タイトル:マリオ+ラビッツ キングダムバトル
メーカー:任天堂 / UBIソフト
機種:Switch
『マリオ+ラビッツ キングダムバトル』(以下マリラビ)はフランスのUBIソフトの人気キャラクターラビッツとマリオの異色のコラボ作品。
本作はUBIソフト主導で製作が行われたが、マリオの産みの親でる宮本茂氏から『今までマリオがやったことのないゲームを作って欲しい』とのリクエストがあり、ターンベースのシミュレーションゲームとして作り上げられた。
その結果、マリラビはここ数年のUBIソフトの中でもメタスコア(海外のメディア批評平均点)の最も評価の高い作品となり見事にヒット、ラビッツに馴染みがない日本でも発売から3ヵ月で20万本以上売り上げており、堂々人気タイトルの仲間入りを果たした作品だ。
本日はこの一風変わったマリオとラビッツコンビの新たなヒットタイトルについてレビューをする。
こんな人にオススメ!
・歯ごたえあるシミュレーションゲームが好きな人
・マリオとラビッツのコミカルな世界観に惹かれる人
・頭を使って試行錯誤、攻略するゲームが好きな人
・各キャラクターに個性と戦略性をしっかり持たせている
・1マップが10分~20分程度と比較的コンパクト
・Snowdropエンジンで作られたグラフィックが綺麗
・手強い難易度でクリア後コンテンツはチャレンジ精神を掻き立てられる
・ストーリークリア自体は15~20時間程度
・クリア後のミッションは豊富で高難易度のため30時間は余裕で超えそう
・見た目に反して割とゲーマー向け
・ファイアーエムブレム等のじわじわと詰める緻密なSLGとは別物
・探索パートはやや手間を感じさせる時もある
マリオはかつてソニック等色んなゲームキャラクターとのコラボレーションを果たしてきたが、今回のラビッツは特に不思議な組み合わせだ。
ラビッツは元々『レイマン』というUBIのゲームに登場するキャラクターで、そのスピンオフ作品として何本もラビッツのゲームも販売され、欧米でミリオンセールスを出したこともある人気キャラ。
しかしラビッツは日本では全く売れていないと言ってもいい無名作品に近く、本作発表後『何この変なキャラクター?なんでマリオとコラボ?』と不安の声がSNS等ネット上で上げられていたのだ。
私も当初はそれと似たような印象で本作を手にしたのだが、実際に遊んでみてマリオとラビッツの相性が悪くないという事に考えを改めさせられた。
基本的にラビッツはそのルックス通りイカレた変な奴で、常に彼らのふざけた行動にマリオ達も翻弄されてしまうのだけれど不思議と憎めない存在に映るのだ。
ラビッツ本人たちは勝手に人のものを触ったり壊したり自撮りに夢中だったり…全く困ったやつなのだが、まるで小さな子供の様に無邪気そのもの。
マリオ達も『やれやれ…』と大人の対応をしつつも、戦闘や時折見せる頼もしい仲間として協力するラビッツ達との連帯感は凸凹コンビ的で見ていて面白い。
このゲームでラビッツは人気者マリオの足を引っ張るのではなく、マリオをいつもと違った新しい世界に引っ張り込む事が出来ている。
マリラビはプレイヤーと敵で交互に駒を動かすターンベースのシミュレーションゲームだが、同ジャンルの日本の代表的なゲームであるファイアーエムブレムやスーパーロボット大戦シリーズとはかなり触り心地が違う。
まず何が違うのかというと、マリラビは他のシミュレーションゲームと比べてキャラの移動量が滅茶苦茶長い。
仲間にジャンプ台になって貰って遠くまで飛ばしてもらったり、土管の中に入ってワープしたりとマップを縦横無尽に移動して戦うことができる。
それに加えて基本武器が射撃系武器で移動後も攻撃が可能なので、攻撃範囲が滅茶滅茶広い。
移動して6マス進む
↓
その場にいる仲間にジャンプさせてもらって更に6マス進む
↓
