Switch版『ロックマンX アニバーサリーコレクション』レビュー・感想 ~ドット全盛期の名作詰め合わせ~

今年シリーズ25周年という事で発売されました『ロックマンX アニバーサリーコレクション』(以下:アニコレ)はシリーズ8作品(正確には4作品+4作品)を一挙に収録し、追加要素を加えたものです。

『ロックマンXシリーズ』もしばらく休眠していてかなり古い作品なのですが、ここ数年インディーズをはじめとして最近では『オクトパストラベラー』等ドットゲームの再評価も高まっていますし、ドットゲーの黄金時代の名作を今改めて遊んでみるのもどうだろうか…と胸に抱きつつプレイした感想を語っていきます。

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『ロックマンX』は今遊んでも十分楽しいが作りの古さは否めない

『ロックマンX』と言えば元々FCで生まれた2Dアクションゲームの名作『ロックマン』の派生タイトルです。

8つのステージを好きな順番で選択し奥にいるボスを倒してその能力を習得する…という基本的な部分は本家『ロックマン』を踏襲しつつ、独自の要素を追加したシリーズになります。

▲ロボットを操作したりバイクに乗ったり本家よりも多彩な遊びが追加された『ロックマンXシリーズ』

因みに本家と何が違うのかをざっくりと纏めるとこんな感じになります。

1.シリアスな世界観やストーリー

2.主人公「エックス」の装備や機能の拡張

3.複数の攻略ルートが有ったりする

4.ダッシュや壁蹴り等アクションがより多彩でスピーディーに

5.隠しルートに置かれたアイテム等の探索要素がある

色々と複雑化して少しマニアックになった分本家と比べると売り上げも減少し、ややコア層向けになったロックマンといった感じはありますね。

X1~X4に関しては今遊んでも完成度も高いですし下手なロープライスのゲームを遊ぶよりもお買い得感はありますが、やはり昔のゲームなので元々のファンでない方が新作として楽しく遊ぶにはもう少し調整が必要かなという印象はあります。

例えば画面を少しスクロールしただけで敵が復活してしまったり、逆に放置した乗り物が消えて進行が不可になったりとか…今のゲームだとあり得ない現象が起きるので当時を知らない人にはいろんな部分で違和感を感じそうですね。

ただ、意外と1ステージが短めで、ちょっと時間の合間に携帯モードでアクションゲーム遊ぶというスタイルでSwitchを楽しんでいる人には相性が良さそうではありますね。

 

でもやはり手強い『ロックマンX』

私が最初に『ロックマンX』を遊んだのは小さいころ友達が持っていたもので…何作目かは覚えていないのですが、兎に角本家の『ロックマン』と比べてかなり難しいイメージを感じた記憶があります。

時は経ち色んなアクションゲームを経験しノウハウを吸収した私が改めて今回『ロックマンX』に再チャレンジした訳ですが、やはり今遊んでも大きく印象は変わらず…中々手強い難易度ですね。

『ロックマンX』は本家『ロックマン』よりもダッシュアクションや壁を蹴って登れる等アグレッシブな動きができる分敵もパワーアップしてますからね。

FC時代のロックマンであれば雑魚敵はワンパターンの動きしかできなかったのが複数のパターンを使い分けて来たりしますし、ボスも凍らせてから突撃してくるとか連続攻撃的なものを繰り出してきたり、意外と硬くて通常のロックバスターでは時間がかかる等今のゲームと比べるとやはり手強く調整されています。

▲『ロックマン』の伝統である敵の動きのパターンを読んで攻略する楽しさは健在

しかし、今回の『アニコレ』はその難しさに配慮してか、ゲーム離れや反射神経の衰えた大人に配慮してかは分かりませんが低難易度モードが用意されています。

敵の攻撃を食らってもHPが全然減らなかったり回復アイテムが出やすくなったりしますのでそちらのモードで遊べばかなりサクサクと進められますね。

大人になると子供の頃の様にじっくり毎日腕を磨きクリアを目指すというのも中々難しいですし、当時を思い出しながら遊ぶにはこれは丁度いい塩梅です。

 

