Switchゲーマーはスマホゲーも楽しめるのか?『ドラガリアロスト』を3か月間遊んで見えたもの

当ブログは主に家庭用ゲーム機(Nintendo Switch等)のゲームを中心に取り扱っていますが、今回家庭用ゲーム機のゲームファンがスマホのゲーム『ドラガリアロスト』を3か月間遊んだ感想とそこから見えたものについてお話していきます。

スマホでしかゲームをやらない人や普段からスマホで積極的にゲームを遊んでいる人とは考え方が異なるとは思いますが、そういう方には普段家庭用ゲーム機をやっている人間はスマホゲーをやるとこんな事を考えるんだな…と生暖かい目で見て頂ければ幸いです。

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ドラガリアロストとは?

『ドラガリアロスト』とはiOS/Androidで配信されている基本無料のアクションRPGです。

任天堂xCygamesのタッグによって開発・運営され、日本や香港、マカオなどアジアを中心に人気で、通称『ドラガリ』と呼ばれています。

物語としては主人公のユーディル王子達がドラゴンに変身する能力を有することをはじめとする「剣と魔法の中世ファンタジーの王道の世界観」と「連れて行かれた妹を救うため冒険に出るド直球なストーリー」が展開されていきます。

ゲーム性はいわゆる『白猫系』と言われる、見下ろし方の画面でフリック&タップでキャラクターを操作していくステージクリア型のアクションゲームです。

一人で遊ぶのはもちろんネットを介して見知らぬ人や友人と一緒にクエストにチャレンジもできます。

因みに、ドラガリは仲間キャラクターや変身するドラゴンをガチャで入手でき、クエストもスタミナ性※という事でこの辺りは今やスタンダードな基本無料ゲームのスタイルを踏襲していますね。

※スタミナ性=スタミナ値を消費してクエストを受けるルール。スタミナは時間経過かレベルアップ、もしくは課金によって回復が可能。

細かなシステムの部分でドラガリならではの要素も色々ありますが、大枠としてはファンタジー系のアクションRPGのスタイルだけでなく、基本無料のガチャゲーとしてもコテコテな王道を行くスタイルのスマホゲームとなっています。

 

ドラガリはそもそも任天堂らしいアクションゲームとして作られているのか?

ドラガリはアクションゲームを長年作り続けた任天堂の共同開発作品という事もあってアクション面についてメディアのレビューでも評価されており、私も当初から操作やアクションの部分にはかなり期待していました。

しかし、3か月遊んでみた感想を率直に言うと「スマホのゲームとしては良くできてるけど任天堂らしさはスパイス程度。任天堂のアクションゲームを求めるならSwitchのゲームを遊ぶ方が圧倒的に楽しいな…。」というのが正直な印象です。

私が任天堂のアクションゲームが好きなひとつの大きな理由として「プレイヤーのテクニックの上昇とゲームの難易度上昇のバランス調整の上手さ」があります。

▲任天堂のアクションゲームの多くは「プレイヤーが上達する事」と「それを掻き立てる挑戦心」を考えて作られてきた。

敷居が低くてなんとなく遊んでるだけでも楽しい…しかし、遊んでいるうちに適度に難しい挑戦がどんどん与えられてそれを乗り越える度にテクニックが磨かれていって、ゲームが上手くなることを楽しめる…そんな風に上手にプレイヤーを誘導して育てるのが任天堂のアクションゲームの一つの魅力なんだと私は考えているわけです。

しかし、ドラガリに関してはフリック&タップでアクションゲームとして確かに遊べますが、攻略の核はガチャで良いキャラを集めて育てて、その強さに見合った難易度のクエストに挑むというところにあります。

高難易度のクエストになれば敵の攻撃が激しくなり、操作も忙しくはなりますが、結局のところプレイヤースキルの成長云々よりもどれだけ強いキャラクターを育成できるかが重要なのです。

