Nintendo Switchが2017年3月3日に発売されてから丁度2年という事で、これまでのSwitchの歩んできた軌跡を振り返る企画の後編になります。
前編では前評判が良くなかったSwitchが、まさかの垂直立ち上げに近い素晴らしいスタートを飾った一年目のお話をしましたが…
今回はその続きとなる2年目からのSwitchがどんな歩みをしてきたか、一緒に振り返っていきましょう。
1.ユーザー層の拡大
Switchの1年目は『ゼルダブレワイ』や『スプラトゥーン2』、『ゼノブレイド2』など比較的ゲームにある程度慣れした人が遊ぶタイトル中心でしたが、
任天堂は2年目の春から ゲーム慣れしていない人もSwitchに巻き込むべくタイトル をラインナップとして並べていきます。
その筆頭となったのは、ピンクの悪魔の最新作『星のカービィ スターアライズ』です。
カービィは生みの親曰く…
桜井政博氏(当時HAL研究所社員)
「マリオってキッズやおかんには難しいよなぁ…」
という観点から誰でも遊べるアクションゲームとして作られたシリーズです。
この「入門用のアクションゲーム」という伝統は桜井氏がカービィから離れた後も受け継がれており、スターアライズはその集大成ともいえる作品になっています。
しかも、Switch1台あれば4人同時プレイが可能でSwitchとの相性もバッチリ!
カービィは3DSの時よりも好調な勢いで売れ、Switchは子供や女性により強く訴求できるゲーム機になりました。
そして新たなユーザー拡大を推し進めるべく…
任天堂はこの次にとんでもないものを投入します。
これは工作なのかゲームなのか⁈
まさにアクロバティックで誰も想像したことが無かったSwitchの新たな可能性!
ダンボールで周辺機器を自作してゲームを遊ぶ、『ニンテンドーラボ』は我々ゲームファンだけでなく、世の中がひっくり返るような驚きで大注目されました。
ワイドショーでも「これは教育に良さそう」と取り上げられたり、色んなYoutuberが組み立てて遊んでいる動画を上げたりと、様々な場所で取り上げられましたね。
これはもしや…かつてWiiで体感操作の遊びを家庭に持ち込んだあの時以来の…革命的な事が起きるのでは?
そんな期待感の中でラボがどれだけ世の中に広がっていくか非常に興味深いものがありました。
しかし、結果的にラボはその期待に応えるほどの成功はなしえずに終わってしまいます。
任天堂自身も後に「1Qのタイトル(ラボ)で計画していたユーザーの拡大が予想通りにはいかなかった」ということを理由に、
Switchの2018年度に売る台数目標を300万台下方修正をしています。
ラボをアメリカの学校に配布する施策を行うなど、別の方向で浸透させる動きもありますが…
「いつも以上に好調な王道カービィ」と「期待に応えられなかった変化球のラボ」の対比はSwitchに求められているものを一つ示したような気がしますね。
個人的には任天堂に変化球ばかり投げられても困るので、この結果に少しホッとしているのは正直なところです(苦笑)
2.大手サードパーティの始動
多くの大手サードパーティ達は1年目に株主やメディアに
「なぜNintendo Switchが売れているのにソフトを出さないんだ?」
と事あるごとに突っ込みを入れられる程、対応が後手後手にまわっていたわけですが…
彼らもぼ~っとそのまま見ているわけではありませんでした。
流石にすぐに大作のゲームをというわけにはいかないものの、2年目の5月辺りから大手サードパーティの移植タイトルが一気に増えはじめます。
その筆頭となったのがバンダイナムコで、1年目は一体何だったのか?という勢いで『ナルティメットストーム』や『ガンダムジージェネレーション』等次々と移植を投入し始め…
その他にもカプコンやレベルファイブ、セガなども同様に続々と移植を中心にソフトを投入していきます。
レベルファイブの社長さん
「いやぁ~僕は初めから売れると思ってましたよ(すっとぼけ」
そんなサードパーティに対して任天堂も丁度『ドンキーコング トロピカルフリーズ』や『キノピオ隊長』などWiiUの移植タイトルなどを出していたのもあって…
Switch=他機種からの移植タイトルを遊ぶゲーム機
というイメージをここで強めていくことになります。
Switchは据置と携帯を併せたハイブリッド機なので、据置機あるいは携帯機それぞれでは手を出さなかったゲームユーザーに対して、
改めて過去のソフトを触るチャンスとしてこれらの移植タイトルの価値は十分にあったと思います。