射程の長い武器で10マス向こうの敵を撃つ
…といった感じで20マス位離れている敵でも攻撃を与えることも可能で、物凄く接敵範囲が広いのだ。
勿論多くの敵も同様に広い範囲を動き回り遠距離武器で攻撃してくるので一般的なシミュレーションゲームよりも視野を広げて何が起きるかを計算して考える必要がある。
しかもこのゲーム、何もないところで突っ立っていると100%攻撃が当たるので壁に隠れて攻撃を受けないようにしつつ、上手く攻めないとあっという間にノックアウトされてしまう。
移動した先がちゃんと相手の攻撃から身を守れる場所になっているか計算したうえでの行動が基本になるので、やみくもに攻めてこむのはご法度。
難易度バランスもだんだんと上昇していき、中盤ぐらいから骨太な難しさも出てくるのも合わさってくるので想像していた以上に頭を使うゲームだ。
デスペナルティは何もないのでバンバンリトライリタイアを重ねに重ねたが、このゲームは正直小さい子どもは直ぐに投げてしまいそうな難易度でどちらかというと大人ゲーマー向けに調整されている。
一応イージーモードという救済措置はあるがそれでも普通のゲーム並みには難しい場面も出てくるのでこれからプレイする人は心して取り掛かって欲しい。
マリラビのキャラクターはそれぞれに長所短所をしっかり持たせ個性付けている。
マリオは近距離での戦いに長けているが防御手段に欠ける部分が有ったり、ラビッツマリオは強力なショットガンで敵を同時に攻撃できるが仲間も巻き込むリスクがある等どのキャラも癖が強い。
そんな個性的なメンツの中から3人だけを選んで戦うことになる為、どのキャラを使うかというのも戦略的にかなり重要な要素だ。
各キャラの成長はツリー形式でスキルを習得していくのだが、各マップをクリアすれば全キャラに均等にポイントが配布されるので、普段使っていないキャラクターが出遅れて使い物にならないという事はない。
しかもキャラの取得スキルはいつでもリセットできるので、攻略が難しいと思ったら自由にキャラやスキルを変えて試行錯誤する事ができる。
戦いの準備が戦略に繋がっているというのはシミュレーションゲームにおいて重要なポイントでマリラビはそこもしっかり押さえている。
マリラビは骨太のバトルパートの合間に軽く頭を使う程度のパズルや宝探しの探索パートが存在する。
ここではマリオお馴染みの制限時間に赤コイン青コインを集めるミニゲームだったり、箱を動かして仕掛けを動かすなどメインとはまた異なる遊びが用意されている。
その先には武器やコレクション的なもの等報酬がちゃんと用意されていてそれなりの達成感もあるし、これらは難易度的にも箸休めとして丁度良い緩さだ。
マップのデザインもマリオらしくポップでアリながらも上手くラビッツ達も共存していて楽しくなるが…一点だけ気になる部分があった。
それは…マリオなのに…ジャンプができない!
マリオといえばジャンプでしょ!あのハテナブロックを下から叩くあれでしょ!
これはあくまでマリオラビッツなので割り切りなさいという話なのだろうが、どうしてもマリオ達を走り回らせてるのにジャンプができないのは鎖でつながれたような違和感を感じさせられる…これは痛い。
探索パート自体は決して悪くなかったがどうしてもその違和感だけは最後までぬぐえなかった。
マリオとラビッツという想像もつかないようなコラボは予想以上によくできていた。
難易度はゲーム慣れしたユーザーがガッツリチャレンジできる骨太さがあるので一気に遊んでクリアを狙うというよりも少しずつ時間の合間に遊ぶのがオススメだ。
クリア後のコンテンツも結構充実しており、詰将棋的な面白さを楽しむこともできるので頭を使うゲームが好きな人はかなり楽しめるはず。
チャレンジ精神旺盛な人は是非トライしてみて欲しい。
< マリオ+ラビッツ キングダムバトル 公式ホームページ >