シンプルで地味…だがそれが良い!『Bad North』レビュー

本日は海外のインディーズゲーム『Bad North』(バッドノース)についてプレイのレビュー/感想を語っていきたいと思います。

本作は敵の進軍から拠点を守るいわゆるタワーディフェンスというジャンルに該当するゲームですが、その独特なグラフィックデザインやシンプルなゲームデザインが個性的な作品となっています。

Nintendo Switchには既に様々なタワーディフェンス系のゲームが出ておりますが、本作ならではの特徴や魅力を中心にご紹介していきます。

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Bad Northの概要

本作はステージクリア型のタワーディフェンスで、小さな島に建てられた教会を四方から船で襲いに来るバイキングたちから守るゲームです。

プレイヤーは時間が刻々と進行する中で最大4組の兵隊に指示を出してバイキングを撃退していくのですが、ステージの島の形や教会の位置や数、攻め入ってくるバイキングの進行パターンなどがプレイするたびに変化します。

道中仲間が増えたり、アイテムを手に入れたりもできますが、バイキングに倒されてしまうともう二度と彼らは戻ってきません。

そうならない為に教会を守る事で手に入るコインを兵隊に使って、クラスチェンジをしたりベテラン兵に強化したり、スキルを覚えさせたりと成長をさせていく事も重要です。

▲毎回ランダムで仲間になるシュールな顔の兵たち。ランダム入手のアイテムを装備させたり、クラスチェンジをしたりして成長させることで個性付けされていく。

様々なステージを訪れ侵攻してくるバイキングから教会を守り最後の島の教会を防衛すればゲームクリアですが、途中ゲームオーバーになれば何もかも失ってまるっと一からやり直し…という中々スリリングなゲーム性も大きな特徴ですね。

 

シンプルに落ち着いて遊ぶゲーム

タワーディフェンスと言えば施設を建ててそれを強化・修繕したり、アイテムを回収したり…やることだらけの慌ただしいイメージがありますが、本作はどちらかというと落ち着いて遊ぶ事ができるタイプのタワーディフェンスです。

兎に角あらゆる部分がシンプルに作られていて、戦闘中にできることが『移動』『兵の補充』『スキル・アイテムの仕様』…と少ないので常にプレイヤーの考える事や操作もそれほど忙しくならないようになっています。

兵隊への指示中は時間の経過が非常にゆっくりになりますので素早い判断を求められる事もありませんし、勿論一時停止も可能です。

ステージも画面をスクロールせず全体を見渡せるほどのサイズですので画面の外で起きていることに振り回されないというのも良い所ですね。

タワーディフェンスは頭も操作も忙しいから疲れやすいという点で苦手な人も多いと思いますが、本作のシンプルでゆとりあるゲーム進行はそういう人にもとっつきやすく遊びやすいゲームデザインではないでしょうか。

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少しの判断ミスが致命傷になる

行動の選択肢は非常にシンプルですが、その分一つの判断ミスが大きな致命傷となる様なゲームバランスが施されています。

例えば本作には兵のクラスによって相性というのが存在するのですが、それを見誤ってしまうと本当にあっという間に兵隊を壊滅させられてしまいます。

何とか兵を下げれたとしても、兵隊が少なくなった部隊は使い物にならないので教会に戻って兵を補充する必要があるのですが、これがまた結構な時間を要するのでロスタイムとして大きく響いてくるのです。

しかも兵隊は最大4組…なので1組がつぶれてしまうとその影響は多大…。

判断1つの誤りでどんどん後手後手に追い込まれてしまい、なしくずしに他の兵隊も倒され教会を破壊されてしまう怖さを常に孕んでいるので常に油断はできないゲームです。

 

失敗の取り返しの難しさ

前述したとおり本作では仲間が倒されてしまうとその仲間は二度と戻ってきません。

このシステム自体は『ファイアーエムブレム』はじめとするシミュレーションゲームではよく採用されており珍しいものではありませんが、本作はそれらと比べて仲間の増員の機会が少ないバランスなのもあって難易度を大きく押し上げています。

『ファイアーエムブレム』ではマップに出し切れない程のキャラクターが次々と仲間になるので数名の離脱が出ても進行に不備はなかったりしますが、本作は最後まで仲間になるのは精々多くて5組程度…なので1組のロスによる被害が甚大です。

▲リボンが付いたマークの島に仲間がいる。助ければ味方になるが彼らは皆最弱の状態で登場。

例え敵に倒されそのステージをクリアできたとしても、欠けた人員に対する補充要員がいなければ次のより難易度の高いステージをメンバーの不足した状態で挑まなければなりません…これが辛い!

道中新しい仲間を見つけても何のクラスにも所属していないすっぴんの最弱状態なので後半は戦力の増強にならなかったりしますし…ゲームを進めるほど兵隊が倒されることのリスクが高まってきます。

結局途中で強い仲間が加わって持ち直すという逆転は起こりにくく、雪崩式に不利な状況に追い込まれると歯止めが利かないゲームなのでそこをどう受け止めるかで印象が大きく変わりそうですね。

私の印象ではしぶとく最後まで粘ろうとする人よりも、状況が不利になったらリセットして最初からやり直し!と割り切れる人の方がこのゲームに合っているような気がします。

 

Bad Northの総評

シンプルなルールと操作とすっきりとしたゲーム画面はストレスが少なく、何度も繰り返すゲームとしては非常に理にかなった作りをしています。

最近のゲームはどんどん色んなシステムやルールを増し増しにして満足度を上げていくものが多いですが、私はそういったものに少し疲れてしまった時期で本作を触ったので妙にこの淡々とした感じが好きになりました。

ちびキャラがちょこちょこ動く映像とか緩い登場キャラや世界観も癒されますしね。

プレイ感覚を例えるならテトリスをひたすらプレイし続けるような感覚に近く、考えることはそこまで煩雑ではないけど頭はちゃんと使う…という感じが、ちょっとした時間に遊ぶのに丁度いいんですよね。

瞬間風速的に強烈な面白さが来るわけじゃないんですけど、じわじわじわじわと弱火であぶる様な面白さで気が付くと20分、30分といつの間にか時間が過ぎてしまう…そんなゲームです。

ただ、前述したとおり失敗を取り返しにくいバランスのシビアさもあって人を選ぶタイプのゲームなのは間違いなく、それに対して『骨太で良い!何回もチャレンジしてやる!』と思うのか『救いがないのはつらい!モウダメ!』なのか…どんな価値観で自分が受け止めるかで全く評価がは変わってくるでしょう。

幸いな事に体験版がeSopでダウンロードできますので、今回当記事を見てご興味頂いた方も実際にプレイしてみた上で購入するかどうか判断される事をオススメします。

タイトル Bad North
メーカー Raw Fury
ハード Switch/Steam/PS4/Xbox One/iOS/Android
価格 1,690円(Switch版)

 

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