ゼルダ無双は最初にWiiUで発売され、その後3DSに『ゼルダ無双ハイラルオールスターズ』として追加要素を加えられ移植された。そして更にそのデラックス版としてSwitchに移植されたのが本作だ。
元々無双の中でもトップクラスに良くできたゲームだったが、二度目の完全版という事で完成度も高く、Switchに出たという事で映像面も強化されている。何より今までのDLCが全部入りでボリュームが物凄いゲームとなっている為、非常に長く遊べるゲームとしてお勧めのゲームだ。
ゼルダの個性豊かなキャラクターや世界観を上手く再現して調理した無双はまた本筋の三国無双などとは一味も二味も違ったゲームにチューニングされているので、他の無双とは何が違うのかを今回中心にピックアップしてご紹介したい。
こんな人におススメ!
・ゼルダシリーズのファン
・敵をなぎ倒す爽快なアクションゲームが好きな人
・遊びつくせないボリュームのあるゲームを求めている人
・各キャラクターの動きが個性豊かで操作が楽しい
・敵の隙/弱点を狙うシステムが無双の単調さを軽減している
・仲間に指示を出して行動させるマルチタスク管理が楽しい
・他の機種で出たものよりも遊びやすく、映像も綺麗で動きも滑らか
・ストーリーモードは20時間程度(やり込みによっては膨れ上がる)
・アドベンチャーモードは量が膨大過ぎて終わりが見えないレベル
・完全版の完全版なので他機種でやり込んだ人がやるのは量的にキツい
・TVモードと違って携帯モードのフレームレートはあまり良くない
・ブレスオブザワイルド要素はコスチュームだけのおまけ
バラエティー豊かな豪華さで”無双である価値”を高めている
ニンジャガイデンやデッドオアアライブを作ってきたコエテクのエース開発部隊であるチームニンジャを投入して作られたゼルダ無双はいつもの無双とは一味も二味も違う。
ゼルダシリーズのユニークなキャラクター達を原作のイメージを損なうことなくしっかりと個性付けをしており、無双シリーズによく見られるいつものモーションの使いまわし…いわゆるコンパチでキャラの物量を稼ぐ妥協も見られない。
キャラのモーションの滑らかさはSwitch版にて他機種の倍の60フレーム迄引き上げられたことでより際立ち、敵をなぎ倒す気持ちよさやユニークに動く楽しいモーションは同チームが作ったFE無双と並んでトップクラス。他から突出して良くできている。
また、ゼルダ無双には本作オリジナルキャラクターも登場するが、原作キャラと並んでも違和感ないようにデザインが上手く施されているのも好感度が高い。特にWiiU版で没ネタだったが3DS版で追加された『リンクル』は人気が高く、ゼルダチームの青沼プロデューサーが『リンクルを今後のゼルダに登場させる可能性はある』と海外メディアに発言したこともある程だ。
ボウガンや蹴りを武器に戦う方向音痴娘リンクル
物語のカギを握るオリジナルキャラクターのラナ
ゼルダ無双DXはこのようなオリジナルを含めた30体のキャラクターが存在しており、その中には武器を複数使えるものもいる。例えばリンクは剣だけでなく杖やコマ、エポナ(馬)とそれぞれのバージョンがあって、どれも別のキャラクターと言っていいほど動きや性能が異なる。
これだけユニークなキャラが沢山いてバラエティー豊かだと色んなキャラクターを次々と触りたくなる。ビュッフェで沢山の料理を並べられたようなカラフルさはとても楽しい。
そしてこういう時こそ格闘ゲームの様にコマンドやキャラ度に覚える必要なく、すべてのキャラをすぐに使いこなせられる無双の操作システムが光る。ゼルダ無双は久しぶりに無双のシンプルな操作性の良さを認識させる作品だ。
ゼルダらしさを取り込み無双のマンネリを軽減
ゼルダといえば爆弾やフックショット等のアイテムを駆使し謎解きをしていくのがひとつの大きな特徴的だが、本作のアイテムも目の前の邪魔な障害物を壊したり敵の弱点を突く等のために使用する。
