難しいのに面白い!と『CUPHEAD』が高く評価されるその理由を解説!

『CUPHEAD(カップヘッド)』は世界で300万本のセールスを誇る大人気のアクションゲームです。

先日配信されたNIntendo SwitchのeShopでも配信後すぐにセールス1位になった後、2週間経った今もそれをキープし続けるという日本でも変わらぬ人気ぶりを見せています。

しかし、カップヘッドは購入した人から「かなり難しい」と多くの人に悲鳴を上げられる一方で「かなり面白い」と讃える声も多い不思議な作品なんですよね。

難しいゲームは賛否両論になり易いところがあるのですが、このゲームに限っては多くの人がポジティブに難しさを受け入れてしまっているようです。

私もそれには同感で、何度もゲームオーバーになり絶叫しかけたり、ヒィヒィ言いながらコントローラーを握っている訳ですが…

ストレスを感じず、ついつい何度も挑戦してしまうんですよね。

そんなカップヘッドの「難しいのに辞められない魅力の根源」について…色々と考察してみましたので本日はそれを解説していきたいと思います。

基本情報機種:Switch/Steam/Xbox One
価格:1980円(ダウンロード版のみ)
プレイ人数:1~2人
オンライン:なし
暴力表現:なし
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サプライズの連続!

カップヘッドは一部横スクロールのラン&ガンと呼ばれるステージは有りますが、大半がボス戦で構成されています。

そしてそのボスはどれも個性的かつ印象深いキャラクター達ばかりで、バリエーションが非常に豊かなんですよね。

それぞれのステージで全く特色が違うボスが出てくるのは当然ですし、

ボス1体にしても数分の間に何度も姿と攻撃方法を大胆に変化させてきます。

例えばあるボスはジェットコースターに乗って攻撃してきたかと思えばメリーゴーランド変身してきたり…

やってる事が「え?何それ!そんなの聞いてないんだけど!w」なんて毎ステージ驚きの連続なんですよね。

こんな激しい変化をボスに与えられたのはひとえに1930年代のカートゥーンアニメ調のデザインのお陰という所もあるでしょう。

カートゥーンアニメって改めて見てみると本当に発想が自由なんですよね。

この記事を書く前にYoutubeで1930年代のやつを色々漁ってみたんですけど、

ドアノブを引っ張ると家が倒壊してしまったり…

巨大な鷹が火山に突っ込んでお皿に乗ったチキンになって現れるとか…

もう何でもアリだなと(笑)

そういった既成の概念に縛られないカートゥーンの自由な世界を選んだことで、私達ゲームプレイヤーに何度も驚きというサプライズを与える事が出来たのかなと。

リアルな髭のガチムチのおっさんが銃をぶっ放す世界観じゃこんな滅茶苦茶なボスのバリエーションや展開を用意することはできなかったはずですね(笑)

次はどんなボスが出て来るのだろうか?

この後どんな姿になってどんな攻撃をしてくるのか?

言うならば子供の頃ディズニーランドに初めて行った時の様な、無数に散らばるワクワクが続いていく感じをこのゲームでは楽しめるのです。

 

高難易度で萎えさせない工夫

カップヘッドは大体2分程度でボスを倒せるように調整されています。

この文字だけで見ると「短っ!」と思うかもしれません。

しかし、実際は何度も挑戦しては敗れ、挑戦しては敗れ…を繰り返す事になるので結局の所ボスを倒すまで30分〜1時間とかかり、ゲームプレイ時間としてはそれなりの長さはあるわけです。

そうはすんなりとクリアさせてくれない難易度なので何度も何度も挑戦が続く。

しかし、考えてみるとこのスタイルって現代人…特に社会人の人にはピッタリなんですよね。

高難易度のゲームには「失敗したら十分前に戻ってやり直し」みたいなスパルタなゲームが有りますが、そういう苦労を乗り越えられる人って割と選ばれた人達で、

多くの人が途中で疲れて辞めてしまったり、めんどくさくなって他のゲームに走ってしまうのでは無いでしょうか。

しかし、そういう人も「今回失敗したけど次上手くいけば2分で決着付くよ」という話であれば「もう一回やってみようかな」なんて受け止め方も大きく変わってくるわけです。

しかもゲームオーバーになると、今のプレイでどこまで進んだのか分かるようになっているのも良いですね。

自分がどこまでゴールに近づくことができたかゲームオーバー時に表示される。

ボスのHPバー減り具合を見てどこまで進められたかを確認するのも本質的には変わりませんが、

その場合印象としては「どこまで進んだか」というよりも「HPをこれだけ残して倒された」というやや残念なイメージが残りっていたような気がしますね。

ゲームオーバーになっても負担を感じず、前向きに挑戦できる…

こういった絶妙なバランスと配慮によって「やりがいのあるゲーム」というポジティブな印象に変えていますね。

 