これはマネタイズの都合どうしようもない部分だとは理解できます。

要するに、ガチャで頑張って強いキャラを引いたり、頑張って育てたキャラが強い世界でないと、ドラガリにお金を払ってくれる人がいなくなってしまいますから…。

無課金でも操作が上手い人ならクリアできるのに、課金しても操作が下手だとクリアできない…こんな風にしてしまうと課金者は「お金を払う意味がない」という事になってしまいます。

なので、ガチャでキャラを集めるゲームがキャラクターの強さに依存するのは避けられないものなのだと私は考えます。

じゃあ「基本無料なんてやめちまえよ!もっと任天堂らしいゲームにしろよ!」と思うところもありますが、そうもいかないんですよね…。

任天堂がスマホ参入初期のタイトルとして配信した『スーパーマリオラン』はプレイヤーのテクニックを磨く楽しさを詰め込んだ実に任天堂らしいアクションゲームでした。

しかし、スマホユーザーの意見として配信後目立ったのはゲームの内容云々の評価よりも「値段が高い!」「なんで今どき有料なんだよ!」とゲームの内容とは関係のない買い切りのスタイルに対するバッシングです。

マリオランは職人的に作りこまれたアクションゲームですし「こんだけ手間かけて作り込んだゲームがインディーズ並みとか滅茶苦茶安い!価格破壊じゃないか…」とすら私は思うのですが、どうやらスマホゲームを愛好している人達の多くはそこの感覚がちょっと違っていて「ゲームのベースの部分が無料で遊べないのはおかしい」という概念を持っている人が沢山いるんですよね。

その一方でガチャ課金のスタンダードなスタイルを取り入れた基本無料の『ファイアーエムブレムヒーローズ』はマリオランと比べてバカ受けですよ。

元々FEシリーズ自体キャラクターが豊富でそれぞれに熱狂的なファンがいるゲームなのでスマホのガチャと非常に相性も良く、日本だけじゃなく北米など海外でも人気アプリとしてのポジションを確立しています。

しかも決算資料を見ると任天堂の大作ソフトの稼ぎがバカらしくなるくらいガッポガッポFEHの課金の収益で儲けています。

こうなると流石に任天堂もガチで遊べるアクションゲームよりも基本無料でガチャで収益を得る方向性を取らざる得ないのだろうなと…察してしまうわけですね。

実際その後配信された『どうぶつの森ポケットキャンプ』も基本無料ですし、元々Cygamesの企画としてスタートしたドラガリも当然基本無料…スマホでやる以上基本無料、ガチャ課金の呪縛からは逃れられないと任天堂も腹を括ったのでしょう。

その辺りの事情を踏まえて今回のドラガリへの認識を改めて考え直すと「任天堂のアクションRPG」というよりも「任天堂がサポートして作っているCygamesのキャラ育成RPG」というのがストンと胸に落ちる表現かもしれません。

そもそも任天堂もSwitchで出しているようなアクションゲーム的にゴリゴリに遊べるものを追求してなくて、基本無料のスマホゲーのノウハウを持っているCygamesと共にスマホゲーユーザーに受けるゲームを目指しているのではないか…そう考えると色々と納得できますね。

任天堂のノウハウは勿論アクション部分などに随所に感じるところはありますが、「ドラガリはあくまで基本無料ガチャゲーのフォーマットをキッチリなぞった育成RPG」という認識で楽しむのが良いのかもしれません。

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ドラガリは育成RPGとしてかなり良くできているが…

しかし、ドラガリはキャラゲーあるいは育成RPGとして考えるとかなり良く出来たゲームです。

キャラクターのデザインもキャッチーですし、3Dモデリングも全員ちゃんと個別で作られてて動いている姿も可愛いし、ボイスも有名声優を沢山使ってストーリーはフルボイスです。

