Switch版 The First Tree(ザ・ファースト・ツリー)レビュー・感想

Nintendo Switch/Playstation4/Steamにて配信中の『The First Tree』はキツネを操作してトゥーン調の美しい景観に浸りながら物語を読み解いていくアドベンチャーゲームです。

私がこのゲームを2時間程かけてクリアして感じた感想をザックリと述べるとこんな感じです。

『美しい世界、美しい音楽、切ない親子の物語をじんわりと噛みしめながら浸る系。まるで誰もいない朝靄の秘境の温泉に浸かり自分と向き合うような体験はゲームというよりもはやヒーリングアートだ。』

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このゲームは公式サイトにて「ジャンル:パズル/アドベンチャー」と紹介されておりますが、どちらかというとパズル要素の薄い探索に特化したウォーキングシミュレーター的なゲームです。

探索するフィールドはエリア移動や見えない壁の区切りがはっきりと存在しているためオープンワールドとは言い難いですが、箱庭と呼ぶには広すぎる広大な規模の空間です。

しかし『ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド』をはじめとした最近のAAAオープンワールドのように行く先々待ち構える敵やパズル等刺激的な出会いをこのゲームに期待してはいけません。

ちょっとした崖をジャンプで渡る程度のアクションやフィールドの途中に点々と光の筋が立つ場所を掘り返す等ほんの少しのインタラクションはありますが、草木が揺れて太陽の光が優しく包む空間をただひたすら走り続ける時間がほとんどを占めます。

▲広い空間に点在する光の筋を探しながら先へ先へと進んでいく。

▲ナレーションは英語だが日本語字幕にてローカライズされている。

しかし、これは決してネガティブなことではなく、寧ろ何もないただの自然な風景が続く事によって風に揺れる木々やしとしとと降り続ける雨、ピアノやビオラの音色など環境や世界観の美しさを際立たせています。

日本人の美意識に”わび・さび”というものがありますが、これはまさにそれで最小限のものしかない空間に身を委ね美しさを楽しむ作品です。

ですので日本庭園の枯山水に見惚れてしまう人や何もない草原で夜空を見上げたり、いつもの帰り道の途中で赤く染まる夕焼けを見て美しいと感じるような人に本作は非常に親和性が高いですね。

出典元:Edtech&Innno

私は本作に対してゼルダのような美しい世界で様々なインタラクションをしていくアドベンチャーゲームだと勝手に思い込んでいた状態で始めたので、最初のうちは「え?なにこれ…ただひたすら歩きまわって所々で会話聴くだけじゃないか…退屈なゲームだ…外れ引いちゃったか」と後悔をしていました。

しかし、しばらく遊んでいるうちに景観の美しさ、心地の良い音楽にいつの間にか浸っている自分がいて…気が付けばただただ何もない景色に感動して震えていました。

もし自分の心が深く傷ついている状態だったら、もし何かに後悔して思い詰めていたら…この美しさに包まれて涙を流していたかもしれませんね。

この美しい世界をキツネとなって駆け巡るのは心地よく、癒し効果も相当なものです。

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本作のストーリーの部分についても少し、ネタバレのない程度に触れておきましょう。

先に申し上げますと、この作品のストーリーはどちらかというと少年期を終えて家族との関係を振り返ることができる年齢になった大人の人向けです。

個人的にはあまりゲームに対して子供向け大人向けという括りを設けるのは好きじゃないのですが、記事を見て頂いてる方ができるだけ「思っていたのと違って損をした」とならないようにここははっきりとお伝えしたいと思います。

ストーリーの概要は以下の通りです。

ジョセフという青年がパートナーのレイチェルに「キツネが出てくるこんな不思議な夢を見たんだ…」と語り掛けるところからゲームは始まります。

プレイヤーが操作しているキツネの世界は実はジョセフの夢の中の世界で、キツネには”はぐれた家族を探す”という目的があります。

▲ジョセフとレイチェルの会話を聞くと同時に夢の中の母親キツネとして子供たちを探していく。

キツネが進む夢の道中にはジョセフの父親とのエピソードを思い起こさせるものが埋まっていて、例えばキツネが掘り起こしたおもちゃを見て「仕事が忙しくて殆ど家の事を構わない父親に反発心を抱いていた」など…大人になったジョセフが当時を振り返りながら改めて父親との関係を見つめ直していく内容が中心となっています。

物語の筋としては非常に地味で現実的な内容が続くのですが、故に自分が子供の頃父親に描いていた感情や環境と被る部分があったりして、そこに感情移入できる人はかなりグッとくるストーリーになっています。

ウォーキングシミュレーター的な部分やこういった大人向けの渋い(味わい深い)ストーリーである故に万人の方には勧めづらいですが、楽しいゲーム体験というよりも兎に角心に染みるような自分で動かせる映像作品を味わいたい!という人にこそ強くオススメしたいですね。


▼ 要点まとめ ▼
・探索に特化した癒し系ウォーキングシミュレーター
・探索範囲の広さは箱庭以上オープンワールド未満
・美しい音楽と美しくも幻想的な自然風景を引き算の美学で味わえる
・ストーリーは大人向けで親子関係の話に感情移入できるかが肝

▼ 注意点 ▼
・ボリュームはクリアまで2時間程度と少なめ
・価格1000円が妥当かどうかは美的感覚が合うかで大きく左右される
・ゲームらしいインタラクション(戦闘・謎解き)は殆ど無し
・フィールド上で拾える開発者メッセージに字幕無し

▼ 公式PV ▼

 

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