Switchでダウンロード専用ソフトが人気の理由とは?”前編:ファミコンから始まっていた任天堂の挑戦”

Nintendo Switchで既に沢山のソフトが発売されていますが、オンラインショップである『Nintendo e-shop』に目を向けてみるとインディーズタイトル等のダウンロード専用ソフトの活躍が非常に目立っております。

面白いのが他機種のダウンロードストアの売れ筋を見てみると、上位のタイトルがパッケージソフトと併売している大手メーカーのセール品が多くを占めているのに対して、Nintendo e-shopでは日本で無名なインディーズのゲームが大手のゲームを押しのけて沢山ランキング上位に名を連ねているという現象が起きています。

実際にSwitchにゲームを出した多くのインディーズディベロッパーからも他機種と比較しても売り上げが好調だという報告も多数出ており、ダウンロード専用ソフト市場の活況さは確実に存在する様です。

本日はSwitchでダウンロード専用ソフトがなぜこのように人気なのか、これまで任天堂とソフトメーカーが歩んできた歴史を振り返りながらその理由についてじっくり考察していきます。

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DL配信の先駆け

ダウンロードソフトと言えばインターネットが切っても切れない存在のイメージがありますが、実は任天堂はインターネットが普及する以前からゲームをダウンロードサービスを行っていました。

遡る事30年以上前、任天堂はフロッピーディスクを使った『ディスクシステム』という周辺機器を発売しております。

「ソフトは買う時代から、書き換える時代へ!」のキャッチフレーズの元に発売されたこの周辺機器は、ゲームショップや玩具屋に置かれた『ディスクライター』と呼ばれる機械にフロッピーディスクを差し込み、ゲームを書き込むという既存のソフト販売形態の概念を覆す画期的な商品でした。

出典元:Youtube

ゲームの書き換えは1タイトル500円程度という事で非常に安価な事からも子供達に受け入れられ、任天堂はじめとするソフトメーカーからディスクシステム向けに沢山のゲームが発売されています。

この時すでに「低価格でゲームを提供する方法」として店頭でのダウンロード専用タイトルのサービスとその確立への道が始まっていたんですね。

ただ、このディスクシステムは読み込みの遅さやフロッピーのナイーブさ等色々と課題のあった事や、次世代機のスーパーファミコンでデータが大容量化してフロッピーでは賄えなくなったこともありこのディスクシステムのスタイルはファミコンの一時代で終わりを告げます。

 

衛星放送によるDL

任天堂はスーパーファミコンで席巻した90年代に当初経営困難に陥っていたセント・ギガという衛星放送の放送会社に資本参加をしています。

ゲーム会社が衛星放送の会社と組んで何をするの?という話なんですが、任天堂はこの資本提携を使って『サテラビュー』というスーパーファミコンの周辺機器を開発したのです。

この商品は衛星放送のデータ受信を使ってゲームを書き換えるというシステムで、店頭に行ってフロッピーを書き換えていたディスクシステムから一歩先へ進んだ自宅で行えるダウンロードサービスとなっています。

出典元:Ameblo

このシステムが面白いのはただソフトをダウンロードして遊ぶものだけでなく、音声放送を使ってリアルタイムにゲームを遊べるというサウンドリンクシステムというサービスが行われたという事です。

ユーザーが放送開始と共に一斉にソフトをダウンロードし、その後放送される音声を流しながらゲームを遊ぶというユニークなサービスで今見ると非常に興味深いゲームの遊び方をしています。

▼サウンドリンクシステム実例

18時になったら『BS-X』よりダウンロード場所へ行き、ゲームを開始する。ダウンロードにはやや時間がかかるが、ゼルダ(CV:藤沢直美)の助けを求める声や、ナレーション(CV:小林清志)のハイラルの危機を嘆く声などが音声放送として流れ続け、プレイヤーの気分を盛り上げる。ゲームが開始すると、初代『ゼルダの伝説』のようなグラフィック(ただしスーパーファミコン用にパワーアップアレンジされている)が展開され、老人が、トライフォースを全て集めガノンを倒すようフル音声で語りかける。ココからプレイヤーの操作が可能となる。操作説明などは適時ナレーションが解説してくれる。ゲームの進行に重要な音声は「耳をすませ」と画面に表示され、ゲームが中断することがある。果たしてプレイヤーは、制限時間の19時までにどこまで攻略することができるだろうか。

引用元:ニコニコ大百科(仮)http://dic.nicovideo.jp/a/サテラビュー

サテラビューのサウンドリンクシステムの体験は任天堂らしいユニークな体験で、当時のユーザーには非常に印象深いものだったようですが、BSアナログ受信ができる環境が必要であったり通信販売に限定した販売方法などもあり残念ながら普及はせず、黒歴史として扱われる事も多かったりします。

▼サテラビュー関連動画

やはり一般家庭に普及していない環境を使ったサービスというのには限界があるというのを任天堂はこの時痛感したのでしょうか。

しばらく任天堂は通信型のダウンロードサービスを表舞台から消すことになります。

 

コンビニでDL配信

サテラビューに少し遅れる形で任天堂は新たなダウンロードサービスを開始します。

玩具屋よりも衛星放送よりも身近な存在になっていたコンビニに目を付けた任天堂は、ローソンと提携し店内に置かれた端末『Loppi』を使ってフラッシュメモリー『SFメモリカセット』にゲームを書き込む『ニンテンドーパワー』というサービスを開始します。

