エキサイティングなゴリラゲー爆誕!『APE OUT』レビュー

今回はゴリラを操作し脱走を図るアクションゲーム『APE OUT』(エイプアウト)のレビュー・感想記事になります。

本作は非常にシンプルかつ本能に訴えかけるゴリゴリ脳汁ドバドバ系で面白さを言語化するのはなかなか難易度が高くもありますが、

興奮度や中毒性の高さなどゲームの魅力をしっかりお伝えしたいと思います。

基本情報機種:Nintendo Switch / Steam
価格:1500円(ダウンロードのみ)
プレイ人数:1人
オンライン:なし
暴力表現:あり
こんな人にオススメ!

・暴れまわる爽快なゲームがしたい
・何度もリトライして上達するのが好き
・ジャズが好き、もしくはカッコいいと思う
・ゲームは量よりも密度派

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凶暴ゆえの快楽と美

本作は上からの見下ろし視点のアクションで、捕らわれたゴリラを操作して脱走を図るステージクリア型のゲームです。

檻ぶっ壊すことから毎回スタート

『Mr.Shifty』や『Hotline Maiami』等インディーズではよくあるタイプですが、アートデザインのような独特のビジュアルがパッと目を惹きつけますね。

このゲーム、端的に言ってしまうと人間をバンバン倒していく割と暴力的なゲームで…

鮮血や人の身体の部位が吹っ飛んだりしているのですが、あくまでも絵の具をぶちまけたように見せているため、嫌悪感や罪悪感は殆どありません。

視覚だけでなく、後ろでドコドコ鳴っているジャズドラムと、敵を倒した時のクラッシュシンバルがパシャーン!となる音も合わさって…

まるでジャムセッションをしているような高揚感を凄く感じさせます!

めっちゃ遊んでて気持ち良い!

ディテールが分からないのでグロくない

このようにしてゴリラで暴れまわって人を屠るのを肯定的に表現しているので、傍から見ると残虐性が高いゲームのようにも思えますが…

実際に遊んでいて「人をヌッコロして楽しい!ウヘヘ!」なんて危ない感情はほぼゼロです。

それよりも感じるのは「野生の力強さ」や「本能に生きる美しさ」に近いものですね。

これはむしろ崇高で高尚な紳士淑女の為のたしなみではないでしょうか。(言い過ぎ)

流石に小中学生に笑顔でオススメはし辛いですが、分別のある大人が遊ぶ分には気持ちよく遊べる系なゲームです。

 

単純だがやり応えは凄い

ゴリラの操作は滅茶苦茶シンプルで、スティックによる移動と2ボタンしか使いません。

人間を殴って吹っ飛ばすか、人間(物)を掴んで盾にするか…アクションの選択肢はこれ位なので難しい事はありませんし、操作性もかなり気持ちよく遊べます。

しかし、このゲーム…操作のシンプルさとは裏腹に ゲームのやり応えは半端ない です。

そのやり応えは何ぞやというのを少し具体的にここで紹介していきましょう。

絶妙なスニーク要素と緊張感

このゲームの敵である人間の殆どは重火器を武装しています。

流石のゴリラも銃弾を3発も食らえば一巻の終わりで、中には爆発物で一撃という恐ろしい輩もいますので常に人間に対しては注意が必要です。

目が合うと当然発砲をしてくる

そんな相手に正面からフラフラ近づくなんて自殺行為に近いでしょう。

ですので、マップの遮蔽物を上手く使って隠れて出会い頭にぶん殴ったり…

相手の背後を見計らって襲うなど…

死角や遮蔽物を上手く考えて立ち回ることが重要です。

しかし、敵に見つかっても『メタルギアソリッド』や『アサシンクリード』等のスニークアクションゲームのように増援を呼ばれてボコボコにされるという事はありません。

見つかっても撃たれる前に素早く一人一人冷静に対処してしまえばOKです。

ただ、ひとつ注意しなくてはならないのはこのゲームは…

マップが自動生成でやり直す度に形が変わるんですよね(苦笑)

倒されると画面に表示されるマップとゴリラが進んだ形跡。

スニークゲーはマップや敵の配置を覚えていくことによって攻略の糸口をつかんでいくわけですが…

本作はマップや敵が毎回リセットされるので、敵と戦うか隠れるか常にその場その場で判断力を問われます。

加えて難易度もそこそこ高いので、ゲームオーバーは当たり前の様に回数を重ねます。

常に緊張感と焦燥感が漂うドキドキの体験…

心して挑むべきゲームです!

問われるのは的確な判断力

ゴリラが人間に対して行える行動は3つです。

  • 遮蔽物に隠れるようにして逃げる
  • 人間をぶん殴って壁に激突させる
  • 掴んで人間を盾にする

一見どれも単純な行動ですが、一番下の「掴んで人間を盾にする」はこのゲームに奥深さや面白さをもたらす一つのキーポイントになっています。

「人間を掴んで盾にする」というのは文字通り、敵の銃撃から自分を守るために人間をひっとらえてしまうという事なのですが…

パワーだけでなく知能もあるゴリラ

面白いのは捕まえられた人間が慌てて銃を発砲するので、それを利用して同士討ちをさせられるんですよね。

ゴリラは基本的に飛び道具を持たないので離れた敵を攻撃できませんが、

これを利用して遠距離の敵を攻撃できるという選択肢を持つわけです。

ただ、人間が捕まって発砲するのは基本的に1発(中にはマシンガン連射するのもいますが)な上に任意のタイミングで撃てるわけではないので、上手く当てるのはコツが要ります。

