『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド マスターワークス』は凄まじい熱量だった…!【高評価レビュー/感想】

任天堂史上最高傑作、ゲームの歴史に名を遺す超名作、世界中のメディアの2017年ゲームオブザイヤー最多獲得…昨年発売され数々の賞賛を総なめした『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド』(以下BtoW)の公式設定資料である『マスターワークス』についての感想を本日はお話ししていきます。

『マスターワークス』は少々5,000円弱と本にしては図鑑並みにお高い値段ですが、BtoW』が好きな人が見たら魂が震えるような情報が満載です。

内容についてこれからご紹介させていただきますが、今後ゲームを遊びたいと思っている人やまだクリアしていない方への配慮として極力ゲームの中身のネタバレについても控えさせていただきますので、未プレイの方もどうぞ安心してご覧いただければと思います。

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『マスターワークス』の概要

『マスターワークス』はフルカラーの全413ページの公式設定資料集となっています。

30cmx20cmの大きさで、表紙も文庫本のようなしっかりしたものが使われており、重さは2kg近くあり、ゲームの資料としてはちょっとやりすぎなくらいの重厚感と高級感を感じさせますね。

上の画像の通りSwitchのパッケージサイズと比べてもこれ位のサイズ比はありますのでかなり大きく、そして重たいですね。手に持って読むものではなくテーブルや床に置いて見開く図鑑のような本だと思って頂いて大丈夫です。

内容は大きく分けてこの三つのセクションに分かれています。

1.アートワークス(約50ページ)

2.メイキング(約300ページ)

3.ヒストリー(約50ページ)

ネタバレ及び著作権の都合上、本を開いて見せるような画像の掲載を控えさせていただきますが、楽しみを阻害しない程度にゲームの画面や本以外でも公開されている絵などを交えて上記の3つのセクションそれぞれの内容を説明および印象を述べさせていただきたいと思います。

 

『アートワークス』について

アートワークスはE3やSwitchのお披露目となった発表会などのイベントで展示されたものやパッケージの絵等プロモーションの中で公開されてきたアートが掲載されています。

例えば国内版を購入された方なら誰もが見ることになるパッケージデザインですが…

元となったアートを横幅40㎝の大きなサイズでじっくりと鑑賞することができます。

出典元:THE VERGE

記事をスマホ・タブレットでご覧いただいている方も多いと思いますのでなかなか伝わりにくいかもしれませんが、これらを実際に『マスターワークス』のより大きなサイズで見るとまたかなり印象が違ってきます。

何度も見てきたはずのこの絵も、ハイラルの世界に吸い込まれるような広さやリンクが立っている場所の高さなどを感じさせると同時に、細かく細部まで書き込まれたその絵の美しさにしばらく私は目を奪われてしまいました。

『BotW』はゲームの中の世界の風景や空気感も素晴らしいのですが、アートとして描かれた世界はまた別の趣がありゲームの世界の想像(妄想)を膨らませてくれますね。

因みに、このアートにはリンクと世界との対峙を意識しており『BotW』は世界が主役であることを示すために描かれたそうです。

このように中にはなぜそのデザインに至ったのかの理由なども解説されており、『BotW』のアートワークの魅力をじっくり堪能することができます。

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『メイキング』について

『メイキング』では主に人物や敵、武器や兵器などをゲームを作る上で書き上げられた沢山の設定資料(デザイン及び説明)が掲載されており、中には製作秘話や作中では知ることのできなかった情報を垣間見ることができます。

約300ページに及ぶ膨大な資料のボリュームもそうですが、実に任天堂らしいキャラクターづくりやデザインの思想がふんだんに詰め込まれており、見ごたえは相当あります。

例えばゼルダ姫に関して言うと、今まで神秘的な女神を感じさせるデザインで描かれてきたことが多かったのに対して『BotW』では太い眉で少しやぼったく、どこか頼りない普通の少女っぽいデザインになっていますよね。

▲『BotW』のゼルダは感情の描写も多く、シリーズで最も人間らしく描かれている。

今までのような神々しいルックスでも良かったのでは?という疑問視する声も当初はSNSなどでよく目にしましたが、この本を読むと「王女という特別な存在としてではなく、プレイヤーに親近感を感じさせる一人の少女」という1本の設定があり、そこからこのゼルダのデザインが生まれていることが分かります。