引用元:Wikipedia 

このころ既にSFCの次世代機であるNINTENDO 64が発売されていましたが、64が苦戦する一方でSFCは非常に根強い国民的ゲーム機であったため中古や兄弟からのお下がりでゲームを始めるユーザーも多く、安価でゲームが遊べるゲーム入門機としてのニーズを引き出すためにこのニンテンドーパワーは生まれたと言われています。

ニンテンドーパワーでは名作『ファイアーエムブレム トラキア776』をはじめとする専用ソフトや既存の『スーパーマリオワールド』等の既存の人気ソフトの配信を含め、最終的に250を超えるタイトルを発売することになります。

▼関連動画『FEトラキア776 TVCM』

 

しかし、ここで任天堂はダウンロードソフトの一つの大きな壁にぶち当たることになります。

それは…ダウンロードで安く買うよりもパッケージの中古を売り買いしていた方がユーザーにとって安上がりにゲームが遊べるという現実です。

出典元:GEO Mobile

本来安価で提供する目的ではじめたダウンロードソフトではありますが、中古ソフトの存在がそれを成り立たなくさせていたのです。

色々とダウンロードの敷居が低くなった今ですら同様の事が理由でパッケージ販売の方が売れやすいことからも、この壁の高さが当時いかに高いものだったか想像できますね。

任天堂は前述の衛星通信でのサービスだけでなく、ダウンロード販売という形までもここで頭打ちになり、暫くはパッケージ販売での方向でサービスを続けていく事になります。

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ネット時代到来

NINTENDO 64、GAME CUBE、GAMEBOY ADVANCE…その後も任天堂はいくつものハードを出しましたがこれといったダウンロード展開は行っておらずパッケージによるソフト販売に力の重点を入れていました。

しかし、この次の世代で各家庭にインターネットが普及する時代になり大きく前進します。

任天堂はインターネットサービス『ニンテンドーWi-Fiコネクション』を立ち上げ、それに対応した二つのハードを発売します。

 

1つは2画面とタッチパネルを搭載した『NINTENDO DS』(以下DS)で、DSはWi-Fi通信の機能を備えた携帯ゲーム機として登場し、ネットワークでデータのやり取りを可能になった初の任天堂ハードです。

出典元:IFXIT

ネットを介して他の人が作曲したデータをカートリッジに保存したり、インターネット上で遠く離れた人と一緒に遊んだりと今では当たり前の事ですが、新世代の幕開けとしてDSは新しいゲームの遊び方を世界に浸透させていきます。

 

そしてもう一つがリモコンによる体感型の遊びを家庭に持ち込ませた『Wii』です。

出典元:Amazon

Wiiは無線/有線LANに対応するだけでなく、USBやSDカードなど汎用記憶メディアに対応し、ネットを介してゲームをダウンロードできるようになりました。

これまでダウンロードサービスが抱えていた問題を、インターネットという一般家庭に普及した環境やハードの性能によっていくつか解決されたことによって、任天堂は再び挑戦の火をつける事になります。

 

まずはダウンロードサービスの一つとして過去の任天堂のゲーム機だけでなくメガドライブやPCエンジン等他社のゲームハードを含む過去のゲーム機のソフトを配信する『ヴァーチャルコンソール』(以下VC)のサービスが始まります。

出典元:ユウガタネコ

この頃まではPS2やDS等のようにせいぜい1世代前の後方互換がもてはやされていた時代で今のようにレトロフリークなどが存在しておりません。

数々のハードの名作を遊べるというのは当時物凄いインパクトで一気にレトロゲームの需要を引き出すことに成功し、Wiiの人気を加速させる立役者になりました。

 

そして任天堂はVCによってレトロゲームをダウンロードして買うというスタイルを構築するのと並行して『Wiiウェア』というサービスをスタートさせます。

WiiウェアはVCとは異なり、過去のソフトの移植ではなくダウンロード専用の新作タイトルを販売するサービスで、任天堂やスクウェア・エニックス、カプコン、コナミ、セガ等大手のメーカーから様々な新作タイトルが発売されました。

他にもアークシステムワークスの『おきらくシリーズ』やポイソフトの『王だぁ』等の中小メーカーの作品がランキングに顔を出すなど、開発規模が肥大化した据置機のゲーム機への参入が厳しい小規模開発チームでも一緒になって勝負できる環境がここで誕生することになります。

 

任天堂はそこからダウンロード専用ソフト市場をさらに広げるためにDSの改良型『NINTENDO DSi』を開発し、Wiiウェアを習った『DSiウェア』というサービスを開始します。

出典元:Amazon

こちらは携帯ゲーム機のダウンロード専用ソフトという事でWiiウェアよりも更に小規模のミニゲームサイズのゲームが中心となり、より参入障壁が低いマーケットして小規模のソフトメーカーが沢山参入しています。

この頃はまだまだ大手の大作パッケージタイトルが主流で何十万本と売れているのに対してダウンロードソフトはニッチの世界であったのは確かですが、Wiiウェアでは『ロックマン9』等国内で10万DLのヒットが出る等Wii/DS世代によってダウンロード専用タイトルの存在が徐々に浸透し始めます。

▼関連動画 『DSiウェア ゼルダの伝説 4つの剣』

 

こうしてインターネットの普及に乗って任天堂はダウンロード専用タイトルをユーザーに広げる事にいよいよ本腰を入れていくのですが、この続きはまた次回の記事で…とさせて頂きます。

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