックよりも圧倒的にパズルを解く知恵の方が大事なゲームとご理解いただいて差し支えないと思います。
そして、このゲームの最大の特徴は操作キャラクターであるキュービィが作り出すハコです。
身体からポコポコと生み出されるこのハコの利用方法は、主に足場として使うことが多いのですが、実は様々な利用方法があります。
時には盾の様に使ったり、フックの様にジャンプで引っ掛けたり応用パターンは様々。
因みに、このハコの個数はステージごとに一度に出せる数が決まっています。ステージデザインも「その個数内でどうやって進めるのか」というのを考えさせるように巧妙に作られていますね。
折角なので、ここで試しにどんなものか例題見てみましょう。
【例題】ハコを4個使ってA地点に進みなさい。
【答え】
こんな感じでハコを使ってパズルを解いていき、ステージ端のゴールを目指していきます。
このゲームはいわゆる空間認識能力2が問われるゲームですが、色々試行錯誤しながらできるので、さほど難易度は高くありません。
行き詰ってもほぼ答えに近いヒントをいつでも見れますので、難しくて挫折してしまうという事はまずないでしょう。
こういった所から非常に敷居が低く作られているパズルゲームなのは間違いないのですが、やり込み要素に手を出しはじめると話は変わります。
クリア自体はさほど難しくないのにやり込みを始めると途端に手強くなってくる。これは任天堂のゲームによくあるパターンですね(笑)。
因みに、やり込み要素に具体的にどんなものがあるのかと言いますと、ステージ中にある王冠を集めたり、ハコの使用合計数を既定の数以内に収めるという2つのミッションがあります。
最初の内はこれらを一つずつ取りこぼさないようにゲットしつつ、ゴールを目指すのもそれほど難しくありません。
しかし、途中から相当なひらめきが求められるようなものも出てきて、頭から湯気が吹き出しそうになりましたね。そういった所から「ハコボーイ侮るべからず」という印象を私は持っています。
どちらかというと日々コツコツと遊ぶ人向け
ゲームの最初の方はできる事が少ないですしパズルもかなり簡単なので、パズルゲームに慣れている人は少し退屈にも感じるかもしれません。
しかし、だんだんステージを積み重ねていく内に、新しいアクションが増えて行ってパズルのバリエーションが増えていき、やり応えが出て来ます。
私の経験上、こういったアクションパズルゲーム系はある段階で似たような繰り返しになってしまい途中で飽きることも多いです。
しかし本作はどんどん新しいアップグレードでキュービィの能力が拡張されて行きます。ギミックに関しても、ステージを進むたびに新しいものが、適度なタイミングで出てくるお陰でマンネリ感を感じさせることは殆どありませんでしたね。
無重力空間やスイッチを押してゲートを開けるギミックなど様々なギミックを駆使していく後半になるにつれて、どんどんやりがいが出て来るイメージです。
更には1人用のステージをクリアすると、シリーズ初登場の縦長のキューディで遊べるモードが解放されるのも良かったですね。
真四角のキュービィにはなかった、縦横の向きを考えるという新しい概念。これによってワンステップパズルの難易度が底上げされるような、上手いアレンジが利いています。
また、今回新しく加わった要素として、キュービィたちの着せ替え要素があります。能力値とは関係ない見た目を変えるだけのカスタマイズですが、見た目が地味すぎるキュービィを何とかしたいと思っていたファンの方には嬉しい要素ではないでしょうか。
コスチューム類はゲーム内で貯まるポイントを使ってガチャを引いてゲットする。本作ではステージ数270という膨大なボリュームに対して、こうしたキュービィのアップグレードになどを織り交ぜながら飽きさせないような工夫がされていますが、激しいアクション要素が追加されるという事はありません。
刺激的な体験を求めて短期集中でガッツリ駆け抜けるように遊ぶよりも、日々の日課として少しずつ遊ぶゲームを求めている方の方が適している様な気がしますね。
仕事や学校で疲れて帰ってきた時。家事を片付けて一息つきたいタイミング。そんな時は程よく頭を使ってサクッと遊べるハコボーイという感じでオススメしたいですね。
シンプルさが2人プレイにマッチしている
本作から追加された大きな新要素である二人協力プレイについても、お話していきたいと思います。
二人協力プレイでは専用に用意されたステージを、二人で上手く協力し合って一緒にゴールするというルールになっています。
パズルアクションで二人で遊ぶゲームというと、同じくSwitchに出た『いっしょにチョキッとスニッパーズ』を思い出しますが、スニッパーズに比べると本作はより二人協力プレイが遊びやすい印象がありますね。
『スニッパーズ』というゲームはキャラクターの身体を切り合って、できた形を使ってパズルを解くっていうなかなか面白いゲームなのですが、自由度が高いのが災いして同じくらいの知能レベル人同士じゃないと、片方がイライラしたり喧嘩になりやすい所がありました。
しかし、本作はハコをどうやって伸ばすか、伸ばしてどう使うかというシンプルなことしかできないので、意思の疎通が物凄くシンプルでやりやすいんですね。
協力プレイというのは、意思疎通がかみ合わないときは物凄くストレスになります。意思疎通のやりやすさの重要性をスニッパーズと本作を比べて改めて実感することができましたね。
因みに、この二人用のモードは一人でも遊べるようになっています。ワンボタンで切り替えながら遊べるので、一緒に遊ぶ人がいないという環境でも問題なく楽しめるというのは良いですね。
まとめ
プレイヤーに対して徐々に選択肢を増やしていく誘導や巧みなパズルが組み込まれたステージデザインは任天堂のゲームらしく非常に丁寧な作りをしています。
1人で遊ぶだけでも膨大なステージ数があるのに加えて2人協力プレイも今回から付いていますし、これで定価1200円は滅茶苦茶安いです。任天堂はパズルアクションというジャンルにに対して、価格破壊をしに来た感が否めませんね(笑)
2人協力プレイもシンプルなゲームデザインのお陰で意思疎通も取りやすく、友達同士、親子や夫婦等いろんな人と楽しめるようなゲームになっています。
全体的に見た目も内容も地味でアクション性も低いので、短期集中型で楽しく遊びたいという人には少し不向きなのかもしれません。刺激の強いゲームではないので。
逆にコツコツステージを進めながら、コスチュームをゲットするのを日々の日課として生活の合間に楽しめる人には本作をオススメしたいですね。