試練の連続がやみつきになる!名作アクション『Celeste』レビュー

皆さんこんにちは。

にぃど(@switch_for)です。

本日は2Dアクションゲーム『Celeste(セレステ)』のレビューをしていきます。

本作は痺れるような高難易度のステージ克服していく面白さや、独特の世界観などが高く評価され、インディーズの名作アクションと扱われることの多い作品です。

例えば代表的なところで言うと、世界中のメディアのレビュー得点を集計したメタスコアは92点の超高得点を獲得していますね。

参考リンク:Cleleste Metascore Celeste

因みにこのスコアは、同じ2017年にNintendo Switchで発売されたタイトルの中では『ゼルダの伝説ブレスオブザワイルド』と『スーパーマリオオデッセイ』に次ぐ高得点です。

私もアクションゲーム好きの端くれとしてチャレンジをしてみましたが、ただ難しいだけではなくついつい止め時を失ってしまう中毒性にどっぷりつかってしまいましたね。

そんな難しいけどやめられない面白さを持った本作の詳しい内容や感想について、早速お話していきましょう。

基本情報機種:Switch/PS4/Xbox/PC
価格:1080円
メーカー:Matt Makes Games
ジャンル:アクション
プレイ人数:1人
オンライン:なし
暴力表現:なし
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ゲームの概要

本作はドット絵で描かれたステージを次々とクリアしていく、2Dアクションゲームです。

タイトルにも使われている『セレステ』という山を舞台に、主人公マデレンが心の問題と向き合いながら山頂を目指すという設定になっています。

幻想的な風景が美しい雪山セレステが舞台の2Dアクション。

操作はとてもシンプルです。基本的に使用するアクションのは3つだけ

  1. ジャンプ
  2. ダッシュ(空中でも可)
  3. 壁に掴まる(上る)

この三つのアクションを使って、ひたすらステージに用意されたゴールに向かって突き進む。非常に単純明快なゲームで、操作とルールに関しては非常に敷居の低いゲームと言って良いでしょう。

しかし、そんな敷居の低さは忘れてしまうほどの試練の連続がプレイヤーを待っています。

高難易度を売りにしたアクションゲームは今や世界的に人気ジャンルとして定着しており、『ダークソウル』や『デッドセルズ』など人気作をプレイした方も多いのではないでしょうか。

そういった高難易度のゲームでも、ゲーム序盤はそこそこ難易度を抑えたものになっていて、ステージを進めていくとどんどん難しくなるというバランスを取っている事が多いと思います。

しかし、本作は違います。最初から最後までみっちり難しいという容赦のない厳しさになっているのです。(以下、難易度上昇のイメージのグラフ)

難易度がいきなり高い所から始まるのもそうですが、クリアまでの道中には途方に暮れそうな険しい試練がいくつもあります。

これからプレイする人は「険しい山に挑戦する!」というくらいの意気込みと覚悟が必要です。

メッセージから察せられるゲームコンセプト

因みに、アクションゲームが苦手な人のための「アシストモード」というものが用意されています。無敵、無限スタミナ、ゲームスピードを遅くする等ゲームが各段に楽になるオプションです。

しかしながら、アシストモードに対して「このゲームの難しさはゲーム体験に不可欠なものです。」とゲーム内のメッセージで開発者が訴えている所からも、やはり本来の意図した面白さみたいなものは薄れてしまうという事になりますね。

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夢中になれる理由

ただただ難しくしてしまえばいい。そんな解釈をしてしまったのか、高難易度のゲームの中にはストレスがどんどん積み重なっていったり、理不尽に苦しめられるものが多く存在します。

しかし、本作に関しては不思議とそういった印象を抱くことなく、最後まで遊ぶことができたんですよね。登頂した瞬間は最高に気持ちのいい達成感を感じて「大変だったけどプレイして良かった!」と清々しい気持ちになれました。

ではなぜ本作をそのように受け入れることができたのか?理由を三つここで挙げていきます。

超快適なリトライ

本作のステージは全体的にコンパクトかつ復帰ポイントも小刻みに設置されています。小部屋がいくつもあるような感じで、その部屋ごとに挑戦していけるので一歩一歩着実に進めて行けるような作りになっているんですよね。

しかも、コンティニューが無限かつ復帰のローディングが爆速。失敗のリスクが殆ど無いので失敗しても挑戦心を萎えさせる事無く、リトライできるゲームなのです。

結局私はクリアまで千回以上ゲームオーバーを繰り返しましたが、その数に対して受けたストレスというのはそれほど大きくなかったと思います。

失敗によって生まれるストレスを超快適なリプレイ性で緩和する。これは高難易度ゲームの多くに見習ってほしい部分ではないでしょうか。

バリエーション豊富なステージ

本作は『セレステ』というひとつの山を登っていくわけですが、構成される複数のステージは見た目だけでなくギミックも豊富です。

主人公が様々なアクションを習得していくといった事がほとんどない代わりに、ステージを進める度にギミックが次々用意されていくので、クリアまでの道中に反復的なプレイ感や間延びする様な印象は全くありませんでしたね。

標高が高い所までくると強い風の吹くステージが登場。

針が至る所に突き出た場所もあれば、強風に煽られる場所もあったり。大型のボス的に追いかけながら逃げるシーンなど、ステージデザインもバリエーションがしっかり用意されている所は好感が持てます。

