タイトル:マリオカート8デラックス
メーカー:任天堂
機種:Switch
ゲームが好きなら誰でも一度は遊んだことはある…と言っても過言ではない超定番対戦レースゲームの最新作である『マリオカート8DX』を本日はレビューします。
WiiUの苦しい情勢を変える為に焦ったのか色々と練り込めていない部分が目立ったWiiU版『マリオカート8』を再度Switchでデラックス版として仕切りなおした本作は、丁度発売から一年程経つ現在でWiiU版の80万本強の倍の160万本以上を売り上げています。
移植+αのゲームは移植元のゲームよりも売れないという常識を覆す驚異な人気の復興を果たした『マリオカート8DX』の魅力について、本レビューを通じてお届けしたいと思います。
こんな人におススメ!
・友達や家族と一緒にワイワイ遊びたい人
・オンラインで走りを極めたい人
・ゲーム超初心者でも脱落しない驚異的な敷居の低さ
・コアゲーマーでも納得させられる奥深さ
・全48種類のシリーズ最大のコース数
・WiiU版の反省を生かし細部まで行き届いた調整
・楽しすぎるバトルモード
・フルHD、60fpsの綺麗で見やすい画面
・1人用もモードのオールクリアを目指すだけでも何十時間と遊べる。
・オンラインローカル問わず対人プレイにハマれば延々と遊べる。
・4人分割画面は画面が小さく見づらい上にフレームレートが半分に落ちる
・オンラインのマッチングレートはガバガバ気味なので上級者と初心者が混ざる場合もある
マリオカートといえばゲーム初心者から上級者まで幅広く遊べる間口の広さに定評があるゲームだが、本作で操作性の敷居の低さが究極レベルまで極まったと言っても過言ではない。
『マリオカートWii』から導入されたコントローラーを傾けて遊ぶハンドル操作は勿論の事、『ハンドルアシスト』という本作で追加された機能がゲーム初心者に与えた恩恵は特に素晴らしい。
この機能はコースアウトを自動的に防ぐ機能で、コースをはみ出そうになると見えない壁のようなものでグイっと戻してくれる。
実際に今までのマリオカートではコースアウトしまくってまともに1コースも完走しきなかった4歳児の子供に本作をハンドルアシストONで遊ばせてみたのだが…
見事に全48コースを走り切ってしまった!
ただ単に適当にカートを滅茶苦茶に動かしているだけだった幼児がそれひとつでレースに参加して勝負する楽しさを覚えてドハマりしてしまった。
因みにサポートはハンドルのアシストだけではなくアクセルのオート機能もあり、これもオンにしてしまえばプレイヤーがやることはコースに合わせて上手くハンドリングをするだけに専念するだけになるのだ。
ここまで来るとハンドリングの操作方法さえ理解できる人ならもう誰でも操作出来てしまうレベルだ。
これらの機能を使うと最高段階のターボが使えなくなる為、私の様な何作もシリーズを遊んできた人間には無用の長物ではあるが、今までも十分低かったユーザーの敷居をさらに大きく下げた事には感服せざるを得ない。
WiiU版の『マリオカート8』は他のシリーズ作品と同じように総合して良くできたゲームではあったが、慌てて作って出したような作り込みの甘い部分が散見された作品だった。
その最たる例は『バトルモード』にレース用のコースを流用させたという事だろう。
バトルモードというのはカートに付けた風船を割りあう等文字通り戦う事に特化したモードで、今までのシリーズではルールに合わせて闘技場のような独自コースを用意していたのだが…納期の都合なのか…任天堂はレースコースを使いまわすという手段を取ってしまった。
当然順位を競うために作られたレースコースではバトルモードの楽しさは引き出せず、バトルモードを楽しみにしていた人にはWiiU版は非常にガッカリな仕様であったが、本作ではその反省を生かしてバトルモードに大きくテコ入れをしている。
レースコースの使いまわしは一切やめて専用のコースを新たに8つ用意し、ルール数も最多の5種類を導入した。
これは今迄のマリオカートのバトルモードと比べても群を抜いたボリュームだ。