確かに実際に『BotW』をプレイしてみると神々しい女神ではなく普通の少女に近いゼルダ姫である意味がはっきりと分かりますし、このゼルダのデザインは必然だったと思わせられる説得力がありますね。

ゼルダに限らずこのように『BotW』では機能や役割、そのキャラクターを通して何を感じて欲しいかを一番に考えたデザインがされており、これがブレずに終始隅々までしっかりと丁寧に形にされていることをこの『メイキング』にて改めて実感することができます。

また、この『メイキング』にはゲームをプレイしていて全く気にも留めていなかった発見が沢山転がっています。

『BotW』はテキストやムービーでこそあまり語られることはありませんが、『メイキング』を見る限りしっかりと綿密に設定が張り巡らされてゲームの中で実際に描かれていることが分かります。

▲ハイラルの高原の地域に生えている白樺によく似た樹木。白樺は実際に日本で長野や北海道等の高原地域に分布しており、ファンタジーの中にリアリティのある設定を組み込んだ世界を作っている。

ただ、それをプレイヤーにドヤることもアピールこともせずそっと自然に溶け込むようにモノや背景に落とし込まれていた故に私も意識しないまま通り過ぎていたわけですね。

このようにゲームで表に出ているものだけでなくあくまで設定のままでゲームでは分からなかったもの、果ては没になったネタ等『BotW』にハマった人にはたまらない情報満載です。

 

『ヒストリー』について

『ヒストリー』ではゲーム中では語られなかった部分も含めたハイラルの歴史を紹介しています。

私が一番感動したのは100年前のリンクとゼルダ達の行動だけでなく、各種族の人々が厄災ガノンの脅威にさらされどの様に追われていったのかその歴史を事細かに記されていた点ですね。

ゲームのネタバレに抵触してしまうので詳しくは語れませんが、この『ヒストリー』ではゲームでは具体的に分からなかった部分まで説明されているので、クリア後にハイラルの歴史を詳しく知りたいと思った方は是非見て頂きたい内容になっています。

▲100年前何が起きたのか…それを『ヒストリー』を通じてより深く知ることができる。

しかもさらに凄いのは、これを見て実際にゲームの中で各地を巡ってみるとしっかりその歴史の爪痕をちゃんと確認することができるという事なんです。

例えばやたらと木の棒やクワ等弱い武器が落ちている場所があるのですが、私は1周目では単純に「使えないアイテムがいっぱい落ちてるな」としか思わずそこを通り過ぎていました。

しかし実はそこはかつて市民たちが戦っていた場所だったと『ヒストリー』には記されていて、なぜ木の棒やクワが沢山散らばっていたのか…その理由がゲームでも想像できるように用意されていたのです。

よく見ると落ちているものだけではなく崩れた壁などその場所でとても凄惨な戦いがあったことを想像させるような傷跡が周りにも残されていて…そんな細かいところまでゲームの中で作りこまれていたとは露知らず…感嘆のため息が出ました。

私はこの『ヒストリー』を読みながら歴史を理解した上でもう一度ハイラル各地を巡っていますが、このような世界に残された歴史の跡を想像しながらまた新しい感覚で大好きな『BouW』楽しめることをうれしく思いますね。

 

『マスターワークス』の総評

こういった公式資料は『スプラトゥーン』等他のゲームのものも所有していますが、この『マスターワークス』は目から鱗の情報も沢山あって5000円弱とお高い値段ながら未だかつてない満足感を得ることができました。

何よりこれを読んだことでもう一度『BotW』をじっくり堪能してみたいと思えましたし、実際に2周目プレイを始めている今、初めて遊んだ時とはまた違った感覚でじっくりとハイラルの世界を味わえて充実しています。

『BotW』は素晴らしいゲームでしたが、それを作り上げるための熱意をひしひしとこの本からも感じられ何か明日への活力ももらったような気がしますし、『BotW』が好きな方には是非手にとって見て頂きたいですね。

その代わりデカい&重いは覚悟してくださいという事も添えてお伝えしたいです(笑)

 

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