各キャラクターのサブストーリーも用意されててキャラ設定もしっかりしていますので自分の愛着のあるキャラを見つけて育てる楽しさがありますね。

それに加えて素材を集めて武器を作ったり、スキルを覚えさせたり、強いドラゴンと組み合わせたり…キャラを育てるという事に関しては山ほどやることだらけでボリュームが凄い事になってます。

この辺りの充実度は家庭用ゲーム機並みというか、寧ろそれ以上かもしれません。

任天堂とCygamesというお金持ち企業がタッグを組んだわけですから、やはりかけるところにはしっかりお金をかけていますね。

レア度が低くても育てればしっかり活躍できますし、ストーリーやイベントの上級クラスのクエストは無課金でも十分エンジョイできますので、適当に暇つぶしがてらキャラを育成するゲームとしては滅茶苦茶良くできていますね。

ただし、最高難易度のクエストをバンバン回したい人や課金者や狙ったキャラを使いたいという人にはかなりキッツいゲームです。

まず、ガチャで引ける最高レアの確率が滅茶苦茶低い(0.5%)です。

これは他のガチャゲーと同様に10回外れると確率がどんどん上昇していき、外れれば外れるほど最高レアが当たりやすくなるという仕組みを取り入れていますが、厄介なのがガチャが闇鍋という事なんですよね。

闇鍋というのは俗称で、キャラクターや装備等をごちゃまぜのガチャの事を指します。

そして、その闇鍋がヤバいのは欲しくもない装備などで最高レアの確率がリセットされてしまうというところです。

私も『シーリス』という人気キャラクターを出すために貯めに貯めた石を使って200回ガチャを引いたのですが、最高レアの護符が何度も出て確率をリセットされて泣きそうでした…。

護符よりキャラの方が欲しいんだよ!チクショー!(笑)

それならば課金をと思いますが、これがまた滅茶苦茶高いんです。

10回ガチャを引くのに3800円です…。(これならSwitchのインディーズゲームを二本買うよ…ガチャゲーの金銭感覚についていけない…)

課金周りはこんな感じなので自分が思う様に好きなキャラを仲間にして、思う様に育てたいという人は金銭面でかなり苦労しますね、ドラガリは…。

 

結論:育成RPGはスマホでもOK!でもまだアクションは家庭用ゲーム機!

当初は「任天堂がアクション部分でしっかり手綱を握っている」と思っていたドラガリでしたが、ふたを開ければ「Cygamesの王道ガチャな育成RPG」ということで、結果的に期待していたものとは違うものでしたが、キャラを集めて育成するRPGと思えばこれはこれで楽しいゲームですね。

思えばスマホのゲームってキャラ押しで成り立っているものが多いですよね。

コラボキャラとかが典型的で、漫画や人気ゲームのキャラクターが登場すると皆それをゲットするために頑張っちゃう。

ドラガリもそこを理解しててちゃんとキャラクターを丁寧に作り込んで、育成要素もたっぷり設けている…この辺りの作り込んだ感じは凄く良くできています。

なので、ちょこっとずつキャラを集めて育てることが楽しいという人はそれこそ今はスマホのゲームの方がそのニーズに合っているハードなのかなと…。

しかしその一方で、任天堂がアクション要素にこだわりを持つ会社が関わっていても課金者を満足させるためにテクニックで勝負するゲームはスマホでは作りづらいという限界を感じさせられ、家庭用ゲーム機の存在価値はまだまだあるという事を再認識しました。

最近では『Alena of Valor』(日本版:伝説対決)や『Fortnite』のようにアクション性のある対戦ゲームもスマホで人気ですし、5Gの通信が始まってクラウドで家庭用ゲーム機の様なリッチなコンテンツやアクションゲームが動かせるようになったらそれこそ家庭用ゲーム機なんてポイ!っていう時代になってしまうかもしれません。

しかし、私自身はコントローラーを握って遊ぶ今の家庭用ゲーム機のスタイルも好きなので、その日が来るまでマイノリティだとしてもしっかり家庭用ゲーム機でゲームを楽しんでいきたいですね。

 

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