上の画像はキングドドンゴという大型モンスターに爆弾を投げている画像だが、キングドドンゴは非常に硬く、普通の攻撃が通りにくいので爆弾を飲み込ませて倒れた後に攻撃をする。ゼルダ無双はこのようにしてアイテムを駆使して敵の弱点を突くことが重要なキーになっている。
こちらは定番モブ敵キャラのリザルフォス。炎を吐き切った後に息を切らす様に動きが止まり弱点をさらけ出す。
敵はこの様にしてそれぞれに攻撃の中で弱点を晒すタイミングがあって、そこを狙って攻撃するのをウィークポイントスマッシュと呼んでいる。ウィークポイントスマッシュはド♪レ♪ミ♪と効果音が相まって気持ちよくヒットが入り、最後まで押し切ると敵をあっという間に倒せるのが実に気持ちが良い。
相手の攻撃を見ながらガンガン攻撃を加えるのは今迄の無双と一緒だけど、相手のスキを逃さないようにしっかり動きを見ることも重要になっているし、これに合わせて敵は今までの無双にはないアグレッシブさや大胆な攻撃モーションを仕掛けてくるように調整されて中々手強い。
ボコブリンの様な雑魚は相変わらず草刈りの対象だけど、ボス格になるとまるで別のゲームから連れてきた様な動きで相手の激しい攻撃の中のスキを突く駆け引きは今迄の無双にはない面白さを生み出している。
因みにWiiU版ではウィークポイントスマッシュでないと殆どダメージが入らない敵が多く、敵が隙を晒すのを待つ『待ちゲー』の傾向があったが、3DS→Switchと移植されある程度ウィークポイントスマッシュでなくてもダメージが入る様に調整されている。Switch版はWiiU版よりも遊びやすく攻撃的に楽しめる。
CPUはやっぱり頼りにならない
ここまでは本作の良い所ばかり挙げてきたがここからは少し苦言を…とはいってもあくまで印象の問題であってバランスなどゲームの根本に関わる致命的な問題ではないけれど。
ゼルダ無双は3DS版で戦国無双クロニクルで好評だった4人を切り替えながら操作しつつ自分の操作キャラ以外を指示を出して行動させるマルチタスク的なシステムを取り入れている。マップを開いてここにいけ、この拠点を攻めろ…という単純なものだけど、仲間に指示をして同時に戦いを展開できるので、ひたすら一人で各地を走り回るいつもの無双よりも楽しい。
しかし一つ難点があって、それはCPU操作の仲間キャラがやたら弱いということ。気が付くとすぐにピンチになるので忙しく操作キャラを切り替えていかないと持たない。思った以上にヘタレなのでCPUがお任せで戦ってくれると期待しない方が良いだろう。
同様のシステムを取り入れているチームニンジャ作のファイアーエムブレム無双は比較的仲間が自立して敵を倒してくれるバランスだったが、ゼルダ無双はあくまで仲間に指示はできるが放っておかずに自分でどんどん操作を切り替えて戦えというバランスになっていて、プレイヤーは常に忙しいゲームだ。
遊びつくせない膨大なボリューム
流石に二回目の完全版なだけあって本作はとてつもないボリューム感がある。ストーリー自体は20時間程度(遊び方によってプラスマイナス)で無双シリーズの中では標準的な長さだがDLCで拡張され続けたアドベンチャーモードの量がとんでもない量になっている。
これは初代ゼルダを模したマップでこのようなマップが複数存在するのだが、このマス一つ一つに与えられているミッションをこなしていく。ミッションの内容は『何秒以内にクリアしろ』『500体を倒せ』等様々だが、クリア時の評価によってアイテムを得たりロックされている隣のマスを開放するようになっているので、場合によっては何度も良い評価を得るためにトライすることもある。
WiiU版ではその条件設定が厳しく、特に『XXダメージを受けずにクリアしろ』といった内容のものは非常につらくてかなりの時間を要するものだったけれど、Switch版は条件が緩和されているのでそこは一安心。とはいってもそれでも物量がとんでもないのは変わりないが。
アドベンチャーモードはどちらかというとやり込みモードなのでストーリーで満足して終わるというのでも全然問題ないが、『全部やり込みをするぞ』ってスタンスの人はボリューム地獄を覚悟しておくべき特盛作品であることに是非覚悟して頂きたい。