不便に思う部分は多々あるがそれも忠実な再現と取るべきか

本作はドット絵をなだらかにできたり、パスワード方式だけだったのがセーブができるようになったり…と幾つか細かい部分に手を入れてはいるものの、ゲーム中のユーザーインタフェースは基本的にはほとんど当時のままです。

例えばキーコンフィグは作品ごとに設定しなくてはならない上にタイトル画面に戻るとリセットされたり、作品によってはメニューの決定にAではなく+やYボタンを使用したり…ホントちょっとしたところなんですけど違和感を所々に感じますね。

キーコンフィグも当時のハードに準拠にしており、例えばSFCならXYABLR+に操作を割り当てできますがZL/ZRに振り分けできません。

プロコンだとL/RボタンよりもZL/ZRの方が押しやすかったりしますし、そういうSwitchで遊びやすくするための細かい配慮は今一つといった印象です。

その代わり携帯モードや有線で遊んだ限りでは遅延なども感じませんでしたし、ゲーム体験としての違和感はなく遊べます。

当時のハードの性能故に起きていた処理落ち※を敢えて再現している等忠実な移植作品としてはかなりしっかりしていますね。

忠実な再現がされてればいいのか、適度に弄って遊びやすくして欲しいか…その人が求めるものによって評価の仕方も変わってきますが、本作はどちらかというと前者向けとして仕上げてきた作品ですね。

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「Xチャレンジ」はコア向けなやり込みモード

本作の目玉の追加要素として用意された「Xチャレンジ」はシリーズに登場するボス二体のタッグを魔改造したXで戦うトライアルボスバトルです。

ステージ数は9つあり、その中でも1-1、1-2、1-3と3戦行い、その結果をオンライン上のスコアボードで競い合う事になります。

▲好きな武器を三つ選び、3組のボスとの連戦を行う。体力やエネルギーは1戦ごとにMAXだが武器は3戦同じものを使う為どれを持っていくかの選択が重要。

「Xチャレンジ」のXはホバリングできたり、チャージショットが最大溜めで多段ヒットする等かなり強化されているのですが、流石にボス2体を相手にするのはかなり大変ですね。

特に狭いステージはボス2体が占める画面の面積が多いのが厄介です。

▲画面狭しと敵が動きまくるので思った以上にエックスの行動範囲は狭い。

「エックス」は敵に接触するとダメージを食らいますからね。

別々の行動をするボス二体の身体と攻撃に当たらない様に避ける高度なスキルが求められますし、隙間を縫うようなやや窮屈な戦いは好き嫌いがかなり分かれそうです。

弾幕シューティングとか好きな人は好きそうですが…多くのロックマンファンがこれを喜んで遊ぶかというと少し疑問が残りますね。

一応難易度選択(Easy/Normal/Hard)があってEasyであればある程度誰でもクリアできるくらいにXの装甲がカチカチの頑丈になっていますが、Normal以降は相当難しいですね。

本作を懐かしんでちょっと遊ぶ程度の人にはチャレンジ過ぎる内容ですし、開始時に「ボスのネタバレになるので各本編をクリア後のプレイをオススメします」と表示がされる所からもあくまで本編をやり込んだ人向けのコンテンツと考えた方が良さそうです。

 

『ロックマンX アニバーサリーコレクション』の総評

本作は実績の解除(PSで言えばトロフィー)やセーブの導入などある程度システム的な追加や改良は行ってはいるものの、ほぼ原作の忠実な再現を目指したものという印象が強い作品です。

ベースが何分古いゲームで今遊ぶと色々と不便に感じる部分は多々ありますので『ロックマンXシリーズ』を遊んだことがないような世代の人にはちょっとオススメはし辛いですが、昔を懐かしんで気になっている人や昔からのファンの人の「久しぶりにやってみたい!」という期待にはしっかり応えてくれますね。

ゲーム以外にも設定画やグッズを閲覧できるミュージアムなども充実しており、『ロックマンXシリーズ』の優秀なファンアイテムとしては決定版として所有しておくのも良いのではないでしょうか。


※コレクション1+2セットの2はDL版になるので要注意です

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