特に任天堂ハードに今まで出なかったような『ダークソウル』や『イース8』の様な名作がSwitchにもたらされたのは大きい買ったでしょう。
しかし、やはり 多くのSwitchユーザーが望んでいるのは新作ソフト です。
大手サードパーティの移植作が増えていく一方で、より一層新作ソフトを所望する声が広がっていく二年目の夏…
Nintendo Switch 初のサードパーティ大型タイトル『オクトパストラベラー』が発売します。
昔懐かしいドットスタイルを現代の技術で洗練されたスクエニのオクトラはそのビジュアルだけでなく、ゲームの中身も良くできていたこともあって…
発売後あっという間に在庫切れをしてしまいひと月以上は店頭で変えないという状況が続きました。
そしてオクトラに続いてバンナムが『太鼓の達人』や『ファミスタ』等Switch専用タイトルを出すだけでなく、『僕のヒーローアカデミア』など他機種と同時発売するマルチタイトルが夏場辺りから増えていきます。
また、海外の大手のEpicがバトルロワイヤルで一世を風靡した『Fortnite』をSwitchにも配信したのもあって…
任天堂よりもサードパーティの活躍が夏から秋にかけてどんどん目立つようになってきましたね。
Switchは1年目任天堂が一人で奮闘していたのもあって、
「サードパーティの入り込む余地はない」
というくらいの雰囲気だったのがこの辺りから任天堂とサードパーティの共存を意識した動きが見え始めてきます。
3.眠れる獅子が再び目覚める
秋口まで一気に流れてきたサードパーティに対して大人しくなっていた任天堂ですが
「俺は10月から本気を出す!」
と言わんばかりにキラータイトルを3連発します。
まず、先鋒として10月はこれまで存在感が薄かったパーティ需要を満たせるタイトルとして『スーパーマリオパーティ』を投入します。
マリパシリーズは毎年のように出し続けているゲームなのですが、ここ最近のマリパと比べても5倍以上という比較にならないペースでよく売れています。
人気の理由はHD振動やモーションセンサーなどSwitchのジョイコンの数々のギミック積極的に取り入れたことで、ここ数年のマンネリ感を払拭したのが大きいのではないでしょうか。
その次の次鋒となるのはポケモンのリメイク『ポケットモンスター Let’s Go ピカチュウ・イーブイ』です。
長らくゲームフリークが作るポケモン本編は携帯機でしか遊べなかったのですが、Switchで遂に大画面でも遊べるようになりました。
ピカブイは初代ポケモンのリメイクのためポケモンの数が少ないだけでなく、
『ポケモンGO』のシステムを取り入れるなどして新規層の獲得を狙った作品になっていたため、
「本来のポケモンの様には売れないだろう」と言われることも多かったのですが…
なんて事はない、あっという間にミリオンセラーを突破します。
因みに海外含めると1か月ちょっとで1000万本売れているそうです(驚愕)
今年は完全新作となる『ポケットモンスターソード・シールド』が発売するわけですが、とんでもないことになりそうな予感がしますね!
そして2018年最後を飾ったのは…『大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL』です!
過去作の全員を参戦させるだけでなく、新規キャラクターも従来並みに増やしてとんでもない事になった究極のスマブラは…
これまでで最も売れた『for 3DS』のダブルミリオンをひと月経たずでぶち抜きます。
元々人気だったスマブラですが、普及初期のSwitchでここまで伸びるとは…。
流石に作ってた本人すらもびっくりなんじゃないでしょうか(笑)
スマブラディレクター桜井氏
「私はいつになったら休めるんでしょうね…」
この3本の矢が年末年始と猛威を振るい暴れ散らかしたことでやや年始から初秋にかけて大人しかった任天堂が、圧倒的な存在に返り咲いたわけですね。
スマブラSPが大きく伸びたのもそうですが、予想外以上にポケモンとマリパも売れたその結果、Switchはこの年末年始で一気に台数が伸びる事になります。
4.不安要素を一蹴させる
2年目はトータルで見ると任天堂が大人しかった期間が長かったり、浮き沈みが激しかった印象があります。
特に個人的に印象的だったのは2019年のスケジュールの大半が未定のまま年が明けて…
「もうそろそろ今年のソフトが色々出るんじゃないかな」
という時期に出てきた一発目の発表 ↓ です。
任天堂開発部門で超偉い人高橋氏
「作ってたメトロイドプライム4に納得できないので、いちから作り直します」
え?マジ?!