テクニックよりも覚えるのが大事

本作は高度な操作の習得が求められるのではなく、どちらかと言うとゴールにたどり着くまでのルートや手順を探る事が攻略に必要になタイプのゲームです。

何度も何度も失敗して経験を重ね行動を試行錯誤をする。そのうちに少しずつ正解の手順が紐解いていける感覚は、ある種のパズルゲームのようにも思えます。

ルートを見つけたならば、あとは「↑・→・↑・←」といった感じで指にその動きを覚えさせるだけ。これは格闘ゲームのコンボを覚えるプロセスに少し似ていますね。

クリアできそうでできない。そんな状態からスルっと抜けきった時の快感が癖になり、ついつい次も頑張ってしまう魅力があります。

設定を活かす上手さ

私が特に本作を素晴らしいと思ったのは設定がゲーム性や世界観と絶妙にマッチしているという所にあります。

主人公・マデレンは心に悩みを抱えた訳アリの少女。そんなマデレンが自分の心と向き合うために訪れた雪山「セレステ」で、様々な試練や不思議な出来事を経験していく―

一見ありきたりにも思える設定ですが、面白いのは雪山「セレステ」が登山者の心を投影する不思議な場所になっているという所ですね。

例えば道中のステージで、美しかったはずの風景がいつの間にかおどろおどろしいものへと変わる場面があります。そしてそこでは背後から来る得体のしれない存在からの逃走を迫られます。

不安、恐れ、焦り。それはまるでマデレンの中でこみ上げる恐怖心やネガティヴな心の中にあるものを共に共有しているようです。

ただ険しい試練をクリアしていくチャレンジだけではなく、一人の少女が抱える問題を共に乗り越えていく。このキャラクターと遊び手の感情がリンクするような感覚はゲームならではの体験という感じがしますね。

道中で会う人たちもどこか印象がフワッとしていて、まるで白昼夢を見ている様です。これは現実なのかマデレンが見ている妄想、夢の世界なのか。

ドットで巧みに表現された幻想的な表現

2Dの絵や音楽、ステージデザイン、登場人物など色々なものを絡めてマデレンの心内をプレイヤーに見せる事への強いこだわりを感じさせますね。

遊んでハラハラする、達成感を感じるアクションゲームはそれこそ山のようにありますが、ここまで主人公と共に試練を乗り越えていく感覚に浸らせてくれるゲームは珍しいと思います。

最後のセレステ登頂の瞬間は本当に感動的で、かつて2Dアクションゲームでこれ程まで背筋をゾクゾク震わせたことがあったのだろうか!と私は驚きを隠せませんでした。

それは自分の手で主人公を動かし、何度も失敗を克服して苦難を乗り越えたからこそ感じられるもの。動画で他人のプレイを見るだけでは得られない楽しさを噛み締めることができます。

もし映画や小説とはまた違ったゲームならではの感動というものは何かを知りたいのであれば、恐らくこのゲームはピッタリと言えるでしょう。

ボリュームついて

私は本作のクリアに8時間程かかりました。単純にクリアだけを目指すなら比較的コンパクトなサイズのゲームと言えます。

とはいえ集中力が断続的に何度も何度も繰り返し求められるゲームです。時間に対する体験の密度が非常に濃いので、それだけのプレイ時間でもかなりのボリュームを感じましたね。

加えてゲームクリアとは別の目標として、ステージ中に置かれているイチゴを集めたり、各ステージの高難易度アレンジステージへの挑戦も待っています。

イチゴの収集はステージをクリアする以上に難しいので、初見はまずステージクリアを目指して、取れそうなら確保していくという感覚で挑むのが良さそうです。几帳面に全部取っていく内に心が折れてクリアまで行かなかったとなっては本末転倒かもしれません。

各ステージに配置されたイチゴは入手が難しく、頭を悩ませることが多い。

また、高難易度にアレンジされたステージはB面C面と複数用意されていて、ボリュームもかなりたっぷりです。

私もB面をチャレンジしましたが、あまりの難しさに発狂しかけました(笑)。こんな難しいステージが未だ大量に残ってるのかと、絶望に近いものを感じましたね。

私は到底やり込み尽くすのは無理だと判断してやり込みについては途中で挫折してしまったのでが、要素を全てコンプリートしている方のお話だと少なくとも30時間以上はかるとか。

相当険しい道を突き進む事になりますし、コンプリート癖がある方であれば相当な覚悟を持って挑む事をオススメしたいですね。

最後に

本作を遊んでいる最中、本当に何度も何度も挫折しそうになりました。こんなのクリアできるのか?そんな風に心の中で叫びながらも、それでも快適なリプレイ性に支えられ、少しずつ山を登っていったのです。

そして、いよいよ登頂した瞬間にこみ上げてきた強い達成感。それは主人公・マデレンと共に苦難を乗り越えたという感動でもあり、本作のイメージを鮮烈に焼き付けた瞬間でした。

無駄なものは何一つないしっかりと作り込まれた緻密なステージ。2Dドットでありながら叙情的な音楽と映像を絡ませて魅せるゲームデザイン。メタスコアの92点に納得の出来です。

本作はゲーム開始早々からプレイヤーを高難易度で襲う容赦のなさもあって、全ての人にオススメできるゲームでは決してありません。普通にアクションゲームを楽しみたいのならもっと『スーパーマリオ』や『ショベルナイト』など適したゲームがあります。

しかし、骨太な難易度に挑戦して達成感を味わいたいという気持ちがあって、根気よくゲームに集中できるような方であれば是非とも挑戦して頂きたい、そんなゲームですね。

 

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