揺らぎが生む面白さ

カップヘッドは基本的に敵の行動パターンを覚えて対策を練る「覚えゲー」なのですが、面白い事にボスのパターンに揺らぎがみられます。

これはどういうことかと言うと…

例えば他のアクションゲーム等でA→B→Cみたいな感じで、ボスがダメージを与えるにつれ決められたパターンで行動や容姿を変化させていくというのをよく見ることがあると思いますが…

カップヘッドの場合Aの後にBが来るのか、Cが来るのか、はたまたDになるのか分からないという感じで、複数のパターンが用意されているんですよね。

こういった何度も何度も挑戦するゲームは繰り返し遊び続けていくと、決まったパターンを覚えるだけの作業的なゲームになっていってしまう所がどうしてもあるのですが…

そこを「作業にさせないようにパターンにランダム性もある程度持たせよう」としたわけです。

これによって例えば「俺はAとBパターンはもう見切ったけど、CとDはまだ不安定だから来たらどうしよう」なんて緊張感を感じたり、

「Aは苦手だけど他のB〜Dのパターンはいけるから、Aが来なければ行ける!」なんて希望を見出したり、

ボスを倒すまでの過程の中で自分の中の感情がコロコロと変化していきますし、退屈さや作業的な感覚を感じる前にボスを倒す…という体験を何度も味わうことができるのです。

 

取捨選択の楽しさ

カップヘッドはアイテムを購入して装備することが可能です。

アイテムは例えばショットを追尾性のあるものにしたり、近距離で威力の高いものに変えたりすることもできますし、HPを増やしたり、ダッシュ中に無敵になれるアイテムなど様々です。

貴重なコインを使って何のアイテムを買うか非常に悩ましい。

しかしこれらにはそれぞれ一長一短な部分がある事や、装備できる数に制限があるため、適当に強そうなのを付けてお終いというわけにはいきません。

アイテムを購入するゴールドも決して潤沢ではないので、どのアイテムを購入して何を装備するかというのは、攻略においても非常に重要になってくるわけですね。

カップヘッドのカスタマイズはとても悩ましくて、それぞれのボスに有効な装備はどれかというのを考えるのが楽しさの一つでもあります。

ただ与えられたものを順番に装着していくのでは得られない、プレイヤー自身が攻略を考えて挑戦し、強敵を打破する充実感を与える巧みさもカップヘッドを面白くしている一つの要素ですね。

 

まとめ

今回こうして「カップヘッドが難しいのになぜにこうまで面白いのか」というのを考えてみて気付いたのは…

どうしたら歯ごたえのあるゲームを楽しんでもらえるかをとことん煮詰めて考え込まれたゲームだ!という事です。

ユニークな見た目から「どちらかと言うとアートデザインありきなゲームなんじゃないの?」という印象を抱きがちですが、

高難易度のゲームだからこそ短い時間で達成できるゴールを設けたり、カートゥーンの何でもありな描写を活かしてプレイヤーの予想を裏切るサプライズを提供したり…

あらゆる面で考え抜かれた非常にロジカルに面白さを分析して作った作品という事が読み取れます。

こういう巧みな仕掛けをアートに上手く混ぜ合わせた「理系x芸術なゲーム」は任天堂がよく作っている印象があって、彼らの作るゲームの特色であり一つの強みだと思うのですが…

それに匹敵するようなものをインディーズという大規模ではない人員でこうして練り込んで作り込んだということは本当に素晴らしいことです。

(そこにはカップヘッドの価値を見出し、辛抱強く支援したマイクロソフトの存在が大きかったと思いますが)

カップヘッドには「できるだけ多くの人にゲームの手応えをどうやったら楽しく実感してもらえるか?」という問いかけに対する答えがしっかり詰め込まれていますので、

「難しいらしいのでちょっと…」と躊躇せず興味のある方は飛び込んで欲しいですね。


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