『PixelJunk Monsters』は元々PSプラットフォームで展開されていたゲームで、前作は見下ろし型の2Dタワーディフェンスの名作として評価され100万本以上のセールスを記録した人気タイトルです。
そのナンバリング続編最新作として本作はSwitchに登場し、映像面を最新のゲームエンジンUnreal Engine 4 Unity5.6(リードアーティストの方からTwitterで教えて頂きました)を使った3Dグラフィックに進化させ、大きくイメージを変えています。
私は前作未プレイなので前作の内容と比較はできませんが、”初めて『PixelJunkシリーズ』を遊ぶ人間”の観点として本日レビューさせて頂きます。
任天堂ハードには初めて出るゲームですので私の様な未プレイの方も多いと思いますので、そういった方々にも参考頂ければ幸いです。
本作の特徴といえば何といっても粘土細工で作られたクレイアニメの様な独特な世界観です。
作り物のミニチュア的な世界の中でちょこまかちょこまかキモカワイイキャラクター達がせわしなく動くのを見てるだけで面白く、そして癒されますね。
主人公は森の精霊”ティキマン”という南米の民族が付ける様なお面を付けたキャラクターで見た目は変なキャラクターなんですが、実際にゲームを通して頑張っている姿は不思議とキュートです(笑)
可愛いチビ達を敵から守るティキマン
こうやって画像を眺めていてもそれが伝わらないのが残念ですが、本作は敵味方含めて少し気の抜けるような憎めないキャラクターや世界観がピリピリしがちなタワーディフェンスの緊張感を上手く和らげてますね。
タワーディフェンスのゲームには画面が細かくて見にくいものも少なくないですが、シンプルで見やすいアイコンやユーザーインターフェースで分かりやすくしているのがイイですね。
進軍してくる敵からチビを守るためにタワーを設置して敵を撃退する…そのシンプルなルールをベースにして段階的に新しいタワーや敵の種類等の考えるべき要素を増やしていくのでゲームへの理解もしやすいです。
攻撃用タワーを設置し、射程圏に入ると自動で攻撃する
操作性もスムーズでアクションゲームの様に快適でティキマンをちょこちょこ動かしてタワーを何となく建てているだけでも楽しいので、タワーディフェンスやったことがないという人でも入り易い作りをしていますね。
難易度は3段階あり、一番簡単な難易度で全15ステージをクリアするだけならこの手のタワーディフェンス系では簡単な部類に入ると思いますので初心者の方にもお勧めしやすいですね。
勿論、難易度を変える事によって敵の出現パターン等全く変わって別のステージの様に様変わりしますし、更にパーフェクトクリア※を目指すとなるとかなりやり応えが出てきますので、タワーディフェンスの手強さもしっかり体験できるようにもなっています。
※敵を一匹も侵入させずにクリアすればパーフェクトクリアとなる。
タワーディフェンスというと神のような俯瞰の視点でステージ全体を見て見守るというイメージが強いですが、本作は主人公ティキマンに焦点をクローズアップしたゲームです。
タワーを建てて敵の行軍を撃墜していくティキマン
そしてティキマンはチビ達を守るために忙しくステージを走り回ります。
まず敵を攻撃するタワーを建てるにあたって必要となるのがコインやジェム。
落ちたコインやジェムを拾って次のタワーを建てる
これらは木に触れると落ちてきたり敵を倒して落ちてくるのですが、放っておくと消えてなくなったり、坂を転げて水没したりしてしまいますのでなるべく早く取りに行かなくてはなりません。
時にはステージの山の上にある大きな丸い石を転がして敵を倒すこともします。
ステージによっては坂を転がる丸い巨大石が配置されている
ティキマンの仕事はこれだけではありません。
タワーには成長要素があって敵を攻撃するとどんどんレベルが上がっていくのですが、ティキマンがタワーに接触して踊ることでもどんどん成長していきます。
『コインを拾いたいけどタワーのレベルを上げたい!タワーのレベルを上げたいけどコインを拾わないと消えちゃう!ああ!タワーも建てなきゃ敵が来る!』…といった様に次々と進む状況の中で生まれるジレンマと戦い、いかに上手くさばけるかマネージメントスキルを問いかけられる感覚にハラハラさせられます。
ジャンプで崖を飛び越えてタワーを設置しに行く事も
ただその反面一つ欠点としてあるのは、見える範囲がキャラクターの周辺だけでステージ全体が見えない為、画面外で何が起きているのか分かりにくいという事です。
高難易度になってくると色んな方向から敵が攻めてくるのでコインを忙しく集めていたら知らない間に攻め込まれていたなんてことが多々起きます。
パーフェクトクリアを高難易度で初見クリアするのはほぼ無理なので何度もプレイして敵の攻めてくるパターンを記憶するのが大事になってくるのですが…これが戦略的な面白さというよりも作業的なゲームプレイ感覚に繋がっている印象がありますね。
本作はインディーズ作品としては珍しく積極的なオンライン対応をしており、スコアボードで世界中のプレイヤーと得点を競い合ったり、オンラインを通じてマルチプレイをすることが可能です。
しかし…発売から一週間ほどプレイをしていますが、オンラインマルチの方は今のところ一度もマッチングできた事がありません…。
それにはプレイヤー人口的な理由もあるかもしれませんが、私の印象としては『オンラインマルチを遊ぶメリットが薄い』という所にも理由があると思います。
本作にはステージのクリアのさらに上のパーフェクトクリアというものが存在し、ソロプレイではクリアの報酬で虹の石板を入手できるのですが、マルチプレイの場合これを入手する事が出来ないというデメリットがあるのです。
虹の石板のかけらを集めると別のエリアが解放される
では入手できるのはなんだというと、ソロプレイでもザクザク手に入る貨幣です。
貨幣の使い道は見た目だけの装備(お面・甲羅)との交換で、それらには特に魅力的なデザインや能力的な変化の違いがあるわけではないので購買意欲も湧きにくいです。
何度買い物をしても『初めて見る顔だね』と言われるティキマン
そんなにメリットがないのであれば一人でじっくり遊んでパーフェクトクリアを目指す方がいい…という結論に達する人が多いのではないかなというのが私の推測です。
本作の大きな売りの一つであるオンラインマルチはほぼ機能していないという事は非常に残念ですが、その旨ご理解の上で検討される事をお勧めします。
なお、スコアランキングマッチの方は問題なく機能していますので大丈夫です。
CG作品の様なクオリティの高いクレイアニメ調のデザインや全15ステージ×3難易度のボリューム、オンライン対応等意欲的で個性を持ったゲームであるのは間違いないです。
操作性も良く段階的にゲームがちゃんと手ごたえある難しさに上昇していくバランスも良い点ですね。
個人的には世界観にも癒されますしかなり好きな作品ですが、前述したようなオンラインマルチが機能していなかったり人によっては好き嫌いが分かれそうな部分もあるのでそこは見極めが重要ですね。
因みに本作はe-shopにて体験版も配信されており、ゲームの基本的な部分は充分体験する事が出来ます。
体験版が楽しいと思うなら製品版も同じように楽しめますし、購入検討されている方はまずはしっかり体験版をプレイされることをオススメします。