それぞれの中身を見ても、専用コースはデカライン高架下やウーフータウンなど任天堂ファンなら嬉しくなる内容だし、新たに採用された3種類のルールはどれも魅力的。
入手できるアイテムがボムのみに限定され、ボムの爆風で風船を割りあう過激なルール。最大10コボムをストックできる上に後半はアイテムボックスが二段にとなりカオスな戦いが楽しめる。
チーム戦で攻守に分かれて戦うルールでいわゆるケイドロ。攻撃側はカートに備え付けられたパックンを使って敵全員を捕まえれば勝ち。
防衛側は時間内に逃げきれば勝ち。檻の中に仲間が捕まっても助け出すことができるが、敵も当然そうはさせまいと待ち構えている場合も多々あり、チーム戦の連帯感や駆け引きという今までのマリオカートにはない楽しさを引き出している。
シャインという輝く一つのマークを取り合うルールで、プレイヤー全員が集中してシャインに群がり次々と持ち主を変えてはめまぐるしく奪い合うスリリングな展開が楽しめる。シャインを保持した瞬間包囲網という状況が生まれ追いかけまわされ、いかに永くその中でキープできるかドキドキ感が堪らない。管理人イチオシのルール。
今まで以上にボリュームも楽しさも充実した内容のバトルモードはメインであるレースゲームに匹敵する程楽しく、前作からの軌道修正だけでなく一気に『バトルモードが好きな人に最も楽しいマリオカート』まで盛り返すことに見事に成功している。
上記のバトルモード以外にもWiiU版にあった不満点等がどうなっているのかについても触れておこう。
例えば全体マップをゲームパッドにしか表示できなかったり、バグ?を利用したテクニック(通称サンダードリフト)が出来る出来ないでユーザー間に格差を生んでしまったのもWiiU版でよく言われていた不満点だろう。
本作はそれらWiiU版の不満を全てチェックして潰しにかかったかのように数々の部分に細かく修正・調整を施している。
トップが独走状態になりやすいテクニック重視のゲームバランスに対しては、サンダードリフトの優位性を失くすことと、アイテムを二つ持てるようにした事でトップに行くほどアイテムで狙われやすい状況に変え、前よりも下克上アリのパーティーゲームらしさを取り戻している。
他にも細かい部分ではあるがキャラ性能についてもご紹介したい話がある。
WiiU版ではキャラの性能差に対して大雑把に同階級単位で分けられていたが、本作ではキャラ一体一体それぞれに違うパラメーターを付けて差別化を図っている。
例えば中量級でもマリオとルイージ、ピーチ姫、ロゼッタ等がいるが…WiiU版では皆同じ能力で性能を考えれば誰を使っても一緒だったのが、本作では『中量級の中でも一番スピードが速いのはロゼッタ』とキャラの個性が以前よりも増して存在しているのだ。
それはカートのパーツにしても同様で、能力が被っているパーツがほぼなくなっている。
このようなパラメーターの細かい調整は地味で目立たない変更ではあるが、マリオカート8が本来売りとしていたカスタマイズの深みが大きく変わってくる重要な部分だ。
このようなきめ細かいところまでしっかり磨き上げられたことによって本作は『マリオカートシリーズ』の中でも屈指の中身の濃さと完成度の高さを誇る作品になっている。
WiiU版でややぐらつき始めた『マリオカート8』をSwitchで仕切りなおしたことで完全にマリオカートは輝きを取り戻した。
携帯モードやおすそわけプレイで『いつでも、どこでも、誰とでも』遊べるSwitchはマリオカートにとって鬼に金棒なゲームハードであり、次のマリオカートの新作が出るまで売れ続けるロングランヒットになるだろう。
私の様にWiiU版も買った人はやや複雑な心境もあるが、やはり好きなゲームがより良くなって生まれ変わるのは嬉しいし、新規で始める人に今一番楽しめるマリオカートだと自信を持ってお勧めできる作品になった事は歓迎したい。
来年はスマホでマリオカートが配信される為、暫くSwitchに新作のマリオカートが出ることはないだろうし是非未プレイで興味がある人は手に取ってみて欲しい作品だ。
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