本日取り上げる作品はエンハンスの水口哲也氏プロデュースの『ルミネスリマスター』です。
セガの『スペースチャンネル5』に始まり『Rez』等様々な音楽とゲームの融合した作品を作り続けてきたクリエーターとして有名な水口氏ですが、本作の元になったPSP版『ルミネス』の評価は特に際立っていて前からプレイをしてみたかったんですよね。
スマブラの桜井政博氏と水口氏が組んで作った『メテオス』もかなりユニークで面白いゲームでしたし、既にPSP版で評価されている本作に安心感を抱きながら今回プレイをしてみた感想を述べていきたいと思います。
音楽とパズルという面白さを言語化するのが難しい題材ですが、少しでも皆様の参考になれば幸いです。
本作は『テトリス』や『ぷよぷよ』に代表されるような落ちものパズルの一種で、ルールは非常にシンプルです。
上から落ちてくるブロックを上手く積んで四角形(正方形/長方形)を作り消していく事でポイントが加算されていきます。
勿論最上部まで詰まってしまったらゲームオーバーです。
上から落ちてくるブロックを2×2以上の四角にして消していく。これはもうゲームオーバー寸前。
ここまでは至って普通のよくあるパズルゲームのルールですが本作には二つの大きな特徴があります。
1つ目はブロックが消えるタイミングです。
普通の落ちものパズルですと積んだ時点で条件がそろっていればブロックが消えるというパターンが多いと思いますが、本作は音楽のビートに合わせて左から右へスクロールするバーが通過する際にブロックが消されていきます。
オレンジ色の光のスライドバーが画面中央の灰色の四角を通過すると消える。
ビートに乗りながら一定のリズムでブロックが消えていくのもそうですが、ブロックを回したり設置させる度にピアノの打鍵やパーカッション等の楽器の様な音が鳴りますので、ついつい音楽のリズムに乗ってプレイしたくなりますね。
そして2つ目の特徴はブロックを並べるスペースが縦長ではなく、横長であるという事です。
縦長のパズルゲームは横のスペースが少ないのでその場その場で一つ一つ処理を考えていかないとすぐに積みあがってしまいますが、本作は横にスペースが広いのでとりあえず処理に困ったら脇に置いて後で何とかするという選択もできるわけです。
このシステムのお陰で初心者の人でも遊びやすく、慣れてくれば何十分と継続して遊び続ける事ができる…そんなパズルゲームになっていますね。
本作をプレイして驚いたのが、あっという間に30分、1時間と時間が過ぎていく程に時間感覚を奪われてしまうという事です。
熱中して気が付けばこんなに時間が経っていた…というのはゲーム好きなら誰しも体験した事があると思いますが、本作のは少しそれとは違います。
面白いとか興味深いという感情的なものよりももっと深い本能的に酔いしれるという感じというか…言うならばダンスミュージックを流してひたすら踊っているうちにトランス状態(恍惚状態)になった感覚に近いかもしれません。
前述した”一定のリズムで流れて消されるブロック”と”横に幅が取られ持続しやすいゲームプレイ”…この二つによって繰り返されるリズミカルなゲームプレイはダンスミュージックから得られるものと似ています。
因みに、Switch版はプレイ後も少し痺れを感じる程のエグいHD振動※をビートに合わせて刻んできますので、視覚聴覚だけでなく感覚的にも与えられる刺激が合わさって気持ちよさは他機種のものよりも強いでしょう。
※他機種版でもコントローラーの振動機能を使っているそうですが、より繊細な表現ができるHD振動がベストの様です。
本作が産まれた背景にはこのHD振動の存在が大きかったと水口氏もSwitch版を勧めていますが、確かにこのビートを体で感じる感覚は今までHD振動が物足りない!HD振動なんて意味あるの?という人にこそ是非体感して欲しいですね。
本作は全7種類のモードが用意されています。(PSP版からいくつかモードが追加されたようですね)
お洒落なメニュー画面にセンスを感じさせる。
どのモードも最初から遊べるので自由にプレイして構わないのですが、『CHALLANGE』 がメインのモードになります。
このモードは一人でひたすらブロックを消し続けるモードなのですが、続けていくうちにどんどんレベルが上昇して流れている曲も次々と変化していきます。
レベルの上限100迄行けばゴールなのですがそこまでたどり着くのはかなり大変ですね。
私は今10時間くらい遊んでいてベストスコアがレベル30位です。
大体そのレベルまで進むのに30分くらいかかっていますので…レベル100だと1時間半くらいプレイをぶっ続けてたどり着けるかなって所でしょうか(笑)
レベルが上がるほど扱いにくいブロックパターンが増えてブロックが落ちてくるスピードがどんどん増して難しくなっていきますので中々やり応えもありますね。
ある程度のレベルをクリアしていく事で『スキン』※と呼ばれるものやアバターのデザインの特典が用意されているっていうのも嬉しいです。
やはり何か報酬がもらえないと人間やる気が出ませんからね。
※このゲームのスキンは言わば曲とステージのセットみたいなもので、CHALLENGEで挑戦してゲットした好きな曲をSKIN EDITで組み合わせて遊ぶという事ができるようになります。
他にも決められた形を作る『PUZZLE』、指定された出題条件をクリアする『MISSION』等パズル部分に特化したモードもあり、じっくり一人で遊ぶにはかなり充実していますね。
与えられた条件をクリアする『MISSION』は頭を悩ませるモード。
更にさらに本作は対戦モードもありますので友達との接待にも使えます。(おすそ分けプレイもばっちり完備)
横に陣地を押し込みあうVSモード。押し込まれると一気に不利になるのでスピードが重要。
『VS COM』を選べばCPUと対戦できますが、最初から手加減なしでやってくるのである程度『CHALLENGE』等一人用モードでゲームに慣れてからといった感じでしょうかね。
オンライン対戦は残念ながら対応していませんが、オンラインスコアランキングには対応していますし、かなりモードが豊富で充実したゲームであるのは間違いないですね。
これ一本あれば一人でも友達とでもじっくり遊べます。
初心者でも遊びやすいシンプルなルールや他のゲームからは得られないような独特の”トランス感”はただのパズルゲームとは一線を画す内容で、本作でしか味わえないならではのものがしっかり存在しているゲームです。
気になる部分と言えばローディングが長めなのとどうしても上達してくると1プレイが長くなりがちなゲーム性に好みが分かれそうな感じがしますが、他には特に目立った欠点もなくボリューム感ある内容ですのでSwitchでじっくりパズルゲームをやりたいという人には率先してお勧めしたい作品ですね。
あと、自分の音楽の趣味が本作に使われている曲と合うかどうかも判断基準になると思いますので最後に参考までに動画を貼っておきます。(二つともMONDO GROSSOというバンドの曲です)
こんな感じの曲が好きなら超オススメです。