さらにそれから数日後…
マリカ作った&超偉い人紺野氏
「スマホのマリオカートツアー延期します」
ほへっ?スマホも?!
任天堂どうした…?
こちらはSwitchと関係ないとはいえ、昨年『ファイアーエムブレム風花雪月』や『ヨッシ―クラフトワールド』を延期した上に今年も引き続きどんどん延期していく流れはSNSでも…
「任天堂延期しまくってるけど大丈夫なのか?」
「どうぶつの森とポケモンはちゃんと今年出るんだよね?」
「早くニンテンドーダイレクトやってくれ!」
なんていう不安視する声や不満も増えて、3年目に向かってグラつき始めているかのように見えました。
そんなファンをやきもきさせている一方で、Switch自体は年明けても順調に売れていて『NEWスーパーマリオブラザーズUDX』などをヒットさせつつ伸びています。
Switchが売れているからのんびり行こうやモード入っちゃったのか?
そんな空気すら漂いはじめたまま年明けからひと月が経ち2月になり…
任天堂は突如一気に攻勢をかけてきます!
マリオ作ってる超偉い人小泉氏
「今年のSwitchは凄いですよ~(ドヤッ!)」
Switchが昇り調子になると出てくるこの人(笑)がプレゼンターとして…
Nintendo Direct 2019.2.14で『マリオメーカー2』、『ゼルダの伝説夢をみる島』のリメイクを筆頭に新規IPの『アストラルチェイン』等Nintendo Switch独占タイトルを次々と発表します。
アルティメットセクシービースト
プラチナゲームズ田浦氏
「アストラルチェインをお願いします!」
ドラクエの産みの親堀井氏
「DQ11Sはめっちゃ追加要素ありますよ!」
これらの他にも『パワフルプロ野球』や『ルーンファクトリー5』、『のび太の牧場物語』などNintendo Switch専用ソフトの発表が次々行われ、
他の機種とは大きくソフトラインナップを差別化してきたことをアピールします。
それに加えて突如配信されたのが『テトリス99』です。
ニンテンドースイッチオンライン加入者は全員無料で遊べるバトルロワイヤルのテトリスはSwitchユーザーを一気に盛り上げます!
任天堂はこれまでオンラインサービスには他社と比べて消極的な印象が強かったのですが…
ここで思い切って無料のテトリスを引っ張り出すとは誰も予想だにしていなかったのではないでしょうか。
今後も定期的にイベントを行うという事で、NSO加入者がどんどん増えそうですね。
そして更には追い打ちをかけるかの如くその2週間後に…
世界中のファンが待ち望んでいる最新作『ポケットモンスターソード・シールド』を発表します。

ポケモン長年作ってる偉い人増田氏
「前にも言った通り今年Switchで完全新作出しますよ!」
こうして最後はポケモンの発表を飾り、年始にあった不安が一周されるどころか…
「3年目は更にSwitchが飛躍する1年になるぞ!」
と期待させる形でSwitchの2年目は終わりました。
振り返れば圧倒的だった1年目と比べ2年目は全てが順調とはいかず、不安視されるところも正直ありましたが…
結果的にスマブラSPが大爆発したことやサードパーティがじわじわとSwitchに根付き始めてステップの年として次第点ではないでしょうか。
3年目はいよいよ『どうぶつの森』や『ポケモン』、『ファイアーエムブレム』の新作など多くの人が待っていた作品が発売されるSwitchにとって勝負の年です。
一体どれだけこれから盛り上がっていくのかは正直想像できませんが…
これからのSwitchの活躍をこれからも期待していきたいですね!