更に人間を掴んでいる間は歩くのが明らかに遅くなるので、モタモタしていると横や後ろから攻撃されてしまいます。

このようにリスクリターンがある動作なので、その場その場で相手をぶっ飛ばすか、掴んで盾にするか、それとも逃げるか…

この3つをテンポよく頭の中で判断することが常にプレイヤーに求められるという事なんですね。

そして何度も失敗する度に…

「あ~チクショー!あの時無理に盾にせず逃げればよかった!」

なんて風に自分の判断ミスに天を仰ぐわけですよ。

しかも、このゲームはリトライが早いので「ナニクソ!今度こそ!」とゲームがなかなかやめられません。

非常にシンプルなゲームでありながらも判断が重要で、しかも調子が良いとサクサク進んでテンポが良い…

これらの条件が揃っていることでかなり中毒性の高いゲームになっていますね。

ちょっと遊ぶつもりが気が付いたら1時間延々と同じステージを繰り返してたなんてざらにありますから。

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ジャジーなスタイルが堪らない

このゲームは音楽だけでなく、メニュー画面やステージの合間などふんだんに60年代のモダンジャズを彷彿とさせるデザインや演出を施しています。

ジャズはちょっとマニアックな音楽(あるいは文化)なのでそういわれてもピンとこない方も多いかもしれませんが、

ハードボイルドな独特なセンスの演出はゲームとしては物凄く新鮮で、一見の価値はあります。

クールな演出はセンスが良い

煙草の匂いがしそうなビターでアンダーグラウンドな空気感、アナログレコードに針を落とすノイズ…

ん~こいつぁ~はジャズを「わかってる人」がちゃんと作ってますね。

映画の『セッション』とか好きな人には堪らないかと。

ゲームとジャズの融合を目指した作品という点ではかなり挑戦的で、面白いですし…

こういうマニアックな事を「開発者が好きだからぶっこんでます感」が実にインディーズらしくて良いですね!

これが大手のメーカーだったら「もっと大衆的に分かりやすいのにしろ!」とプロデューザーに言われてポップな路線を進んでいたでしょう(笑)

 

物量は控えめだが密度が濃い

何をもってボリュームがある、ないを決めるのかは難しい所ですが…

このゲームはどちらかというと少ない物量ながらも密度が濃いゲームを目指して作られている印象が強いですね。

ゲームのステージは大きく分けて4つあり、それぞれがアナログレコードのアルバムとしてパッケージされいます。

レコードを選ぶ演出がオシャレ

そのひとつずつが8つほどの小ステージで構成されていますが、これら全てをクリアするのには大体7時間くらいはかかりましたね。

結構難しいゲームなので同じところを何度もやり直ししている時間が多いのですが、

ステージひとつひとつにちゃんと差別化されていますし…

高層ビルや戦場など舞台は様々

途中停電で暗い中を進んだり、ミサイルが降り注ぐところを抜けて行ったりステージ中の構成に色々と変化があって、最後まで飽きずに遊べたのが良かったですね!

因みに4つのステージをクリアすると、以下のエンドコンテンツ…いやむしろ本格的なこのゲームの遊びが解放されます。

 

アーケードモード各ステージでいわゆるスコアアタックを行う。制限時間が設けられており、途中で倒されればそこで終了。敵をキルしたポイントが加算されたり、チェックポイントを短いタイムで抜けるほどポイントがもらえるなどやり込み甲斐アリ。

BREAK INモード大きなステージの最深部にとらわれた子供ゴリラを救うモード。行きだけでなく帰りの往復でルートを考えていく必要があるため、できるだけ敵を片付けながらダメージをいかにして負わずに進められるかが試されるモード。途中で倒されると初めからやり直し。

難易度:難しい通常モード(易しい)よりも敵が多く配置されており、難しくなっている。通常モードを易しいと言っているがその時点で結構難しいので、かなりの高難易度という事をお察し頂きたい。

このようにクリア後に全く新しいステージや敵が沢山出て来るわけではないのですが、よりディープに遊べるようなモードがちゃんと用意されています。

これをどう評価するかはその人の価値観によるものが大きいと思いますが、個人的には…

「やり込みたい人はそのままやり込めばいいし、自分で納得したところでスッキリ終わることができる」

という点ではテンポの良いゲームの内容にも合っていて良かったと思いますね。

 

最後に

このゲームは見た目が正直地味のでスクリーンショットだけ見ても全然面白そうに見えないのですが…

実際に触ってみると メチャメチャエキサイティングなゲーム ですね。

全編漂うジャジーな香りや難しめの難易度は 割と人を選びます ので是非購入には慎重に判断して頂きたいところですが…

リトライを何度も経て上達する中で、ゴリラの圧倒的なパワーを味わえる感覚や…

音楽に煽られながら常に付きまとうスリリングなプレイフィールなど…

このゲームには素晴らしいものが沢山あります!

当記事でご紹介した内容を見て「これは自分に合いそうだな!」と思った方は特攻しても「ナニコレク〇ゲーじゃね~か!騙された!」みたいなことはないはずです。

Nintendo Switchで、いつでも、どこでも、凶暴ゴリラ体験!

『ドンキーコング トロピカルフリーズ』が表のゴリラゲーの名作なら、本作は隠れたゴリラゲーの名作としてオススメです!

出典元:Amazon

 

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